タイトルに書いてみたものの、これって比較対象が間違ってるんじゃないかってくらい違いますよね。
結論から書くと、プライベートブランドはドラッグストア等で売られている市販薬に対して使う言葉で、ジェネリック医薬品は病院から処方される医療用の医薬品について使う言葉です。
ぜんぜん違うんだけど、薬局で働いているとプライベートブランドのかぜ薬のことをジェネリック医薬品って思って買いに来る方は意外にも多い。
先日、市販薬のバファリンの販売するときのやりとりなのですが、
じい:「バファリンのジェネリックはないの?バファリンと同じ成分でもっと安いのあるでしょっ」
おそらく、これはバファリンと同じ成分のPB商品を指しているのだと思います。ドラッグストアで「バファリンと同じ成分で値段が安い」とかのポップが貼られているのをよく目にしますが、これを見て詳しく知らない人は「医薬品」「値段が安い」「同成分」つまりジェネリック医薬品ということになるのでしょう。
たしかに、「医薬品」「値段が安い」「同成分」この3つはジェネリックとPBで共通して言えることですね。
では、それぞれの細かい違いを見ていきます。
プライベートブランドとは?
PBは医薬品にかかわらず、家電製品、洗剤、雑貨、食料品まで様々な商品に使える言葉です。
例えば、有名なPBにセブン&アイグループの「セブンプレミアム」やイオングループの「トップバリュ」があります。
トップバリューやセブンプレミアムってホントにいろんな商品がありますよね。ランドセル、机、靴とかも見たことあります。
さて、
プライベートブランドとは、
生産をお願いした小売り店がすべて買い取って売り切るため、メーカー品より安く仕入れることができます。
せっかくなのでプライベートブランドの医薬品を比べてみましょう。
パッケージも似てますが商品名は違いますね。どちらも有効成分は同じ成分を同量使っていますね。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 68.1mg(無水物として60mg) |
ドラッグストアのポップでよく見かけるものが「有効成分は同じだけど、値段が安い!!」です。
並べておいて、比較することでロキソニンSのブロンド力をお借りしてノーブランドのロキソプロフェンを売りたいのです。
ちなみに、大手メーカーが作った有名商品をPBの対義語としてNB(ナショナルブランド)と呼ぶので、ロキソニン錠のことはNPと呼び、それに似たような商品をPBと呼びます。
この言葉どう使うかって?
「NBより、PB目立たせて」とか、「これはNBだから利が悪いよ」とかって使います。
NB品はほっといてもブランド名で売れるからいいんです。PB品は目立たせないと売れないんです。
商品陳列みるとわかるけど、NB1列(1フェイス)しかないのに、PBは5列(フェイス)くらいあって、更に安くても同じとか書いてあります。
小売店ブランドってことはほとんど無名みたいなもんですから、世間ではこれをノーブランドと呼びます。
ノーブランドでも小売店が売りたいのはどっちかって、それはPB品に決まっています。だって、自身でわざわざ企画したブランドなんだから売りたいに決まってますね。
あと、仕入れ値が安いから、こっちを売ったほうが利益が出ます。
NBより安い販売価格のPBの方が利益が出るってことは、仕入れ値が相当安いということになりますね。
なぜこんなに安いかって?
