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法律

FAXやメールでの処方箋応需って法律的にどうなの?

FAXで処方箋応需ってもう普通にやってますよね。大手薬局チェーンでは大々的に取り入れて宣伝してます。

これは患者を囲い込むためなんだけど、法律的にはFAX調剤ってどうなのかなって調べてみた。

で、そんな細かいことはいちいち法律で規定してないです。ただ、行政の解釈として行政通知がいくつかでているのでそこら辺を参考にしていきたいと思う。

FAX調剤とは、処方箋の内容を事前にFAXしてもらうことで薬局で準備しておいて患者が処方箋をもってきたら渡すんだけど、予め準備しているだけであって最終的には処方箋原本と照らしあわせてから処方箋原本に基づいて渡すので、間違いなくOKです。

メールも同じです。写メったのメールすることでファックスと同じようなことできます。これも結局は処方箋と引き換えにお渡しするので同じことですね。

今回はもうちょっと細かいところを解説したいと思う。論点は次の2点です。

・FAXの受付日を処方箋受付日とみなしてもいいのか?
・FAXにもとずいてお届けするのはありなのか?

論点1

FAXの受付日を処方箋受付日とみなしてもいいのか?

実務的には、ファックスやメールをもらたらすぐに入力するので、入力した時点で受付としているところが多いと思います。処方箋の期限って4日って決まってるから早めに受付けたいわけだけど、FAXの受付をもって処方箋を受付けたことにしていいのか?

だって、処方箋の期限が4日って決まってる理由は4日の間に症状が変わってしまって、その薬でホントにいいのかどうかの判断ができなくなってしまうからです。風邪薬とか4日たったら、もう治癒して必要なくなってるかもしれない。そういうときに患者の判断で服薬をさせないためにも、特別な理由がない限りは4日と定められている。

となると、FAXで受け付けたことで、取りに行くのはいつでもいいというルールだと患者の判断で期限を延長したことと同じことになる。

こんなことを薬局の判断で行ってもいいのでしょうか?

こんなこと気にしたことないんじゃないでしょうか。当たり前のように「期限切れる前にFAXだけしてくれたら受け付けたことにしますよー」って説明しているとこはたくさんあります。いまさらダメなんて言えないですよね。

処方せん受入れ準備体制の整備のためのファクシミリの利用について」という行政通知がでているのでこれを参照してみる。

長いけど全文引用してみる。安心してください、あとで大事なとこだけピックアップすので全文読まなくても大丈夫ですよ。

処方せん受入れ準備体制の整備のためのファクシミリの利用について
(平成元年一一月一五日 薬企第四八号・保険発第一〇七号)
(各都道府県衛生・民生主管部(局)長あて厚生省薬務局企 )
(画・保険局医療課長連名通知             )1 調剤は、患者等が持参する処方せんを受け取って内容を確認することにより完結するものであり、ファクシミリで電送された処方内容に基づいて行う薬剤の調製等は、患者等が持参する処方せんの受領、確認により、遡って調剤とみなされるものであること。

2 ファクシミリにより処方内容をあらかじめ電送することは、患者の調剤待ち時間の短縮及び患者の住居地近くの薬局における薬歴管理、薬物の相互作用の防止等の観点からの処方内容の十分なチェックの実施、在庫医薬品の有無の事前チェック等、専らいわゆる地域分業による患者サービスの向上に資することを目的として行うものであること。

3 当該病院等の関係者が、直接又は患者若しくはその看護に当たる者を誘導して、処方内容を特定の薬局に電送することは、昭和五〇年一月二四日薬発第三七号薬務局長通知及び昭和五七年五月二七日薬発第五〇六号・保発第三四号厚生省薬務局長・保険局長通知に示した薬局の医療機関からの構造的、機能的、経済的な独立に反するものであること。

したがって、次のような条件を完備し、患者又はその看護に当たる者がファクシミリを利用して処方内容を電送する薬局を自由に選択できる体制が、客観的に認められなければならないこと。

(1) 病院のロビー、待合室等、外来患者又はその看護に当たる者が自由に自分の意志で利用しうる場所にファクシミリが設置されていること(病院の診察室、薬局、事務室等、外来患者が通常自由に出入りできない場所は適当でない。)。
(2) 患者又はその看護に当たる者が住居地近くの薬局を自分の意志で容易に選択することができるよう、ファクシミリの設置してある場所の近くに、その地域の処方せん応需薬局の一覧表、ファクシミリ番号、地図等が見やすく掲示されていること。ただし、掲示されていない薬局であっても、電送可能であることを明示する必要がある(特定の薬局のみを掲示したり、多くの応需薬局が考えられるのに極めて限定的に薬局を掲示することは適当でない。)。

4 ファクシミリの利用に当たって、患者が自由に薬局を選択できることを確保するため、予め地域の処方せん応需薬局のリストアップ及び掲示方法、ファクシミリの利用に関する責任体制及び費用負担の在り方等について明確にするなど、医療機関側と薬局側が十分協議し、運用に遺憾なきを期するようにすること。

