今回は意外と知らない処方箋のローカルルールを解説します。
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なぜ調剤済みの処方箋にやたらと判子を押さないといけないのか?
調剤済みの処方箋って、やたら判子を押さないといけないんだけど、あの判子って全部必要なんでしょうか?
記載すべき事項とともに順を追って見ていこう。
調剤済みの処方箋に記載すべきこと
①調剤済み年月日
②保険薬局の所在地及び名称
③保険薬剤師氏名印(署名又は記名・押印)
④疑義照会
調剤薬局で揃えているであろうスタンプ
①店判(住所と薬局名称)
②日付判子
③薬剤師フルネーム横判
④薬剤師マル印
⑤調剤済み
『日付』や『調剤済み』は薬剤師横版と一緒になっていたり店判と一緒になっていたりするので、だいたい3種類のハンコを処方箋に押すことになります。
ここで注目したいのが薬剤師の名前が2種類あることです。記載すべき事項にある薬剤師の名前は「署名又は記名・押印」となっています。
署名とは、自筆のサインの事でサインすれば判子は押さなくて構わない。
記名・押印とは、まず記名が印刷やスタンプした名前のことで、印刷された名前だとサインと比べて個人を特定する能力は著しく低くなる。それを補うのが押印です。
記名された名前が確かに自分のものであるということを確認したということで押します。記名と押印を一緒にすると署名と同程度の個人を特定する能力があると言われています。
だから、薬剤師の横版は記名用で、マル印は認め印用になるわけで、やはり2種類しっかりと押さないといけない。
処方医の欄も同じです。処方箋には、医師の署名または記名・押印が必要で、署名されている処方箋なら医師の印鑑は省略できます。
『調剤済み』の記載は必要ないのか?
先ほど調剤済みの処方箋の記載事項をあげたが、そこに『調剤済み』の記載はない。
これは調剤済み年月日欄に調剤済みの日付を記載することで調剤済みとみなされるため、記載は義務ではないのです。
でも、何処の薬局にもだいたい『調剤済み』スタンプはあります。
これは、病院ごとにフォーマットの違う調剤済み年月日欄に正確に日付スタンプを押すのが面倒だから、調剤済みスタンプと日付をセットで押せば、正確に年月日欄に記載しなくすむ。備考欄の空白に無造作に押印しても「調剤済み」になったことがわかる。
処方箋の訂正について
処方箋の訂正があった時は定規で2重線を引いて押印するのが慣例です。
これはそのようにしないといけないと決まっているわけではないんだけど、診療報酬明細書や診療報酬請求書の記載要領に「修正液を使用すること無く、誤って記載した数字などを=線で抹消のうえ、正しい数字等を記載すること」とされており、処方箋もこれに準じて2重線で抹消して押印することになる。
処方箋の期限延長はホントはできない?
実は、処方箋の使用期限が切れた処方箋は、医師に疑義照会して処方箋期限を延長してだしてくれと言われても出すことができないというのが正式なルールである。
関東信越厚生局の集団指導文書にもそのように明記されている。
ただ、現場では処方箋を延長することはよくあることで、返戻が来たなんてことはいままでない。
ただ、厚生局がだした文書に記載されていることから、指導・鑑査を受けた時に重箱の隅をつつくかのごとく注意されるのだろう。
疑義照会が備考欄が狭すぎて記載できない
疑義照会した時は、いつ、誰が、誰に、疑義理由、変更内容を記載しないといけない。
主に備考欄に記載するんだけど、備考欄は発行元の病院はほとんど使用しないことから軽視されがちで、とても小さいときがあります。
そうすると普段は構わないのだが、いざ疑義照会を書こうとするとスペースがないなんてことがある。
そういったときは処方欄(以下余白の余白部分)を利用すればいい。
疑義照会の内容は、「備考」欄または「処方」欄に記載することされているので、普段は、備考欄に書いとけばいいのだが、スペースがないときには処方欄を利用してもまわないのだ。
処方箋の保存期間は3年と5年のものがある
調剤済の処方箋って邪魔ですよね。
A4のコピー用紙って一束が500枚だと思うんだけど、あれで厚さ4.2cmあるのね。
1年で2万枚の処方箋を応需したとして、それと一緒に調剤録も印刷して保管して、更に、のりづけなんてしたら、1枚の厚さは3倍位になります。
ということで、これで計算するとなんと5mの高さに処方箋が積み上がります。基本的に3年ストックだから、3年以上営業している店は処方箋15mぶんくらいは保管しないといけない。うちは休憩室を保管場所にしているのでこの処方箋がスペースを圧迫して休むスペースがありません。
邪魔でしょ?
一刻も早くシュレッダーかけてゴミ業者に回収してもらいたいわけだけど、気をつけないといけないのが5年保管の処方箋があるってこと。
事前にこれを別で保管しとかないとシュレッダーする時に大変なことになる。5年保管しないといけない処方箋は、生活保護と自立支援です。
処方箋の保管期限は薬剤師法によって定められているが、それとは別にこれらの処方箋は生活保護法と自立支援法の縛りがあるから5年です。
法別番号12(いちにー)、法別番号21(にーいち)は要注意ですね。