一般名処方加算が2点から3点とれるようになったせいか、ここ最近、さらに一般名処方をする医師が増えたように思います。
一般名処方加算は医科の処方せん料の注7とこに規定されています。
処方せん料
薬剤の一般的名称を記載する処方せんを交付した場合は、当該処方せんの内容に応じ、次に掲げる点数を処方せんの交付1回につきそれぞれ加算する。
イ 一般名処方加算1 → 3点
ロ 一般名処方加算2 → 2点
補足通知
(11) 「注7」に規定する一般名処方加算は、後発医薬品のある医薬品について、薬価基準に収載されている品名に代えて、一般的名称に剤形及び含量を付加した記載(以下「一般名処方」という。)による処方せんを交付した場合に限り算定できるものであり、交付した処方せんに含まれる医薬品のうち、後発医薬品のある全ての医薬品(2品目以上の場合に限る。)が一般名処方されている場合には一般名処方加算1を、1品目でも一般名処方されたものが含まれている場合には一般名処方加算2を、処方せんの交付1回につきそれぞれ加算する。
要約すると、1種類でも一般名があれば2点、すべて一般名で記載すれば3点という2パターンがあります。
今までは一般名処方加算2に該当するパターンしかなかったので、一つだけ確実に、ジェネリック医薬品が存在する先発品を一般名にして記載すればいいだけなので疑問になることはほとんどありませんでした。
とりあえず【般】レバミピド錠を1ついれとけばこれでOKです。
しかし、追加になった一般名処方加算1を算定しようとすると、変更できるもの全部を変更しなくてはなりません。
そうなると、どこまでの範囲を一般名にすればいいのか判断に迷います。
たとえば、
- 先発医薬品しか存在しないもの
- ジェネリックしか存在しないもの
- ジェネリックと先発品に薬価差がないもの
これらの取り扱いはどうすればいいのでしょうか?
今回はこのあたりを解説していきます。
疑義解釈で明示されると思っていたのですが、どうやら疑義解釈「その1」では回答が得られなかったようです。
追記(2016年6月17日)
→「その4」で関連する疑義がでたので載せておきます。
【投薬】
(答)そのとおり(ただし、先発医薬品と薬価が同額又は高いものは除く。)。なお、平成29年3月31日までの間は、後発医薬品のある先発医薬品及び先発医薬品に準じたものについてのみ一般名処方されていれば、先発医薬品のない後発医薬品が一般名処方がなされていなくても加算1を算定して差し支えない。また、一般名
処方加算2の対象については従前の通り、先発医薬品のない後発医薬品は含まれない。
びっくりなことに「先発医薬品のない後発医薬品」も一般名にしないといけないみたいですね。たとえば、カリーユニ点眼はピレノキシン点眼と記載することになります。
「先発医薬品のない後発医薬品」の例としてはカリーユニ点眼、メチコバール錠、カロナール錠、マグミット錠とかね。
ただ、これに関してはいまは暫定的な扱いになっており平成29年3月31日までは気にしなくていいみたいです。
「先発医薬品と薬価が同額又は高いものは除く」とあるのでメトグルコやケフラールみたいに先発と後発で薬価差がないものに関しては対象になりません。
レセコン・電子カルテまかせで設定しておけば間違いないのですが、一応、各自で判断するときの判断基準についてしらべたのでまとめてみる。
これらの医薬品は一般名で記載する必要あるの?
一般名処方についてはわかりにくいから、厚生労働省の方で一般名処方マスタというのを作成し公開してくれている。
>>処方せんに記載する一般名処方の標準的な記載(一般名処方マスタ)について(平成28年4月20日適用)
このマスターはすべての医薬品の一般名称をまとめたものではありません。あくまでも一般名処方の対象となる医薬品をまとめたものです。
名前が一般名処方マスターですからね。
つまり、
一般名処方加算1を算定するのであれば、このリストに記載されているもの全てを一般名にしとけば事足りると言うことです。
こちらのリストにあるものを解析してみてみると、先ほどの疑問のある医薬品をどのような扱いをすればいいのかがわかる。
先発品しか発売されていないもの
たとえば、
ソランタール錠、ビビアント錠、ザイザル錠、新薬など
これらはもう先発しかないので一般名に変える必要性はまったくありません。一般名で書いたところで、だせるものはソランタールしかないからです。
そもそも一般名処方加算の対象が「後発品のある医薬品を変更した場合」となっているため当然対象外になります。
後発品しか存在しない医薬品
たとえば、
カロナール錠、マグラックス錠、メチコバール錠など
マスタを見てみるとわかるけど、これらも一般名処方の対象になっていません。
メチコバールなんかは他の後発品に変更したほうが安くなるけど、それでも入っていません。
この理由が、一般名処方の対象が「後発品のある医薬品を変更した場合」なので、このように読み替えられます。
「後発品のある医薬品」→「後発品のある先発品」
つまり、先発医薬品を一般名処方した場合だけが対象になるのです。ということで、後発品しかないような医薬品は対象外になります。
さっきの読み替えが強引なのでここで疑義解釈参照
参考:厚生労働省 疑義解釈資料の送付について(その5)
【一般名処方加算】
(問6)一般名処方加算については、後発医薬品のある先発医薬品について一般名処方した場合に算定できるとあるが、後発医薬品が存在するすべての医薬品を先発医薬品として、一般名処方加算の対象としてよいか。
(答)一般名処方加算については、後発医薬品のある先発医薬品について一般名処方した場合に算定できるとしており、この場合の「先発医薬品」とは、昭和42年以後に新薬として承認・薬価収載されたものを基本としているところであるが、昭和42年以前に承認・薬価収載された医薬品のうち、価格差のある後発医薬品があるものについては、「先発医薬品に準じたもの」とみなせることから、これらについても一般名処方加算を算定できることとする。
こちらの疑義解釈で「後発品のある医薬品」を「後発品のある先発医薬品」と読み替えていまね。
先発品と後発品の薬価差がないもの
たとえば、メトグルコやケフラールカプセルです。これらは先発医薬品と後発医薬品の薬価差がありません。
タイトルには便宜上、後発医薬品と記載していますが、実は、先発品と後発品の薬価差がない場合は後発医薬品のカテゴリーではなくなるのです。
たとえば、セファクロルカプセル「サワイ」、メトホルミン塩酸塩錠250mgMT「日医工」は後発医薬品ではなくなります。
ジェネリック検索で調べてみればわかるけどジェネリックのカテゴリーではないはずです。加算の算定要件である「後発医薬品のある医薬品を変更した場合」から外れてしまいます。
>>参考:かんじゃさんの薬箱 「ジェネリック医薬品」Q&A 日本ジェネリック医薬品学会
よって、この場合も「後発品のある医薬品」と呼べないので一般名称に変更する必要はありません。
まとめ
- 先発医薬品しか存在しないもの
- ジェネリックしか存在しないもの(暫定措置)
- ジェネリックと先発医薬品に薬価差がないもの
これらすべて、一般名に変更しなくても一般名処方加算1は算定することができます。
判断に迷った時には一般名処方マスタ見てみてください。