最近、話題のバイオシミラーというものを教えてもらったので、自分なりにまとめてみます。
バイオシミラーを知ったきっかけは、近くの病院が採用薬を切り替えたことです。ランタス注ソロスターが一斉にインスリングラルギンBS 注ミリオペン「リリー」になって処方箋がくるようになりました。
薬剤師いわく、インスリングラルギンBSミリオペン「リリー」は、ジェネリックみたいなもので特許切れで、同じ効き目で、値段が安いということでした。
それってジェネリックでしょ!!っと思いますが、どうやら違うらしいんです。
ちなみに、ランタス注ソロスターの一般名は「インスリン グラルギン(遺伝子組換え)注射液」です。
つまり、インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」の名前は「一般名」+「メーカー名」の構造です。
やっぱり「おまえジェネリックだな。」と思いますが、やはり違うんです。
バイオシミラーって何?
広義の意味ではジェネリックでいいと思うんだけど、もっと細かく分類するとバイオシミラーって分類の医薬品になるらしいです。
注射薬のようなバイオ医薬品のジェネリックみたいなものをバイオシミラーといいます。
バイオシミラーのバイオは「バイオ医薬品」のバイオです。シミラーは、英語の「similar」のことだから「類似した、同様の、同類の」とかこういった意味です。
つまり、先発バイオ医薬品の類似品のことをバイオシミラーっていいます。
バイオ医薬品って作るのがすごく複雑だから、ジェネリック医薬品みたいに完全に同一成分といえるものが作れません。
だから、後発品ではなく後続品という呼び方をするみたいです。で、現行ルールでは、先発品をジェネリック医薬品のように変更調剤してバイオシミラーに変更するということはできません。
変更調剤は、成分が全く同じだから変更することが認められた薬局の権利なんだけど、バイオシミラーは似たようなものだけど同じものではないので薬局に変更する権利はありません。
だから、バイオシミラーを使いたいならそれは病院側で采配することになります。バイオ医薬品って超高額医薬品がほとんどなので、いま医療費削減のキーアイテムとしてバイオシミラー品は注目されています。
薬価を比較するとこんな感じ。
ランタス注ソロスター:300単位1キット 2069.0
インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」:300単位1キット 1612.0
まぁ、安くなると言ってもジェネリック医薬品ほど激的にやすくなるわけではないですね。
ちなみにランタス注ソロスターはバイオ医薬品の中ではかなり安価な方です。
たとえば、
ハーセプチン150は1瓶の薬価は57289円
アクテムラ皮下注162オートインジェクターは1キットの薬価は39291.0円
イラリス皮下注用150mgは1瓶の薬価は1420160.0円
桁が違うでしょ?
テキトーにバイオ医薬品って検索してでてきたものの薬価をしらべただけなので何の薬かはわかりませんが、スゴい金額でしょ?
世界の医薬品売上トップ10のほとんどはバイオ医薬品が占めるそうです。
ということで、インスリンは安かったけどバイオ医薬品はもともと高額なものが多いので、これらの後続品がでたら医療費の削減の切り札になるのは間違いないです。
バイオシミラーはジェネリックよりも安くならない理由
ジェネリック医薬品と比較するのは酷なものがあって、なぜならジェネリック医薬品は製造承認をうけるときに、ほとんどの試験が免除されます。とくに人に投与して効果や副作用を試験するような臨床試験が必要ありません。
というのも、同じ成分だから効き目が同じなのはあたりまえでしょ?って前提があるからです。
だけど、このバイオシミラーは前提が違います。
成分が似ているけど同じかどうかわからないから、効き目が同じかどうかの臨床試験をしなくてはいけないのです。それこそ、新薬と同じような基準の試験が要求されるようです。
だから、ジェネリック医薬品ほどお安くはならないのは言うまでもないですね。
なんで完全同一ではなく類似品なの?
ジェネリック医薬品のように完全同一成分を作ってしまえば、臨床試験とかなしで生物同等性だけ試験すればいいんだけど、それが簡単にできないからです。
バイオ医薬品は有効成分が成長ホルモン、インスリン、抗体などのタンパク質由来の医薬品です。
これらを製造する際には、細胞、酵母、細菌などの生物を利用して産生します。 微生物の力を借りるもんだから、なかなか完全一致品を作れないし、完成する物質は化学合成で作る医薬品と比べて分子のサイズがものすごく大きく複雑で全てを解析して完全一致と判断することができない。
完全一致ではないので、後発品ではなく後続品です。
ということで、
バイオシミラーは新薬に準ずる要求がされ、製法、品質試験、非臨床試験、臨床試験で評価されます。