オーソライズドジェネリックってご存知でしょうか?ジェネリック医薬品のなかでもプレミアムなジェネリックなので、もし薬局でこれをすすめてくれたらメリットしかない迷わず変更をおすすめします。
今回そんな「オーソライズドジェネリック(AG)」について解説していきます。
AGを解説する前にまずは、普通のジェネリック医薬品について触れておきます。
ジェネリックいわゆる後発品は、先発品と有効成分は同じで価格がやすいというメリットから医療費削減のために推進されています。国が率先してすすめてる政策だから、薬局もその方針に沿ってバンバンすすめています。
ジェネリックは有効成分が同じなので効き目はおなじとされているものの添加剤や製造方法は異なるため完全に同一商品ではありません。
しかし、最近登場した一部のジェネリックは先発品と添加剤から製造方法まで完全に同一です。これなら同一と言っても差し支えないでしょう。
これがオーソライズドジェネリックです。
のちほど一覧表にしていますが、そのほとんどが製造所・製造工程も同じです。同じ生産ラインでつくって最後の刻印スタンプだけが違うものをジェネリックとしてやすく提供してくれているだけなので、オーソライズドジェネリックがあるなら先発品を使うメリットはありません。どんどんAGをつかった方がいいと思います。
似たような感じでバイオジェネリックってのもあるので、それに関してはバイオシミラーの記事で解説しています。
オーソライズドジェネリックは先発品メーカーから正式に特許のライセンス許諾を受けた後発品メーカーが作るジェネリック医薬品です。
先発品メーカー公認でつくれるから、先発品メーカーの指導を受けて全く同じ添加剤で同じ作り方で、先発品と同等のジェネリック医薬品が作れます。
普通は、先発品メーカーは後発医薬品がでてしまうと値段が高い先発品が売れなくなってしまうので後発品の発売はとても嫌なことです。
しかし特許が切れてしまったら後発品の発売を阻止することはできません。それこそゾロゾロと1つの先発品に30社くらいでアホみたいに登場します。
ライバル後発品メーカーにシェアを奪われてしまうのであれば、自分が公認した後発品メーカーを使ってもらた方がまだましってわけです。特許権の使用許諾もするからライセンス料も回収できますね。
通常は資本関係がある子会社が作ることが多いのですが、最近はいろいろと複雑で、資本関係がない後発品メーカーがAGを出すこともあります。たとえば、クレストール(アストラゼネカ/塩野義)みたいに後発関連会社をもたない会社が、他企業(第一三共エスファ)からAGを発売することもあります。
これは第一三共エスファがAGを発売したいがために先発メーカーにライセンス料をしはらって全く同じものを発売させてもらっています。先発メーカーはライセンス料で利益がでるし、後発メーカーは他社の後発品よりも早く発売できて市場を専有できるしAGというアドバンテージがあって選ばれやすくなる。ライセンス料で利益が圧迫されますが、AGによるアドバンテージはそれを優に超えていくのでしょう。
他社後発メーカーはたまったもんじゃないですけどね。
追記一覧表を別記事で見やすく表にしました。
関連記事オーソライズドジェネリック(AG)に変更するといくら安くなるのか一覧表まとめ
オーソライズドジェネリック一覧:2017/08/17
アレグラ錠→フェキソフェナジン塩酸塩錠「SANIK」
日医工サノフィ(日医工とサノフィの共同出資会社)
プラビックス錠→クロピドグレル錠「SANIK」
サノフィ・ゼンティバ社(サノフィの子会社)
ディオバン錠→バルサルタン錠「サンド」
サンド(ノバルティスファーマのグループ企業)
エックスフォージ配合錠→アムバロ配合錠「サンド」
サンド(ノバルティスファーマのグループ企業)
コディオ配合錠→バルヒディオ配合錠「サンド」
サンド(ノバルティスファーマのグループ企業)
ブロプレス錠→カンデサルタン錠「あすか」
あすか製薬(武田薬品が筆頭株主)
ユニシア配合錠→カムシア配合錠「あすか」
