今回は、子供用のシロップ剤の計算と賦形剤の種類について解説していきます。
シロップ剤を患者に飲んでもらう時には、キャップで計量して飲んでもらうのが一般的だと思うけど、1回に飲む量が半端になってしまった場合はキャップのメモリで量り取れないからメモリに合うように単シロップを加えて切りよく調節します。
処方例
ムコソルバン 2.5ml
1日2回 5日分
これだと1回3.75mLになるから、キャップに細かいメモリがないのでうまくはかりとれない。目分量でとってもらってもいいとおもうんだけど、それでは親切じゃないし、理解度の低いママさんは間違える原因になる。
ということで、単シロップで賦形します。
うちの薬局はキャップが0.5mL刻みになっていることから1回の服用量が0.5の倍数になるように希釈します。
上記の処方を入力すると▼こんなかんじになります。
入力例
ムコソルバン 2.5mL
単シロップ 0.5mL
1日2回 5日分
こうすると1回量が4mlになるのでうまいことメモリで量り取って飲めるようになります。
ちなみに、加えた単シロップはレセコンに入力すれば単シロップ分の薬剤料を保険請求することができます。
単シロップ程度の材料費であればサービスで構わないというのであれば入力しなくてもいい。
うちは入力してない。
さてさて、なにげなく単シロップで薄めてみましたが、他にも選択肢がるのでメリット・デメリットを紹介していきます。
小児のシロップの希釈は何ですればいいのか?
一番おおいのは単シロップだとおもいますが、他にも精製水や水道水で希釈するパターンもあります。
厚生労働省が発表している「調剤報酬点数表に関する事項」より抜粋
内服用液剤を投与する際には常水(水道水、自然水)を使用するが、特に蒸留水を使用しなければならない理由があれば使用して差し支えない。
それぞれ一長一短あるので説明します。
単シロップ(本品1mL中 白糖0.85gを含有するシロップ剤のこと)
デメリット:甘い
子供用のシロップはただでさえ甘くできているのにそこにガムシロップ加えたらとてつもない甘さになる。
虫歯になるんじゃないかって心配されるけど、風邪のシロップはみんな激甘だから単シロップ加えたところで差異はない。
精製水
とても純粋な水のことです。
デメリット:傷みやすい
水分を加えるとカビや微生物が増殖しやすくなります。消費期限が短くなるし、冷蔵庫での保管は必須です。
水道水
デメリット:患者からの評判がよくない。また乳幼児に水道水を絶対に飲ませたくないという親がいるので配慮が必要
評判がよくないといいましたが、水道水で作っていると公言はしないので、効かれない限りはわからない。水道水使った時は水道水分の保険請求できないの言うまでもないことですよね。
まとめ
当薬局のルールなんだけど7日分未満の場合は精製水、7日分以上の場合は単シロップというルールがあります。
やはり、水分が入るとシロップが傷みやすくなるので念のため1週間を超える場合は単シロップにしています。
全部、単シロップでもいいんだけど、精製水の方が味の評判はいいみたいです。
水道水を使っているとこは、保存の観点から塩素が加えられている水道水をあえて使いますが、うちでは一切使わない。
赤ちゃんに水道水は絶対にダメというわけではないけど、ほとんどのお母さんは乳幼児に煮沸していない水道水を飲ませていない。
だから、あえて薬局で水道水を強いることはしない方が無難です。
あとあと、クレーム来ても嫌だからね。
おまけ
賦形の練習問題
キャップのメモリ0.5mL単位にするための賦形の練習問題。
①処方例
ムコソルバン 2.4mL
毎食後 5日分
<考え方>
まずは、1日分で考えて最後に5倍して5日分にする。
4.8 + 2.4 = 7.2mL
3で割って、0.5の倍数になる7.2mLに一番近い数字を考える。
ということで、7.5mLになるように賦形する。
よって、1日0.3mLの水を加える。
1日7.5mLの分3だから、患者には1回2.5mLでのんでもらうことになる。
今回は、5日分なので、0.3×5日分で水1.5mLいれればOK。
②処方例
アスベリン 4mL
ゼスラン 4mL
毎食後 10日分
6 + 4 + 4 = 14mL
15mLになるように精製水1mLで希釈
すると、1回5mLになる。
よって、10mL精製水を量り取ってくわえればOK。