調剤済みの処方箋てやたらとスタンプ押しますよね。もちろん全部必要なんです。
薬剤師の名前に関してはおそらくフルネームスタンプ(横板)と印鑑(丸印)を2つ押すと思うんだけど、なんで2種類も必要なのでしょうか?
こんな通知が出ています。
>>外部リンク(PDF):「処方せんへの保険薬剤師の記名の取扱いについて」
この通知にはこのように書いてあります。
引用
また、保険薬剤師の氏名の記名に代えて上記のスタンプを利用する場合であっても、調剤した保険薬剤師による押印は省略できない。
ちなみに、直筆の署名を毎回すれば、スタンプもハンコも要らなくなるのですが、毎回署名するのめんどくさいですよね。
ときどき大学病院の処方箋で、処方医の欄に自署がしてあることがあるんだけど、書きなぐって読めない場合が多い。それだけ自署ってめんどくさいんですよね。
あと薬局としても自署を見かけると困惑することがあって、
署名だと医師のハンコいらなくなるから、処方箋全体をみたときにハンコ類が一切ないのだ。病院の発行印や検印はそもそも必要ないので、白黒の紙と医師のサインだけなのです。
これって簡単に偽装できてしまうじゃないですか?
本物の医師のサインを知らないわけだから、適当に書いたサインでも薬局では信じざる負えない。
ただ、睡眠薬とか安定剤などの大量処方で、医師の署名のみで白黒の処方箋に関しては、怪しんでかかり場合によっては発行元に疑義照会をすることもある。
ちょっとでいいから、処方箋にカラーの部分があると安心できますね。
さて、話をもどして先ほどの通知に関してなのだが、
当たり前のように思える内容だったんだけど、いちおう背景があって発行された通知なんです。
背景としてこんな要望が合ったそうです。
要望
つまり、厚生労働省の分局(地方厚生局)で場所によって対応が異なっていたんです。場所によっては、調剤印に名前が入っていたとしてもさらに記名しろってルールだったようで、つまり1枚の処方箋に3種類も薬剤師のフルネームが必要ということになる。
さすがに、馬鹿げてますよね。それで中央に要望を提出して是正を求めたのです。
ちなみに、他にも店の住所が記載されている店番ってのも必要だから全部で4種類もスタンプ(押印)することになる。
これはやりすぎです。
関連記事
>>調剤済み処方箋に記載について知っておくべき5項目
関連法規
薬剤師は、調剤(医師の処方せんに基づき医薬品の調製等を行うこと)したときは、その処方せんに調剤済みの旨、調剤年月日、調剤した薬局又は病院若しくは診療所等の名称及び所在地等を記入し、かつ、記名押印し、又は署名(自署)しなければならない(薬剤師法第26条及び薬剤師法施行規則第15条)。
記名押印又は署名の方法については、調剤を行った保険薬剤師が署名するか又は保険薬剤師の姓名を記載し、押印することとされている(「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年8月7日付け保険発第82号)の別紙2「診療録等の記載上の注意事項」)。
署名と記名の違い
いまさらながら記名と署名の違いを見ていきたいと思う。
署名とは
筆跡は人によって異なり、筆跡鑑定を行えば、署名した本人が契約した証拠として、その証拠能力は極めて高い。
記名とは
たとえば、プリンターやワープロで名前を印刷、ゴム印を作成してスタンプ、他人の代筆などがあげられる。
これらは本人の筆跡が残らないので署名に比べると証拠能力が著しく低くなる。
つまり、署名の方が証拠能力が高いってこと。
しかし、商法第32条にはこのように記載されている。
この法律の規定により署名すべき場合には、記名押印をもって、署名に代えることができる。
そう、日本の契約書は、署名もしくは記名押印でいいんです。
署名=記名押印という考え方て概ねあってます。そして、契約は本来署名で十分ではあるのだが、日本はハンコが重要視される社会であるため、署名+押印って契約の方が一般的ですね。
ただ、証拠能力としては署名だけでも十分といえるでしょう。
関連記事薬局の勉強に超オススメのサイト