あすか製薬(武田薬品が筆頭株主)
エカード配合錠→カデチア配合錠「あすか」
あすか製薬(武田薬品が筆頭株主)
クラビット錠→レボフロキサシン錠「DSEP」
第一三共エスファ(第一三共の子会社)
キプレス錠・シングレア錠→モンテルカスト錠「KM」
キョーリンリメディオ㈱(キョーリン製薬ホールディングス㈱の子会社)
バルトレックス錠→バラシクロビル錠「アスペン」
アスペンジャパン㈱(グラクソ・スミスクラインと業務提携)
パキシル錠→パロキセチン錠「アスペン」
アスペンジャパン㈱(グラクソ・スミスクラインと業務提携)
イミグラン錠→スマトリプタン錠「アスペン」
アスペンジャパン㈱(グラクソ・スミスクラインと業務提携)
タリオン錠→ベポタスチンベシル酸塩錠「タナベ?」「ニプロ?」「NP?」
田辺製薬販売㈱(田辺三菱製薬の子会社)
ロイコボリン錠・ユーゼル錠→ホリナート錠「タイホウ」
岡山大鵬薬品㈱(大鵬薬品工業の子会社)
ミカルディス錠 → テルミサルタン錠「DSEP」
第一三共エスファ(第一三共の子会社)
クレストール錠 → ロスバスタチン錠「DSEP」
第一三共エスファ(第一三共の子会社)
レザルタス錠LD/HD → オルアゼ錠LD/HD「DSEP」
第一三共エスファ(第一三共の子会社)
ミカムロ配合錠AP/BP → テラムロ配合錠AP/BP「DSEP」
第一三共エスファ(第一三共の子会社)
ミコンビ配合錠AP/BP → テルチア配合錠AP/BP「DSEP」
第一三共エスファ(第一三共の子会社)
グレースビット錠 → シタフロキサシン錠「DSEP」
第一三共エスファ(第一三共の子会社)
ディナゲスト錠/OD錠→ジエノゲスト錠/OD錠「モチダ」
持田製薬販売(持田製薬の子会社)
ティーエスワン配合OD錠→エスワンタイホウ配合OD錠
岡山大鵬薬品㈱(大鵬薬品工業の子会社)
ムコスタ錠 → レバミピド錠「オーツカ」
大塚製薬工場(大塚製薬の子会社)
メイアクトMS錠 → セフジトレンピボキシル錠「OK」
大蔵製薬㈱(MeijiSeikaファルマの子会社)
メイアクト小児用細粒 → セフジトレンピボキシル小児用細粒「OK」
大蔵製薬㈱(MeijiSeikaファルマの子会社)
アバプロ錠/イルベタン錠 → イルベサルタン「DSPB」
DSファーマバイオメディカル(大日本住友製薬の子会社)
スタレボ配合錠 → エカレボ配合錠
サンド(ノバルティスファーマのグループ企業)
トライコア錠/リピディル錠 → フェノフィブラート錠「武田テバ」
リピディル(あすか製薬) → (武田テバファーマは武田とテバの合弁会社)
ファムビル錠? → ファムシクロビル錠「DSEP」
AGか不明
トラバタンズ点眼液 → トラボプロスト点眼液「サンド」
サンド(ノバルティスファーマのグループ企業)
コソプト配合点眼液 → ドルモロール配合点眼液「SEC」
参天アイケア(参天製薬の子会社)
ナゾネックス点鼻液 → モメタゾン点鼻液「杏林」
キョーリンリメディオ㈱(キョーリン製薬ホールディングス㈱の子会社)
例えば、
アレグラ(製造販売元:サノフィ)のオーソライズドジェネリックの製造販売元は日医工サノフィといって日医工とサノフィの共同出資会社です。
プラビックス錠(製造販売元:サノフィ)のオーソライズドジェネリックの製造販売元はサノフィ・ゼンティバ社といって100%サノフィ子会社です。
ディオバン(ノバルティスファーマ)のオーソライズドジェネリックの製造販売元はサンドで、ノバルティスファーマのグループ企業です。
ディオバンに続いてエックスフォージ(バルサルタン・アムロジピンベシル酸塩配合剤錠)のAGとしてアムバロ配合錠「サンド」も薬価収載されました。さらに、コディオEX・MD配合錠のAGとしてバルヒディオEX・MD配合錠「サンド」があります。つづいてスタレボのAGエカレボ錠「サンド」やトラバタンズ点眼液のAGトラボプロスト点眼液「サンド」も登場です。
