いよいよ健康薬局サポート薬局の届出がスタートします。
みなさん健康薬局サポート薬局ってご存知でしょうか?ココ最近よく耳にする言葉だと思いますが、まだ詳しくしらない方は多いのではないでしょうか?
今回は、届出に備えて健康薬局サポート薬局とは何か簡単にまとめてみたいと思います。
まずは健康サポート薬局の定義からです。
健康サポート薬局の定義
(医機法施行規則 第1条第2項第5号)
薬機法に定められているので届出は保健所におこないます。健康サポート薬局を説明すると長くなりますが、最終的にはこの定義に帰結するので定義を最初に何度か読み返して趣旨を漠然とイメージすると、この先スムーズに学べると思います。
健康サポート薬局は、どのような機能を有していることが求められるのか?
定義より2つの機能が求められていることがわかります。
個人の主体的な健康の保持増進への取組を積極的に支援する機能を有する薬局 → 健康サポートの機能
つまり、健康サポート薬局はかかりつけ薬局機能と健康サポート機能を併せ持った薬局に与えらる称号です。下記の要件を満たす薬局が該当します。
(1)かかりつけ薬剤師・薬局の基本的機能について
② 24時間対応、在宅対応
③かかりつけ医を始めとした関係機関等との連携強化
(2)健康サポート機能を有する薬局の機能について
② 薬剤師の資質確保
③ 薬局の設備
④ 薬局における表示
⑤ 要指導医薬品等の取扱い
⑥ 開局時間
⑦ 健康相談・健康サポート
詳しくはこのあたりのものを読むといいです。
・健康サポート薬局のあり方について(PDF)
・健康サポート薬局の基準の告示(PDF)
・健康サポート薬局の基準に関する通知(PDF)
通知は告示を補足する形です。通知と告示を組み合わせてわかりやすくしたのが「健康サポート薬局のあり方について」です。とりあえず、これ読んだほうがいいです。
さらに、これに加えて薬剤師会が作成したQ&Aも詳しくまとまっています。
・健康サポート薬局に係る基準の再周知と適正な運用に向けた対応について(お願い):PDF
詳しい要件は「健康サポート薬局のあり方について」を読んだほうがいいので、こちらでは割愛しますが、気になるとこだけちょっとずつ解説します。
ちょっとその前に、
健康サポート薬局になることで調剤報酬上のメリットはあるのか?
健康サポート薬局と調剤報酬はまったく関係ありません。つまり、点数的なメリットはありません。
そもそも健康サポート薬局の届出は保健所に行うので薬機法の管轄になりますが、調剤報酬点数表に関することは健康保険法の規定に基づくので厚生局の管轄になります。よって、いまのところは関係ありません。
ただ、もしかすると2年に1回の診療報酬改定で健康サポート薬局にしかとれない点数などが新設されることは十分に考えられます。もしくは基準調剤加算の算定要件に健康サポート薬局が盛り込まれてくるかもしれません。
いまのところメリットは健康サポート薬局を標榜して地域にアピールできるという点だけになるのですがゆくゆくは調剤報酬点数表の算定要件に組み込まれた時に急いでなろうと思っても付け焼き刃でなれるようなものではないので事前準備としていまのうちからできることはやっておいた方がいいということです。
健康サポート薬局を導入する背景
医薬分業のメリットっていうのが1つの薬局に患者の医療情報を集約して一元管理するためなんだけど、医療機関の近隣に多くの薬局が乱立してしまっているせいで、患者は受診した医療機関ごとの門前薬局で調剤を受けることが多い。
これだと医薬分業のメリットが半減です。医薬分業はそれないりにコストがかかっているのでほうっておくわけにはいきません。
また、昨今の調剤薬局は調剤ばかりに偏重してOTCや衛生材料を取り扱わない薬局も多く地域住民が気軽に立ち寄れる健康相談できるような存在になっていない。
処方箋がないと調剤薬局には入ってはいけない雰囲気はありますよね。
ということで、医薬分業のメリットを最大活かせる薬局を国のほうで認定していくから頑張ってねってシステムです。
届出のために必要な提出資料一覧
- 省令手順書
- 当該薬局に従事する薬剤師の氏名、勤務日及び勤務時間を示した勤務表
- お薬手帳の意義、役割及び利用方法の説明又は指導のための適切な資料
- かかりつけ薬剤師・薬局の意義及び役割等の説明のための適切な資料
- 当該薬局薬剤師に24時間直接相談できる連絡先電話番号等について、事前に患者等に対して説明し交付するための文書
- 直近1年間の薬剤服用歴の記録や薬学的管理指導計画書の写し等の在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績が確認できる書類
- 医療機関に対して情報提供する際の文書様式
- 健康サポート業務手順書
- 医療機関その他の連携機関先のリスト
- 地域の薬剤師会と密接な連携を取り、地域の行政機関及び医師会、歯科医師会、薬剤師会等が実施又は協力する健康の保持増進その他の各種事業等への参加実績又は参加予定が確認できる資料
- 有効な健康サポート薬局に係る研修の研修修了証及び勤務体制が確認できる資料
- 個人情報に配慮した相談窓口を設置していることが確認できる写真等の資料
- 薬局の外側に掲示予定のものが確認できる資料
- 薬局の中で提示予定のもの(実施している健康サポートの具体的な内容)が確認できる資料
- 要指導医薬品等の備蓄品目を薬効群毎に分類したリスト
- 衛生材料及び介護用品等の備蓄品目リスト
- 開店している営業日、開店時間を記載した文書
- 要指導医薬品等及び健康食品等に関する助言や健康に関する相談に対応した対応内容の記録の様式が確認できる資料
- 積極的な健康サポートの取組等の実績が確認できる資料
- 薬局において取組を発信していること等の実績が確認できる資料
- 国、地方自治体、関連学会等が作成する健康の保持増進に関するポスターの掲示やパンフレットの配布が確認できる資料
すごくないですか?提出書類の数からしてハードルの高さがうかがえます。これら全ての要件を満たしてしっかり資料を作りこんで保健所に提出してOKをもらえば晴れて薬局の外に"健康サポート薬局"って標榜できます。あとネットでも公表されます。
それにしてもすごい数ですよね。いったいこれ誰が作るの(笑)
健康サポート薬局の要件を満たすために追加で何が必要なのだろうか?
