薬局でピッキングというと医薬品を棚から拾って集めてくることを意味します。
けっして鍵をあけるという意味ではありません。
ピッキングは、薬を指定された個数集めてくるだけなんだけど細かなルールが決まっている。
うちの薬局のピッキング(計数調剤)のもっとーは「美しい調剤」なので、テキトーに調剤すると怒られてしまいます。
ルール
②頭のタグはなるべく残す
③半端品の帯や袋は必ず捨てる
④1錠は作らない
偶数のシートは錠剤を噛み合わせて2枚1組にする
さらに言うと上下逆さまにして向かい合わせにして噛み合わせる。上下逆にすることでピッタリと噛み合う。
100錠とってきた時に1枚でも噛み合わせが悪いとズレが生じて見た目が美しくない。
また、2枚で1組にすると監査で数えやすいというメリットがあります。
もし、80錠あって全部同じ向きに束ねたら、8枚数えないといけないけど、組み合わせた場合は4組と数えるのでひと目でわかる。
また偶数と奇数の見分けが簡単につくから、8枚を間違えて9枚で持ってきたら組になってないのがあるので直ぐにミスだと気づくことができる。
②頭のタグはなるべく残す
医薬品のヒートには向きがあって、ヒートの一番上は医薬品名が記載されたタグになっている。
タグには、薬品名だけでなくロットも印字されていて薬局に残った端数の管理がしやすくなります。
ロットが分かりさえすれば、メーカーに問い合わせることで使用期限も知ることができる。
大事な情報なのでなるべく薬局側に残しておく。
③半端品の帯や袋は必ず捨てる
100錠包装の箱をあけると帯で100錠に束ねられた錠剤がでてきます。ここから10錠とると残りは90錠になるんだけど、
もし帯を捨てずに90錠につけとくと、次に調剤する人が、帯があるものは100錠として認識してしまい過誤の原因になる。
錠剤であれば帯がゆるゆるになっているから直ぐに気づくが、これが漢方とかだと1枚抜いても意外としっかりしてるから気づきにくい。
また、箱を開けた後、100錠がアルミの袋に入っていることもある。湿気対策でアルミの袋に入っているんだけど、破ったらその袋は湿気対策の意味ないから、
その場で捨てよう。捨てずに箱に戻すと次に調剤しようとした時に邪魔でしょうがない。
この帯や袋を捨てる作業は調剤と同時に行い、棚の上にはゴミを置かないようにする。ゴミで作業スペースを減らすと効率が落ちてミスの原因になる。
だから、ゴミ箱をあちこちに配備してゴミはその場で直ぐに捨てられるようにするといい。
④1錠は作らない
1錠を作ると小さくなって飛んでいってしまうから作るなと教えられた。
どこの薬局でも何故かあるルールで、古来からの教えで、先人の知恵らしい。
この1錠を作るなというルールから派生して生まれたのが21錠の調剤ルールだ。
1日3回の薬が1週間分処方されたら21錠調剤することになるから、21錠は薬局ではよく登場する数字ですね。
1錠作っては行けないルールがあるせいで、素直に「20錠 + 1錠」で渡すことができないのだ。
だから、どこの薬局も「6錠 + 5錠 + 10錠」で21錠を作るんだけど、
これって患者からしたらしたら意味分かんないですよね?
患者からしたら余り物の寄せ集めのようにも感じられるのではないでしょうか?
美しく調剤するなら「20錠 + 1錠」の方が絶対美しい。
でも、これをしない理由が「小さくなって飛んでいってしまうから」ではとうてい納得出来ない。
1錠だけくっつけとけば、最初にそれ飲むんだからなくならないでしょ。
仮に、その1錠が飛んでいってなくなったとしても、残り20錠あるんだから気にするほどのことではない。
まして自分のミスで1錠なくしといてクレームをいう人はいない。
また自分の経験から言うと、21錠薬をもらって最後までしっかり飲み切ることはほとんどないから1錠なくそうが気にしない。
1錠を嫌う理由としては患者に1錠渡すのが嫌なのではなく、薬局の在庫がバラバラになるのが嫌だという理由があるが、
21錠を「5錠 + 6錠 + 10錠」で切って渡す方がバラバラ在庫になり迷惑だ。
↓
21錠調剤:5錠 + 6錠 + 10錠
↓
在庫:5錠 + 4錠 + 70錠
↓
21錠調剤:5錠 + 6錠 + 10錠
↓
在庫:4錠 + 4錠 + 50錠
↓
15錠調剤:5錠 + 10錠
↓
在庫:4錠 + 4錠 + 5錠 + 30錠
こちらの方がよっぽどバラバラになる。
1錠単位で切っていけばこんなふうにバラバラ在庫になることはない。
よく出る薬なら何れ掃けるけど、たまにしか出ない薬だったら何れは患者に細かく渡して引き取ってもらうしかない。
これはホントにあまり物の寄せ集めで、とうてい美しい調剤とはいえない。
1錠作ってはいけないルールは納得が行く理由が見当たらないので、偉大な先輩から引き継いだ悪い風習を盲目的に続けているとしか思えない。
薬剤師はこのように習っているからそれが当然なのかもしれないが客観的にみると絶対におかしいと思う。
調剤薬局事務はピッキングしていいのか?
ピッキングについて色々書いたけど、調剤薬局事務は調剤してはいけません。
薬剤師法の第19条に「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。」と規定されています。
できることは、藥袋の準備、薬情を折る、水剤ラベルを記載する、分包した粉を畳むなどの補助業務は調剤には該当しない(たぶん)ので手伝うことができます。
「調剤師」であれば調剤しても構わないらしいのですが、この調剤師って調べてみたら薬剤師のことなのです。
薬剤師の中でも調剤だけを専門に担当する人のことを調剤師と呼ぶだけみたいです。
やっぱり調剤は薬剤師以外はできないのです。
関連記事薬局の勉強に超オススメのサイト