それは、広告費が一切かかっていないからです。メーカーが商品を売ろうとしたらあっちこっちに宣伝するし、テレビ広告を打ったりもします。
これってものすごいコストで、製品の売値の3割は広告費と言われています。これがかからないとなると卸値を3割安くできるんです。1200円くらいの風邪薬で納入価が300円とかね。これだけの粗利はNBはでない。
ジェネリック医薬品とは
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、
特許が切れた医薬品は開発費がかかっていないので安く作ることができる。また、先発品で使用実績があるので多くの臨床試験もしなくてすむ。
先発品を1つ開発するのに数百億は下らないが、後発品であれば数億でできてしまうそうです。
患者は、薬局で希望することで先発品からジェネリック医薬品に変更することができます。これにより会計が安くなるメリットがある。
このジェネリック医薬品という言葉は、処方せんの薬(医療用医薬品)に対して使われる言葉です。
ジェネリック医薬品の例:ロキソニン錠(平成27年2月3日:現在)
薬品名 | 薬価基準収載医薬品コード | 規格 | メーカー | 薬価 |
---|---|---|---|---|
ノブフェン錠60mg | 1149019F1170 | 60mg1錠 | サンド | 7.8 |
ロキフェン錠60mg | 1149019F1242 | 60mg1錠 | 龍角散 | 7.8 |
ロキペイン錠60mg | 1149019F1277 | 60mg1錠 | 共和薬品工業 | 7.8 |
ウナスチン錠60mg | 1149019F1404 | 60mg1錠 | マイラン製薬 | 9.6 |
ロゼオール錠60mg | 1149019F1439 | 60mg1錠 | 辰巳化学 | 7.8 |
オキミナス錠60mg | 1149019F1455 | 60mg1錠 | 日本薬品工業 | 7.8 |
ロキソプロフェン錠60mg「EMEC」 | 1149019F1480 | 60mg1錠 | サンノーバ | 7.8 |
ロキプロナール錠60mg | 1149019F1501 | 60mg1錠 | 寿製薬 | 7.8 |
サンロキソ錠60mg | 1149019F1510 | 60mg1錠 | 三恵薬品 | 7.8 |
スリノフェン錠60mg | 1149019F1528 | 60mg1錠 | あすか製薬 | 9.6 |
ロブ錠60mg | 1149019F1544 | 60mg1錠 | 大原薬品工業 | 7.8 |
ロキソート錠60mg | 1149019F1552 | 60mg1錠 | 日新製薬(山形) | 7.8 |
ロキソニン錠60mg | 1149019F1560 | 60mg1錠 | 第一三共 | 17.5 |
ロキソプロフェンNa錠60mg「サワイ」 | 1149019F1587 | 60mg1錠 | メディサ新薬 | 7.8 |
ロキソプロフェンNa錠60mg「YD」 | 1149019F1609 | 60mg1錠 | 陽進堂 | 7.8 |
ロキソプロフェンNa錠60mg「三和」 | 1149019F1617 | 60mg1錠 | 三和化学研究所 | 7.8 |
ロキソプロフェンNa錠60mg「トーワ」 | 1149019F1625 | 60mg1錠 | 東和薬品 | 7.8 |
ロキソプロフェンナトリウム内服液60mg「日医工」 | 1149019S1038 | 0.6%1mL | 日医工 | 2.5 |
ジェネリックはひとつの商品に対して幾つものメーカーが出しているのでロキソニン錠だけでもこんなに種類があります。だから、ジェネリックをメーカーを指定するのはやめて下さい。メーカーを指定したジェネリックを在庫している可能性はとても低いです。
価格帯は、上記表を見ればわかるけど半額以下になるものが多いようです。
PBとジェネリック医薬品の違い
ようやく本題です。
もうお分かりだと思いますが、
病院の薬の場合は、ジェネリック医薬品です。
PBは小売店が企画し販売するものなので、それができるのは市販薬だけです。処方せんの薬(医療用医薬品)についてはPBは存在しません。
PBのかぜ薬が安いのは、特許権が切れているからではありません。先ほど述べたように広告費がかかっていないからです。
NBのかぜ薬の成分は、そもそも特許権が切れたものを使用しているので、特許権が切れたとかもともと関係ないんです。市販薬はいろいろな成分を混ぜて自由に作れるのですわざわざ同じものを作る必要はありません。
でも、NBと似せて作っているのは、同じ用途に使えることをアピールした方が売れるからです。
その点、ジェネリック医薬品は有効成分や用量が完全に一致でないとジェネリックを名乗ることは出来ません。