ユニシア配合錠とブロプレス錠とエカードLD(HD)配合錠は武田工業製薬が出している薬で、これのジェネリックであるカンデサルタン錠「あすか」、カムシア配合錠LD(HD)「あすか」、カデチアLD(HD)配合錠「あすか」がAGです。あすか製薬は武田工業製薬が筆頭株主の会社ですね。
カンデサルタン錠「あすか」は3ヶ月他社よりも先行販売したことでGEのシェアの6割を獲得できたといいます。ただ、カムシアに関しては発売日が同一なので先行販売の利はないようですね。
武田のAGは「あすか」で決まりかと思いきや、武田テバファーマや武田テバ薬品とかでてきて、今後はこっちでAGがでるようですね。
リピディル錠はあすか製薬でだしてる薬だけど、このAGであるフェノフィブラート「武田テバ」は武田テバファーマからでます。
キプレス錠とシングレア錠は両方共先発品で剤形も豊富で在庫が大変ですが、そんな不便もAGの発売で一発解消です。キョーリン製薬ホールディングス株式会社の子会社であるキョーリンリメディオ株式会社が現在AGであるモンテルカスト錠10mg・5mg「KM」を2016年9月1日に1社だけで先行発売しました。他社のモンテルカスト錠は同年12月を予定しています。
グラクソ・スミスクラインもAGに参加するそうで、南アフリカを拠点とするグローバルジェネリック薬メーカーのアスペンと戦略的提携し、アスペンが新設する日本法人「アスペンジャパン」がGSKの長期収載品をいくつかオーソライズドジェネリックで発売される予定です。たとえば、バルトレックス錠(バラシクロビル錠「アスペン」)、オーグメンチン錠、パキシル錠(パロキセチン錠「アスペン」)とかです。バルトレックス錠やパキシル錠はすでにGEでてるので後出しのAGですね。
タリオン錠(田辺三菱製薬)がアレグラ錠に次ぐ抗アレルギー薬の2つ目のAGとしてベポタスチン錠「タナベ」が田辺製薬販売株式会社から平成28年12月に発売されます。田辺製薬販売株式会社は、ジェネリック医薬品の販売を行う田辺三菱製薬の100%子会社です。
*追記:田辺製薬販売㈱はニプロに売却されてしまったので、ベポタスチン錠「ニプロ」もしくはベポタスチン錠「NP」になるのかもしれません。
ユーゼル錠(大鵬薬品工業)はホリナート錠「タイホウ」が岡山大鵬薬品株式会社から販売されています。岡山大鵬薬品株式会社は医薬品等の製造・販売を行う大鵬薬品工業の子会社です。ユーゼル・ロイコボリン錠(1錠で約2200円)は薬価が高いのでAGに切り替える効果は大きい。
ティーエスワンOD錠(大鵬薬品工業)は抗がん剤なので高額商品になります。抗がん剤は価格が高いけどいいものを使いたいという心理があります。AGは品質が先発品と同じなので高いけど後発品にはしたくないという人へのニーズがあります。ティーエスワンにはカプセルや顆粒があるようですが、ひとまず販売が決定しているのはエスワンタイホウ配合OD錠のみです。
ミカルディス錠・ミカムロ配合錠AP/BP・ミコンビ配合錠AP/BP(日本ベーリンガーインゲルハイム(BI)とアステラス製薬が共同販促)は日本BIとアステラスはともに後発医薬品関連会社を持たないため、特許切れ後の製品戦略が不明だったが第一三共エスファという意外なところからAGが発売されることになった。
クレストール錠(アストラゼネカと塩野義の併売)だけど、どちらも後発医薬品の関連会社を持たないからこちらも第一三共エスファからでるというサプライズ。どこからでようがAGはAGだからいいんだけど、こんな戦略もあるのねって感じ。
第一三共エスファはミカルディス錠、オルメテック錠、クレストール錠、クラビット錠、グレースビット錠、ミカムロ配合錠、ミコンビ配合錠、レザルタス配合錠のオーソライズドジェネリックを抱えることになり後発メーカーの中で存在感がきわだちました。これからAGといえば第一三共エスファというイメージが定着するかもしれません。そして、AGだけでなくジェネリックは第一三共エスファがいいんじゃない?ってなるかもしれない。
