H30年の調剤報酬改定で、後発医薬品を著しくすすめていない薬局にペナルティーを課す規定がもうけられました。
改定前は、ジェネリックの使用割合が多い薬局だけ高い点数がとれる「後発医薬品調剤体制加算」だけでしたが、ハードルが高すぎて諦める薬局が出始めるのも困りものです。そこで抑止力として「後発医薬品調剤体制減算」が新設されます。
ただ、ジェネリック医薬品推奨に関しては医療機関の方針がおおきく影響するので、薬局の努力ではどうにもならない部分はある。門前クリニックの医者がアンチジェネリッカーで「変更不可」処方箋しか発行しないとなれば薬局の努力ではもうどうすることもできない。
こうなると医師を「説き伏せる」という手段しかないのですが、さすがに厚生労働省もそこまでは求めていないのでしょう。
救済措置規定が設けられています。
後発医薬品調剤体制減算の要件
後発医薬品の調剤に関して、別に厚生労働大臣が定める薬局(▼下記参照)において調剤した場合には、所定点数から2点を減算する。ただし、処方箋の受付回数が1月に600回以下の保険薬局を除く。
- (1) 当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が2割以下であること。ただし、当該保険薬局における処方箋受付状況を踏まえ、やむを得ないものは除く。
- (2) (1)に係る報告を地方厚生局長等に報告していない保険薬局であること。
処方箋受付状況で「やむを得ない」場合とは
「やむを得ない」理由というのは、変更不可処方箋の割合があまりにも多い場合です。
「H30年の調剤報酬改定の説明会資料」からの抜粋
直近1ヶ月の処方箋受付回数のうち先発用医薬品変更不可のある処方箋の受付回数が5割以上
変更不可のある処方箋というのはレ点チェックのある処方箋のことで1品目でも変更不可品目があればカウントすることができます。
後発品への変更不可の処方箋の割合が50%以上ある場合は「減算」の対象外になります。
現行のレセコンでは、変更不可処方箋であったかどうかをチェックする機能がありません。H30年度の改定により変更不可処方箋をカウントする必要がでてくるのでレセコンに機能追加されているはずです。
後発品の数量シェアが20%を切りそうな場合は、4月から変更不可処方箋であることをカウントしていかないと、さかのぼってカウントしようとしたら大変なことになります。ほぼ先発しか使っていないという薬局は4月から変更不可のカウントをレセコンではじめましょう。
減算から除外されない恐ろしいパターン
考えうる最悪なパターンを紹介します。それが一般名処方なのに先発しかだせないという暗黙の了解というか、わかってるよね?的な影からのダークな圧力です。
処方箋は一般名で書かれているのに医者から「一般名で書くけど先発品を調剤してね」っていわれているパターンです。わりとよくあるパターンです。
これはもっともたちの悪いアンチジェネリッカー医師がやる診療報酬詐欺パターンです。
こんな病院が門前だったら考えうる最悪なパターンになります。
処方箋は変更不可にカウントできず、先発品でしか調剤できないことから、減算ペナルティー対象になり、かつ、除外もされない。
医者が変更不可なら、変更不可で処方すればいいだけなのですが、商品名を一般名称にかえることで加算がもらえることから、加算はもらっておいて、先発を使用したいという欲張りさんが使う医師の権力にものをいわせた姑息なやり方です。
なかには処方箋に直接記入する医者もいます。
【般】プラバスタチン錠
(後発品へ変更不可)
一般名で処方するということは医者の商品の選択権を放棄するということなのですが、選択権を放棄しきれずに処方箋に支持してくる医者もいます。
これで一般名処方加算6点をもらうのは診療報酬詐欺といわれても致し方ない。バレたら返還請求されるでしょうね。
薬局は一般名の処方を先発品で調剤した場合はレセプトの摘要欄に「先発で調剤した理由」を記載しなければならないルールがあります。
一般名処方が行われた医薬品について後発医薬品を調剤しなかった場合は、その理由について、「患者の意向」「保険薬局の備蓄」「後発医薬品なし」又は「その他」から最も当てはまる理由をひとつ記載する事とされている。
(「診療報酬請求書等の記載要領等について」の一部改訂について平成26年3月26日 保医発0326第3号より)
入力を簡素化するために4つの選択肢から選ぶようになっているのですが、選択肢に「医者の指示」がない。それもそのはず一般名処方で「医師の指示」はありえないからです。でも実際はあるんだよね。
ありえないという前提で選択肢にないのですが、もし作ってみたら面白いと思います。
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