近々、調剤薬局事務のピッキング(計数調剤)が解禁されるかもしれないという噂が出回ってますね。
もちろん、わたしは大賛成ですが、もしこの改訂が認められたら薬剤師の仕事は楽になるのでしょうか?
きっと、そんなことはないと思います。
だって、調剤専用の事務を入れたらその分薬剤師の人数減らすでしょ?
そうなると、薬剤師一人あたりの投薬枚数が一気に増えます。
だから、
これからの現場の薬剤師は、ひたすら監査&投薬を繰り返すだけになります。
だって、
調剤も投薬もできる薬剤師を調剤しかできない事務にかえるんだから、被害を被るのは現場の薬剤師ですね。
で、この改訂で喜ぶのは私たち事務員と経営者です。
人件費が減るから経営者が喜ぶのは当然として、なぜ事務員が喜ぶのかというと、調剤だけやってればいいのであれば、それはすごく楽な仕事だからです。
だって、患者対応しなくていいし、間違って調剤しても最終責任は監査する薬剤師だし、疑義照会は当然事務はできないから薬剤師にお願いすることになる。
つまり、大変な部分は薬剤師に任せ簡単で誰でもできる部分だけを事務がやるんです。つまり処方箋通りに薬をそろえるだけの簡単なお仕事ですね。
具体例もみていこう。
いまうちは「薬剤師3人+入力事務1名」体制で投薬が均等になるようにまわしてます。どうやら投薬が一番しんどい仕事のようで、平等にしとかないと不平不満が出ます。
以前に「あの人は調剤ばかりでずるい」的ないざこざがあって、均等になるような体制がしかれるようになりました。
感覚としては、投薬の合間の喉を休めたり、パソコンで酷使した目を休めたりする、気分転換の役割を果たすのが「調剤業務」ですね。
この体制では処方箋は1日120枚で一人あたり40枚です。
これを薬剤師と事務員を交換して「薬剤師2人+事務員2人」体制にしてみましょう。
こうなると薬剤師の投薬枚数は一人あたり60枚です。
毎日60枚も投薬できますか?きっと喉はカラカラになり、薬歴で目はチカチカです。
調剤は給料の安い専属調剤事務さんの仕事だから、ずるいなんて言ってられなくなりますね。
薬剤師は給料が高いんだからより高度で専門的で有資格者にしかできない仕事に専念すべきですね。
ちなみに、
薬剤師は処方箋1日40枚につき1名配置しなければならない規定があるので、1日60枚は違法になってしまうかもしれない。
しかし、
ここもいま同時に検討されている部分で、1日40枚の上限を撤廃しようという方向に進んでいる。
これもなくなったら、いよいよ大変ですね。ホントに毎日60枚投薬が続く日が近いかもしれない。
もし毎日60枚になったらきっと辞める人はいっぱい出てくるでしょう。しかし、どこへ行っても同じことです。時代がそうさせているのですから。
おまけ
事務が調剤するのは違法じゃないのか?
事務員がピッキングすることを禁止とする根拠は薬剤師法の第19条にあります。
薬剤師法の第19条には「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。」と規定されています。
だから、薬剤師ではない事務員はピッキングできないって解釈が一般的ですね、保健所にも事務員にピッキングさせないように指導されたことがある。
しかし、
法律に書いてある通りで「調剤」したら法律違反で処罰を受けることになるんだけど、肝心の「調剤」が何を指すのかがはっきりと書いてない。
棚から医薬品をもってくるのが「調剤」になるのか、ならないのかはっきりしないもんだから、いまでは「グレーゾーン」って解釈になってます。
で、この解釈を厚生労働省がはっきりと「事務員のピッキングは調剤に該当しない」と言えば、晴れて事務員のピッキング解禁ですね。
事務はあくまでも薬剤師が調剤しやすいように、錠剤を棚から決められた数をもってきて輪ゴムで束ねて薬剤師の前に置いといただけであって、その薬を手にとった薬剤師が「調剤」ってことにすれば事務は調剤してないことになりますね。
まぁ、こじつけだけどね。
以前にピッキングのルールについてまとめたので良かったらこちらも読んでみてください。
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