オルメテック錠・クラビット錠・グレースビット錠・レザルタス配合錠は第一三共の薬だけど、子会社に第一三共エスファってあるからそこから先発が第一三共の薬を第一三共エスファがだしたらだいたいAGになる。
ディナゲスト錠/OD錠(持田製薬)は子宮内膜症の治療薬で、1錠500円くらいする高額商品で、1日2錠服用することが多いので、1ヶ月も服用すると10000円近くする。しかも1ヶ月ではすまずことの方が多い。AGであるジエノゲスト錠/OD錠は子会社の持田製薬販売から発売されます。高額商品が同一品質で半額になるのはありがたいですよね。
メイアクトMS錠とメイアクト小児用細粒(MeijiSeikaファルマ)で子会社の大蔵製薬㈱からセフジトレンピボキシル錠100mg「OK」が発売されます。「OK」とかはじめてみましたが、大蔵(OKURA)から取ったのでしょう。
ファムビル錠のジェネリックであるファムシクロビル「DSEP」がでますが、オーソライズドジェネリックを得意とするDSEPですがこちらはAGになるんでしょうかね?まだ不明です。ファムビルはマルホが販売してるけど、元はノバルティスファーマAGの商品だからサンドからAGでたりして。ファムビル錠250mgは1錠489.9円で1日6錠(3000円)とバカ高いのでAGに限らずジェネリックあるなら変更がオススメです。
イルベタン錠/アバプロ錠のAGはイルベサルタン錠「DSPB」です。イルベタン錠とアバプロ錠は先発併売品で内容は同じものです。イルベタンが塩野義製薬で、アバプロ錠が大日本住友です。塩野義のクレストールがDSEP(第一三共エスファ)でAGだしたので、こっちもDSEPでくるかと思いきや、アバプロ錠の大日本住友の方からAGきましたね。DSPBはDSファーマバイオメディカルの略です、DSEP(第一三共エスファ)とそっくりなので混同しないように注意です。
大日本住友はいままでAGだしてきませんでしたが、これを期にアムロジン(大日本住友)で、いまさらながらアムロジピン「DSPB」がくるかもしれない。でもアムロジピンは薬価が安いのでいまさらやらないですよね。アムロジピン2.5は1錠10円くらいです。配合錠にするとしばしばアムロジピンの薬価は無視されます。
イルベサルタンのジェネリックがきたらお次はアイミクス配合錠のジェネリックですよね。アバプロ錠(大日本住友)+アムロジン錠(大日本住友)なので、これは確実に「DSPB」からくるでしょう。
ちなみに、先発メーカー自身でジェネリック医薬品を発売することは禁止されているので、自社でオーソライズドジェネリックを発売することはできず独立した組織が販売しなければならないらしい。
オーソライズドジェネリックのメリット
このオーソライズドジェネリックは他のジェネリック医薬品と比べて優位な点として品質が先発品と同等であることがあげられますが、この他にももう1点優位な点がある。
それは発売日です。
ジェネリック医薬品を作るにあたっては、先発品の特許が切れるまで待たないといけないのですが、このオーソライズドジェネリックは正式に特許権者(専用実施権者)から通常実施権(使用ライセンス)を取得するから、
特許権が切れなくても特許権を侵害することなく生産販売をすることができ、特許権侵害訴訟をうけるリスクなく他のメーカーに先立って生産販売ができるのです。
薬局は、基本的にはジェネリック医薬品が発売されるのを切望していて発売されたらどのメーカーのジェネリックを使用するか選定します。
オーソライズドジェネリックは先立って発売するからジェネリック採用を検討するときの選択肢としてはこれ一択しかない。
そして、品質は先発と同等だから文句なく採用が決まります。
一度採用を決めたらあとからゾロゾロと後発品が発売されたとしても在庫が増えてしまうから変更はしません。
このような理由から、先に市場を専有することができあとから発売される後発品に備えることができるのです。
なぜ先発品と後発品は完全に同一ではないのか?
特許が切れたら自由に後発品医薬品が作れるはずなんだけど、
なぜ添加剤が違うのでしょうか?
