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平成30年度診療報酬改定

「調剤基本料」の算定要件【2018年診療報酬改定】

調剤薬局でもっとも基礎となる点数なんだけど、毎度これが複雑なんです。

なんにもなければ「調剤基本料1」を算定します。受付回数や集中率といった特別な条件が入ると「2」や「3」になってくるので、「2」や「3」にならないかどうかを重点的にチェックしていきましょう。

今回、区分の簡素化の一環で妥結率が低い薬局へのペナルティー的な位置づけの「4」や「5」は削除されるので、低妥結率へのペナルティーは別途規定されています。

今回の改定では5区分になります。調剤基本料3が「イ」と「ロ」に別れます。

調剤基本料1 41点
調剤基本料2 25点
調剤基本料3 イ 20点
調剤基本料3 ロ 15点
特別調剤基本料 10点

調剤基本料1:41点

特別の事情がなければ「1」を算定する。もっとも基本的な点数なので、この点数を目指しましょう。

調剤基本料2:25点

  • 処方箋の受付回数が1月に2000回を超えること(特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が8割5分を超える場合に限る。)
  • 処方箋の受付回数が1月に4000回を超えること(特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が7割を超える場合に限る。)
  • 特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数(当該保険薬局の所在する建物内に複数保険医療機関が所在する場合(*1)にあっては、当該保険医療機関からの処方箋を全て合算した回数とする。)が月4000回を超えること
  • 特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数(同一グループに属する他の保険薬局において、保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が最も高い保険医療機関が同一の場合(*2)は、当該他の保険薬局の処方箋の受付回数を含む。)が月4000回を超えること

(*1):薬局の所在する建物内に複数保険医療機関が所在する場合

医療モールを想定した点数で、医療モールの場合はモール内のクリニック処方箋を合算した枚数を考慮します。薬局とおなじビルにある医療機関をすべて合算するので4000枚は超えてくるでしょう。

モールなのに4000枚超えてないのはちょっと・・・。

(*2):同一グループに属する他の保険薬局において、保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が最も高い保険医療機関が同一の場合

同じ病院の門前に「チェーン1号」「チェーン2号」と出店して、1店舗あたりの処方箋枚数を少なくして月受付回数を減らそうとうするチェーン薬局への対応です。

調剤基本料3:(イ)25点(ロ)20点

調剤基本料3
(イ)同一グループの保険薬局による処方箋受付回数4万~40万回の場合(集中率85%以上):20点
(ロ)同一グループの保険薬局による処方箋受付回数40万回超の場合(集中率85%以上):15点

集中率を満たさない場合であっても「保険医療機関と不動産の賃貸借関係にある保険薬局」も該当


<原文>

調剤基本料3のイ
同一グループの保険薬局における処方箋受付回数の合計が1月に4万回を超えて、40万回以下のグループに属する保険薬局のうち、以下のいずれかに該当する保険薬局。
①特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が8割5分を超える保険薬局
②特定の保険医療機関と不動産の賃貸借関係にある保険薬局

調剤基本料3のロ
同一グループの保険薬局における処方箋受付回数の合計が1月に40万回を超えるグループに属する保険薬局のうち、以下のいずれかに該当する保険薬局。
①特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が8割5分を超える保険薬局
②特定の保険医療機関と不動産の賃貸借関係にある保険薬局

「イ」と「ロ」は母体となるチェーン薬局の規模によってかわってきます。もし、チェーン全体で月4万回を超えていたら店舗ごとに集中率の要件が発生し該当すると「3」になってしまいます。また集中率が低い場合であっても「不動産の賃貸借関係」がある薬局も対象になります。

「調剤基本料3」がターゲットにしているのはチェーン薬局です。チェーン薬局に所属する場合は各店舗ごとに「集中率」の要件が課せられます。いままでは95%でしたが今回から対象が85%と範囲が大幅に広がっています。

集中率は、医療機関との位置関係がすべてです。外的要因が強すぎて改善しようがないんだけど、95%であれば、がんばればなんとかなる可能性はある。でも、85%になると自己努力ではなかなかむずかしい。対象店舗は、格段に多くなるでしょう。

地方で1対1でやってるチェーン薬局はまず該当します。

特別調剤基本料:10

敷地内薬局をピンポイントにターゲットとした点数です。敷地内薬局を目の敵とするような厳しい点数で、敷地内薬局はド高いテナント料を払ってGETした権利を有効活用することもできずに減額です。

