H30年度診療報酬改定で薬歴の点数についての変更点をまとめていきます。点数は前回よりも+3点とびっくりすることにプラス改定です。
つまり、これからは「薬歴」がんばれってことです。今回からは「お薬手帳未持参率」って考えが追加されて、お薬手帳をまじめに推進していない薬局へのペナルティーが設けられました。
ポイント
- プラス3点の大幅UP
- 手帳持参の有無で点数に差
- 「調剤基本料1」以外は手帳の有無にかかわらず一律の点数
- 手帳の活用割合が少ない薬局にペナルティー
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薬剤服用歴管理指導料の変更点
まずは点数表からです。今回は、原文はややこしいので省略していきます。
薬剤服用歴管理指導料の点数
- 原則6月以内に再度処方箋を持参した患者に対して行った場合:41点
- 1の患者以外の患者に対して行った場合:53点
- 特別養護老人ホームに入所している患者に訪問して行った場合:41点
- 6月以内に再度処方箋を持参した患者のうち、手帳を持参した患者の割合が5割以下の場合:13点
まだちょっと複雑なので、もうちょっとわかりやすくまとめましょう。老人ホームを「訪問」は特殊なので今回はパスします。
簡易版
- 6月以内に再来局で手帳あり:41点
- 新規・6月以上経過・手帳なし・調剤基本料1以外:53点
- お薬手帳持参率5割以下ペナルティー:13点
点数の遷移
- 手帳ありは38点 → 41点へ3点UP
- 手帳なしは50点 → 53点へ3点UP
ということで全体的に3点UPです。ただし、ペナルティーが追加になってますが、こちらは1年の経過措置期間があるのでスタートは来年4月(H31.4.1)からになります。
ペナルティーに該当してしまうと「41点・53点」が「13点」と信じられないくらい減算され、しかも「麻薬調剤加算・重複防止加算・ハイリスク薬加算・乳幼児加算」も算定できなくなります。これは超絶厳しいペナルティーなので絶対に避けなくてはなりません。
ということで、今年は「お薬手帳ありますか?」強化年間ですね。
お薬手帳の「持参率」とは?
まず手帳の持参率が低い薬局についてのペナルティー規定から確認します。
適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局は、薬剤服用歴管理指導料の特例として、処方箋受付1回につき、13点を算定する。
なお、この場合において「麻薬調剤加算・重複防止加算・ハイリスク薬加算・乳幼児加算」は算定できない。
この「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」の施設基準が「6月以内に再度処方箋を持参した患者のうち、手帳を持参した患者の割合が5割以下」です。
この「6月以内に再度処方箋を持参した患者のうち、手帳を持参した患者の割合」部分が「お薬手帳の持参率」の定義になります。
計算方法は「6月以内に再度処方箋を持参した患者のうち」とあるので、新規と6月以上は除外されます。だから単純に41点/(41点+53点)ってわけにはいきません。なぜなら53点の中には新規も6ヶ月以上も含まれるからです。
ということで、おなじ53点でも2種類あるのでそれをごちゃまぜにして入力してしまうと、いざ「未持参率」をだそうとしてもできなくなります。
現在でもレセコン会社は「手帳なし50点」と「新規50点」とで同じ50点でも区別して設定してくれていますよね。いまのところは区別を曖昧に入力してもペナルティーらしきものはないですが、4月からはしっかりやらないと「持参率」の計算で思わぬペナルティーになりかねないので注意です。
薬剤服用歴管理指導料(薬A)
- 6ヶ月以内に手帳持参
薬剤服用歴管理指導料(薬B)
- 新患、6ヶ月以上経過
薬剤服用歴管理指導料(薬D)
- 調剤基本料1以外、6ヶ月以内だが手帳なし
計算する上で「新規・6月以上」は除外されるので「薬B」は使いません。
計算式(手帳の持参率)
(薬A)
(薬A) + (薬D)
ただ、この計算だと「調剤基本料1以外」の薬局だと手帳があろうがなかろうが薬Dになってしまうので計算できません。「調剤基本料1以外」もペナルティーの対象にはいっているので、この「持参率」の申告は必要になるはずです。もしかして手動?wここはわかんないです。
余談だけど「お薬手帳持参率」が必要になった背景も説明していきます。
お手帳の持参率が必要になった背景
これ簡単ですよね。薬局は「手帳がない方が高い点数を算定できる」つまり、推進しない方がもうかります。そうなると、バカバカしくてやる気がおきません。でも、国としては、お薬手帳を推進して欲しいといことで考え方のギャップが生まれてしまいました。
どうして、こんなおかしなことになってしまったのでしょうか?
昔は、手帳持参で「高い点数」だったんです。いまと逆ですね。
高い点数をとるために薬局はがんばるんだけど、会計が高くなるから患者がイヤがるんです。だから薬局を主体として手帳の推進してもうまくいきませんでした。そこで逆転の発想で、H28年度調剤報酬改定で「手帳持ってきたら安くなる」って患者主体でもってきてもらうようにルールを変更したんです。
これが功を奏して「安くなるならお薬手帳をもっていこう」って一気にお薬手帳の普及が進みました。そうなると、こんどは薬局がおもしろくないんです。
がんばって勧めるほど点数は安くなるし、無料配布のお手帳のコストはかさむ、受付で患者に手帳の有無を確認し預かる人的リソースもばかにならない。
いっそ、お薬手帳の確認をやめてしまえば「手間は減る」「利益が増える」「コストも減る」で三拍子そろっておいしいんです。経営面だけで考えたら、まじめにやる理由がないんです。昔は、点数という「アメ」があったから薬局主体でがんばったけど、それをなくして薬局にまだ手帳推進を強要したいのであれば、次は「ムチ」しかないんです。
その厚生労働省愛の「ムチ」が上記で説明したペナルティーですね。かなり強力なペナルティーなので、強制力は絶大ですね。いままでお薬手帳にまじめに取り組んでなかった薬局も必死になるでしょう。
おくすり手帳の持参率をあげるために
おくすり手帳の持参率をあげるためにもっとも有効な手段は無差別に「声掛け」です。「手帳不要」の人に声掛けするとウザがられるから、レセコンで確認してから声掛けとかやってた時期があったけど、それだと手間がかかって仕方ない。それは手帳の普及率が低かったときの手法であり、いまはそんなことやってられない。
お薬手帳なしが「少数派」だとおもって、処方箋の受付時に100%全員にききます。ウザがられてもききます。
これを半年ほど続けると、患者の意識がかわってくるみたいで、「手帳ありますか?」の質問にたいして、「忘れてしまって、ごめんなさい」と返ってくる。
毎回、毎回あんまりにもひつこく聞くものだから、知らずと患者さんにプレッシャーを与えているのでしょう。罪の意識からか定期処方のほとんどの人が持ってきてくれるようになりました。
確認だけなら遠慮なんて要らないんです。コンビニだって「ポイントカードおもちですか?」って毎回きかれるでしょ?あれと同じです。客の顔なんて一々覚えてないから、聞くしかないんです。
聞かなかったら聞かなかったで、キレル人もいるので自衛手段も担っているので必要なことなんです。これしっかりやっとくと「手帳がないと高いの知らなかった」ってキレル人にも「毎回確認してますよね?」っていえる。
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