まず、「切れた特許」とはこの場合は、医薬品の有効成分の特許で物質特許を意味します。
特許権は一般公開されているから誰でも見ることができ、これをみれば作り方が書いてあるから真似すれば作れるわけだ。
ただし、特許が切れる前にこれを作ってしまったら特許権侵害で訴えられてしまいます。
有効成分の特許が切れたらだれでも利用できるようになるんだけど、特許権で公開されている技術的範囲(クレーム)は有効成分に関するものだけだから、有効成分以外に使用している添加剤とか作り方は書いていないんです。
製薬会社は特許を取得していない部分に関しては公開する義務はないので、この点は独自で考える他ありません。
また、錠剤を作る技術でも別に特許を取得していたら有効成分の特許とは別にその技術も切れるまでまたないと使用できませんね。
だから、
ジェネリック医薬品は有効成分は同一だけど添加剤や作り方は異なるわけ。ただ、それはデメリットでもあるが同時に強みにもなります。
先発品に製剤的な工夫を加えて、いままでにない剤形をにしたり、錠剤の大きさを小さくしたり、味を工夫したりして利便性を高めたジェネリックも多くある。
これらのジェネリックのことをアドバンストジェネリックと呼んでいる。
アドバンストジェネリックの例
アムロジンOD錠 → アムロジンODフィルム
クラリチンレディタブ → ロラタジンODフィルム
ベイスンOD錠 → ボグリボースODフィルム
セフゾンカプセル → セフジニル錠
イソバイド → イソソルビド「あすか」
例がフィルム剤ばかりになってしまったが、セフゾンは先発品だとカプセルしかなかったのが、後発品だと錠剤も選択することができる。イソソルビド「あすか」は飲みづらいイソバイドの味を改良し飲みやすくした製剤。イソバイドは飲めなくてもイソソルビド「あすか」なら飲めるという人は多い。
医薬品の特許権について
「特許が切れる」とあるが具体的にはどれくらいの期間で切れるのでしょうか?
特許権ってのは、一部の例外をのぞいて出願から20年が有効期限です。
出願ってのは、特許を取りたいと書類を提出した日のことで、まだ審査前だからこの時点では特許権は発生していないんだけど、特許権の起算日はこの出願日になります。
この20年には例外があって、これに該当するのが医薬品です。
医薬品は人体に影響がないかなどの臨床試験がいっぱいあって、せっかく特許をとったとしても臨床検査中は販売できないから、実質特許が使用できない期間が生じる可能性がある。
これは仕方のない事なんだけど、医薬品に関しては莫大な開発費を限られた20年で回収しないといけないから、
流石に可哀想ってことで、
特許権が登録されてからも臨床検査で実質使用できなかった期間分は5年を限度として延長を認める特例がある。
よって、医薬品の特許権は、最大で出願から25年まで認められる。
オーソライズド・バイオシミラーとは
バイオシミラーとは、バイオ系の医薬品の後発品にあたるものです。正確に言うと後発品ではなく「後続品」になるらしいです。
ジェネリック医薬品は、有効成分が先発品と完全一致という前提のもと様々な臨床試験が免除されています。
有効成分が完全一致かどうかは医薬品の構造を解析すればわかるのですが、バイオ系の医薬品は低分子化合物の後発医薬品とは異なり、高次構造が複雑で同一性を示せないので、似ているけど完全に一致ではないのです。
後発品とちがって臨床試験を省略できないからバイオ後続品は臨床試験が必要なります。
よって、低分子化合物の後発医薬品よりもはるかに、承認を得るためのハードルが高いわけです。そこで、考えたのがオーソライズドジェネリックです。
先発品メーカー指導のもとに同じ工程で作れば、臨床試験をいろいろと省略できるかもしれません。省力できるかどうかは、明確な決まりがないのでその都度検討みたいですけど。
で、いまのところバイオのAGは国内にはありませんが、協和発酵キリンが「ネスプ注射液」のAGを手がけると決めたそうです。
協和発酵キリンは主力製品「ネスプ」のオーソライズドジェネリック(AG)を手掛ける新会社「協和キリンフロンティア」(東京都千代田区)を1月18日付で設立したと発表しました。
バイオシミラーの開発では臨床試験などに多額の投資が必要で、ただでさえ、低分子化合物の後発医薬品よりもリスクが高いのに、さらにオーソライズド・バイオシミラーが出てくるとなれば、投資を回収できる見込みが下がることは明確なので、関連企業からは反発が大きいようです。