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加算

麻薬・向精神薬・覚せい剤原料・毒薬加算の算定要件

こんにちは、ベテラン調剤薬局事務のジム子です。

今回は「麻薬、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬加算」についてまとめて紹介していきます。これらの点数はレセコンで自動算定なので意識してとることはありません。しっかりとルールを知っておきたい人だけ読んでください。

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麻薬、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬加算とは

原則

麻薬を調剤した場合は各区分の所定点数に1調剤につき70点を加算し、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬を調剤した場合は、1調剤につき8点を各区分の所定点数に加算する。

麻薬、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬加算
麻薬加算 1調剤につき 70点
向精神薬加算 1調剤につき 8点
覚せい剤原料加算 1調剤につき 8点
毒薬加算 1調剤につき 8点

補足

  1. 「向精神薬」とは、麻薬及び向精神薬取締法第2条第6号の規定に基づく同法別表第3に掲げる向精神薬をいう。
  2. 本加算は、麻薬、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬を調剤する場合において、処方中に麻薬が含まれているときに1調剤行為につき70点、それ以外のときに1調剤行為につき8点を加算するものであり、処方中の麻薬、向精神薬、覚せい剤原料又は毒薬の品目数、投薬日数に関係なく当該所定点数を算定する。
  3. 使用した薬剤の成分が麻薬、覚せい剤原料又は毒薬であっても、その倍散の製剤若しくは予製剤等で規制含有量以下のため麻薬、覚せい剤原料又は毒薬の取扱いを受けていない場合は、本加算は算定できない。
  4. 重複した規制を受けている薬剤については、当該薬剤が麻薬である場合は1調剤につき70点を算定し、それ以外の場合は1調剤につき8点を算定する。
  5. 本加算は、内服薬のほか、屯服薬、注射薬、外用薬についても算定できる。

補足説明

細かいところを補足していきます。まず「2」に規定されている通り「1調剤行為につき」算定することができます。

処方された薬の数だけ算定できるわけではないことに留意して、飲み方ごとのまとまりで見ていくので複数の向精神薬が処方されていたとしても飲み方が同じなら1回しかとれません。

処方例

ソラナックス 1錠
レンドルミン 1錠
サイレース 1錠
就寝前 10日分


全て向精神薬のカテゴリーに属する薬ですが「向精神薬加算:8点」しかとれません。

3種類の向精神薬があっても飲み方が同じなら算定できるのは1回だけです。逆にのみ方さえ違えば1枚の処方せんで複数回算定することができます。

麻薬だけは70点とずいぶんと高い加算ですね。これは、麻薬だけは金庫を設置して厳重に管理したり、期限が短くて破棄のリスクが高かったり、期限切れで破棄するときには役所の立会が必要だったりと、かなり手間がかかるからその分の評価です。

毒薬や向精神薬や覚醒ざい原料は鍵のかかる引き出しに保管していればよく、金庫にしまう必要はない。

「4」に書いてある重複している薬剤とは、例えばアンペック坐薬みたいに、毒薬であり麻薬でもある薬のことです。この場合は麻薬の70点だけがとれて毒薬加算はとれません。

加算の優先順位

麻薬:70点 > 向精神薬:8点 > 覚せい剤原料:8点 > 毒薬:8点

各種加算は、内服薬にかかわらず外用薬でも頓服薬でも算定可能です。ダイアップ坐薬は向精神薬加算とれますね。また、ハルシオン【不眠時】のような頓服でも算定することができます。

自家製剤加算や計量混合加算を算定していても関係なく算定することができます。

処方例

ウブレチド錠 0.5錠
朝食後 30日分

この処方の場合は、自家製剤加算と毒薬加算を両方とも算定できます。うちは泌尿器科の門前なのでこの処方はすごくよく来ます。ウブレチドは半錠の規格作ればいいのにね。予製してしまっているので自家製剤加算は減額です。

薄めて調整したら加算対象外になることがある

使用した薬剤の成分が麻薬、覚せい剤原料又は毒薬であっても、その倍散の製剤若しくは予製剤等で規制含有量以下のため麻薬、覚せい剤原料又は毒薬の取扱いを受けていない場合は、本加算は算定できない

リン酸コデインの成分は麻薬の記載がかかります。ただ1%散の場合は規制から外れます。10%散の場合は麻薬規制がはいります。

よってリン酸コデインの場合は「1%」は加算取れないけど、「10%」なら加算取れます。

同じような例として硫酸アトロピン「ホエイ」は規制区分「毒薬」になりますが、1回の処方量がとてもすくなく1回0.001gで処方された場合に、これを正確に計量することは実質不可能である。

そこで、1000倍に薄めた1000倍散を調整して調剤を行うのだが、硫酸アトロピンの0.1%散は毒薬ではなく劇薬になるので、たとえ硫酸アトロピンを使用していたとしてもこの場合は毒加算:8点は算定することが出来ない。

投与日数制限について

加算とは関係ないが、これら麻薬等の医薬品を処方するときには投与日数制限に気をつけなければならない。

投与日数制限 対象
14日 麻薬、向精神薬1~3種、薬価基準収載1年以内の新医薬品
30日 麻薬、向精神薬1~3種
90日 向精神薬2~3種

日数制限は3パターンですね。14日、30日、90日です。該当薬剤を指定日数以上処方すると保険請求切られて返戻になることがある。

ちなみに、特殊な事情がある時には上記日数制限よりも長く出せることもある。特殊な事情とは、①海外への渡航②年末年始③ゴールデンウィークです。

この3つの場合に限り上限30日分をげんどとして長期処方を行うことができる。

でも、残念ながら限度が30日なんですよね。だから、もとも30日分まで処方できるハルシオン錠やマイスリー錠は恩恵がありません。恩恵があるとしたら14日限度の医薬品ですね。新薬とか。

ちなみに、もし特殊な事情により14日を超えて処方した場合は調剤レセプト摘要欄に当該長期投与の理由を記載しなければならない。

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