で、関連するところは「1」を抜粋して、

調剤は、患者等が持参する処方せんを受け取って内容を確認することにより完結するものであり、ファクシミリで電送された処方内容に基づいて行う薬剤の調製等は、患者等が持参する処方せんの受領、確認により、遡って調剤とみなされるものであること。

この分の最後に、「遡って(さかのぼって)」って書いてありますね。

よって、効果が遡及するので受付日も遡及してFAXをもらったときに受け付けたこととみなすことができる。ような気がするのですが、実はダメなんです。

この「遡って調剤とみなされる」というのは、あくまでもFAXによる調剤の事前準備を認めるという規定であって、受付日まで遡及を認めたものではありません。

だって、さっきも言ったけど受付日の遡及を認めてしまうと薬局の判断で処方箋期限を延長したのと同じ効力を発揮してしまいますし、日曜祝日なんかにFAXが届いいたら閉局してるのに受付とみなしていいのかってことにもなる。そしたら、日曜受付で夜間休日等加算もつけられちゃいますね。

ということで、期限内に処方箋のFAXを受領しても、4日以内に処方箋をもってこなかった場合はもうその処方箋は無効なのでお薬を渡すことはできないのでご注意ください。

でも、FAXもらったら薬の準備だけじゃなくって入力までしとかないとすぐに患者にわたすことができません。やっぱり入力しちゃいますよね。だから、もしその日にこなかったら受付削除して、こんどは持ってきた日で入力し直します。めんどくさいけど仕方ないですね。

ちなみに、電子メールのときの対応も同じですね。詳しくは、この通知▼に書いてあるので調べてみてください。

電子メール等による処方内容の電送等について(薬食総発0205第1号:平成26年2月5日)

論点2

FAXにもとずいて薬をお届けするのはありなのか?

論点1が長かったので論点2はサクッと終わらせます。

とりあえず通知を読んでもらえればわかると思うのであとで全文引用する。

結論からいうと、条件さえ満たせば患者宅にFAXにもとずいて配達に行くってのはOKで、またそれが必ずしも薬剤師が配達しないというわけでもない。

いつもと同じ内容で薬剤師が行く必要がないと判断した時は、配達を他のものに任せて電話での指導でOKという内容も書いてある。

ファクシミリを利用した処方せん受入体制と患家での薬剤の受渡しについて
(平成一〇年一二月二五日医薬企第九〇号 )
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省)
(医薬安全局企画課長通知        )患者又は現にその看護に当たっている者(以下「看護者」という。)が調剤を希望する薬局に対してファクシミリにより処方内容を電送し、当該薬局を来訪して処方せんと引換えに調剤された薬剤の交付を受ける場合の留意事項については、平成元年一一月一五日薬企第四八号・保険発第一〇七号薬務局企画課長・保険局医療課長通知により示したところであるが、さらに今般、患者等が薬局を来訪することが困難な場合におけるファクシミリで電送された処方内容に基づいて行う薬剤の調製等については、左記のとおり取り扱うこととしたので、関係者に周知されたい。
なお、本措置は、行政改革推進本部規制緩和委員会の「規制緩和についての第一次見解」(平成一〇年一二月一五日)に対応するものである旨併せて御了知願いたい。

一 患者が寝たきり又は歩行困難である場合、患者が老人で一人暮らし又は看護者が開局時間中に来訪できない場合、連続携行式自己腹膜透析療法(CAPD)透析液等容積・重量の面で患者等が運搬することが困難なものが処方された場合及び遠隔診療に基づき薬剤が処方された場合には、ファクシミリで電送された処方内容に基づいて行う薬剤の調製等は、薬剤師が患家を訪問し、処方せんを受領して内容を確認することにより、遡って当該処方せんによる薬局での調剤とみなされること。また、当該薬剤師は、薬剤師法第二五条の二に基づき、患者等に対し必要な情報提供を適切に行うこと。

二 一の場合において、調剤される薬剤が前回と同一であるため薬剤師が対面により薬剤師法第二五条の二に基づく情報提供を行う必要がないと判断し、次の(一)から(三)の条件を全て満たし、かつ薬剤師以外の薬局の従業者により薬剤の配達が行われた場合には、ファクシミリで電送された処方内容に基づいて行う薬剤の調製等は、配達を行った従業者が回収した処方せんを当該薬剤師が受領して内容を確認することにより、遡って当該処方せんによる薬局での調剤とみなされること。また、当該薬剤師は、薬剤師法第二五条の二に基づき、患者等に対し電話等により必要な情報提供を適切に行い、患者の質問等に応じること。
(一) 患者が薬剤師以外の者による配達に同意していること。
(二) 配達を行う薬局の従業者が、患家において、処方せんがファクシミリで電送されたものと同一であることを確認することが担保されていること。
(三) 当該薬局が当該患者の薬歴を有していること。

関係してるところに色つけてみました。

こちらの記事では全く違う視点で薬局のFAXの使い方について考えた記事です。よかったら一緒にどうぞ。

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