今回はちょっと特殊な公費のお話で、警察官が留置場に勾留している人の処方箋をもってきたときの請求方法を紹介します。
近くに警察署がないと、なかなかお目にかかることのない請求パターンだと思います。
請求方法を共有しますが、警察の人はだいたい決まった薬局に処方箋持ち込むので他の薬局に出回ることはほとんどないと思います。けっこう特殊だから初めての薬局に説明するのは警察の人だって大変です。きっと行きつけのとこがあって毎回同じとこに行くはずです。警察署かかりつけ薬局的なね。
説明
さー、いっきまーす。
まず、この処方箋の特徴的なのは保険番号が入っていないことです。
いわゆる自費処方箋です。 といっても、本人が支払うわけではありません。保険番号が入っていないだけで全額公費でまかなわれます。ちなみに、公費の番号とかもなくって専用の用紙を記載して直接都道府県に請求します。
留置場に拘束されている人は自由に病院にいくことができないので警察が指定した病院へかかるそうです。本人の意思で勾留されているわけではないし、好きな病院へかかることもできない不利益もあるので費用は公費で負担してくれてるんだと思います。
病院へは本人いないと診察のしようがないので同伴でいくみたいなんだけど、薬局は本人いなくてもなんとかなるので警察官が代理人として処方箋だけをもってきます。
でもでも、拘置所にはいっているにせよ本人が健康保険に加入しているのであれば保険証を使ってしまってもいいようにも思いませんか?
調べてわかったのが、やはり自費じゃないとダメなんです。
その根拠がこちら。
健康保険法(第百十八条)
一 少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき。
二 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき。
2 保険者は、被保険者又は被保険者であった者が前項各号のいずれかに該当する場合であっても、被扶養者に係る保険給付を行うことを妨げない。
国民健康保険法(第五十九条)
一 少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき。
二 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき。
留置場は警察署内の施設(たぶん)なので1項2号の刑事施設に該当するので給付は行わないと規定されています。
これは公費で支払われるから保険給付しないってことを明確化した規定です。
レアパターンだから病院も薬局もよくわかってないことの方が多いので間違って保険適用にしてしまうことがあるのですが法律で療養給付はしないと決められているので注意が必要です。
ただ、憶測だけど間違って保険請求しても気づかずに通ってしまう気がします。だって保険者が本人留置場にいるかどうかなんて把握しようがないと思います。もちろん法律にダメなんで間違ってレセプト請求したらちゃんと取り下げましょうね。
請求方法
手続きはもってきてもらった書類を記載するだけなので簡単です。
初回の場合は記載する書類は3点です。
被留置者診療書と支払金口座情報登録依頼書です。
被留置者診療書
被留置者診療書はもしかしたら地域によって記載方法が違ってくるかもしれません。この書類の重要なところは警察の人が書いてくれているので薬局は薬局の名称や住所を記載するだけです。
名称や住所だけで十分なのですが、一応薬の情報として、お薬手帳のシールを貼付している。このお薬手帳の貼付をもって、薬局名と住所も記載したことになるので、要はこの書類はお薬手帳シールを貼付して終わりです。
支払金口座情報登録依頼書
めんどくさいのがこれね。これ書くのは最初の1回だけです。だって、登録依頼書ですからね。1度登録したら次回からはそのデータを使うのでもう必要ありません。
これ登録依頼しただけだからこの書類をもってして代金を請求することはできません。
支払請求書
登録が完了したあとに後日もってきてもらえるのが支払い請求書です。これをもってして自費分を請求できるのですが、気になるのが領収書を添付しなくてもいいことです。記載した額が振り込まれるんだけど、それでいいの?
ということで、初回は合計3点ですが、2回目からは登録済み薬局なので2点で済みます。登録済み薬局になると、今後、同じような処方箋を受ける頻度が高くなるかもしれませんね。