要件が細かくてわかりづらいですよね。具体的に何が追加で必要なんでしょう?追加要件の多くは「意識を高く持て」ってことなんだけど、それ以外に更に必要になるものは何でしょうか?考えてみた。
(1)かかりつけ薬剤師・薬局の基本的機能について
① 服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導
→ かかりつけ薬剤師を患者から選択できるようにすることが必要です。かかりつけ薬剤師指導料をとってるとこならそのまま続ければOK
② 24時間対応、在宅対応
→ 24時間体制で営業する必要はないけど、24時間患者相談は受けれるようにして必要であれば薬局で対応もします。在宅はいままでやっているならそれでOK。
③かかりつけ医を始めとした関係機関等との連携強化
→ かかりつけ医の連携強化とは疑義照会や情報のフィードバックや受診勧奨などです。だから、いつもの業務を強化すればいいんです。あと関係医療機関とも連携強化が必要なので在宅やっているわけだから地域包括支援センターや居宅介護支援事業所、訪問看護ステーションとの連携を強化すればいい。
(2)健康サポート機能を有する薬局の機能について
① 地域における連携体制の構築
これが色々と要件が多い。
→ 健康サポート業務手順書の作成が必要
→ 利用者からの健康の保持増進に関する相談に対し、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所及び訪問看護ステーション、健康診断や保健指導の実施機関、市町村保健センターその他行政機関並びに介護保険法における介護予防サービス及び日常生活支援総合事業の実施者その他の連携機関への紹介に取り組む。
→ 連携している医療機関の連絡・紹介リストを作成。
→ 地域の医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、栄養士会、介護支援専門員協会その他の関連団体と連携及び協力した上で、地域の行政機関及び医師会等が実施又は協力する健康の保持増進その他の各種事業等に積極的に参加。
② 薬剤師の資質確保
→ 健康サポート薬局にかかる研修を修了した薬剤師が常駐していることが必要。しかも、過去に5年以上薬局の薬剤師としての経験が必要。
→研修については下部で詳しく説明してます。下部へ。
③ 薬局の設備
→ パーテションで区切られた相談窓口が必要。
④ 薬局における表示
→ 薬局の外側:健康サポート薬局である旨と要指導医薬品等及び健康食品等の安全かつ適正な使用に関する助言及び健康の保持増進に関する相談を積極的に行っている旨を薬局の外側の見えやすい場所に掲示。
→ 薬局の内側:健康サポートの具体的な内容、ホームページ等においても実施している健康サポートの具体的な内容を紹介することが望ましい
⑤ 要指導医薬品等の取扱い
→ これは割りと大変です。基本的な薬効群を原則としつつ、地域の実情に応じて、当該薬局において供給することあり、リストは健康サポート薬局の基準に関する通知の一番最後についてるのでみてください。たくさんあります。
→ リスト見ると薬効群が50個くらいに分類されていてそれぞれ1個準備するだけでも大変です。売れないのとかでてきそう。
⑥ 開局時間
→ 平日連続して8時間以上は開局が要件だから休憩時間に閉めるのは当然だめです。平日は基本全部開局で、あと土日どちらかはやれってさ。
⑦ 健康相談・健康サポート
→ 地域の健康を担うのだから健康相談会は必須ですよね。それにともなって市販薬の充実とサプリや市販薬の知識も必須です。
→ たとえば、薬剤師による薬の相談会の開催や禁煙相談の実施、認知症早期発見につなげる
取組、医師や保健師と連携した糖尿病予防教室の開催、管理栄養士と連携した栄養相談会の開催など。もちろん薬局内だけでなく外部の研修の講師として参加もいい。
健康サポート薬局の認定薬剤師の研修はeラーニングでいいのか?
健康サポート薬局の研修は現在は2つの団体で実施されており"日本薬剤師協会"と"保険薬局協会"とがあります。
どちらも研修時間は同じです。
"技能習得型研修"と"知識習得型研修"の2種類の研修を修了する必要があり技能習得型研修は集合研修で行い、知識習得型研修はe-ラーニングで実施していきます。
両方の受講を管理し修了証の申請をしていくためには同一の研修実施機関で研修課程を修了しなければなりません。
研修時間の目安は、
e-ラーニング (知識習得型研修):22時間
集合研修(技能習得型研修):8時間
いまのところ更新制ではないようですね。
保険薬局協会なんかは20人以上の研修なら会社に出張するという"企業研修型サービス"を始めるそうです。個人で行くのめんどくさいですからね会社の研修会でまとめてやってくれると助かります。集合研修は8時間なので1回で終わらせられそうですね。
残りは、お家でWEBラーニングでとれるから大手ならこれでみんな簡単にとれます。