高いテナント料を支払うことができずに潰れていきます。

病院である保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係を有している保険薬局であって、当該病院に係る処方箋による調剤の割合が9割5分を超えること。

もしくは、

調剤基本料1、2、3のイ及び3のロのいずれにも該当しない保険薬局

「病院である保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係を有している保険薬局」って敷地内薬局を想定しています。やさしさで集中率も加えてありますが、敷地内にある薬局はおそらく100%に限りなく近い数値になるのでクリアできません。

あえなく「特別(低い)調剤基本料」になります。

よく読んでみると「病院である保険医療機関」って言葉をつかっていますね。保険医療機関という言葉をつかうと「診療所 + 病院」なので、あえて「病院である」という言葉を使ったということは「診療所」は想定していないということになるでしょう。診療所と薬局で駐車場を共有しているとかも「不動産取引等その他の特別な関係」になってくるので、ここを除外したのでしょう。

後半の「調剤基本料1、2、3のイ及び3のロのいずれにも該当しない保険薬局」はなんのことでしょうね?想像つきません。

ペナルティー

次のいずれかに該当する保険薬局は、所定点数の100分の50に相当する点数により算定する。

(1) 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告し、妥結率が5割以下であること。
(2) 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率、単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告していない保険薬局であること。
(3) 薬剤師のかかりつけ機能に係る基本的な業務(*1)を1年間実施していない保険薬局。ただし、処方箋の受付回数が1月に600回以下の保険薬局を除く。

(*1):薬剤師のかかりつけ機能に係る基本的な業務
*下記項目の算定回数の合計が1年間に10回未満の保険薬局が対象

  • 調剤料の時間外加算等、夜間・休日等加算
  • かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料
  • 外来服薬支援料、服薬情報等提供料
  • 麻薬管理指導加算、重複投薬・相互作用等防止加算
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、退院時共同指導料、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料
  • 介護予防居宅療養管理指導費、居宅療養管理指導費

妥結率が低い場合は、いままで通りにペナルティーです。それに加えて「単品単価契約率」と「一律値引き契約に係る状況」の報告が追加されました。

薬局がどのような契約をしているのか状況が知りたいだけであって、契約内容によるペナルティーはありません。今後は「一律値引き契約」を減らして「単品単価契約」を伸ばしていきたいという目論見があるので、それの布石です。もし、報告しなかったらペナルティーが課されます。

特例除外

調剤基本料「2」や「3」の対象になってしまっても免除できる救済措置(かかりつけ薬剤師指導料:月100件以上)がありましたが、今回からはその特例措置はなくなりました。

頑張って、かかりつけ薬剤師を月100件以上とってようやく「1」にもどすことができた薬局も4月からはまた「2」や「3」に逆戻りです。なかなかヒドイ仕打ちだと思いますよ。

でも、これで「地獄のノルマ」から解放された薬剤師もいるので現場では歓喜の声もあがったとかなんとか。

この特例除外中止の代わりにあらたに登場したエグい条件もあります。従来は「調剤基本料1」でないと「基準調剤加算」は算定できませんでしたが、今改定より「調剤基本料1」でなくても「地域支援体制加算」を算定できるようになりました。

「地域支援体制加算」は「基準調剤加算」が廃止されて、そのかわりとして新設された点数です。

関連記事基準調剤加算を廃止し「地域支援体制加算」が新設その算定要件

「調剤基本料1」でなくても算定できるようになったかわりに、その要件がとにかくエグい。ちなみに「調剤基本料1」であれば下記要件はすべて免除されます。

1年に常勤薬剤師1人当たり、以下の全ての実績を有すること。

①夜間・休日等の対応実績 400 回
②重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 40 回
③服用薬剤調整支援料の実績 1回
④単一建物診療患者が 1 人の場合の在宅薬剤管理の実績 12 回
⑤服薬情報等提供料の実績 60 回
⑥麻薬指導管理加算の実績 10 回
⑦かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40 回
⑧外来服薬支援料の実績 12 回

もし調剤基本料「2」や「3」の薬局が「地域支援体制加算」を算定したいと思ったら常勤薬剤師各々でこの条件を満たす必要があります。

かかりつけ薬剤師指導料100件のノルマから解放されて歓喜したのもつかの間で、これがあらたなノルマです。

かかりつけ薬剤師指導料100件をクリアした薬局は全国に200店舗ほどあるそうです。最初は、絶対に無理っていわれていた要件もがんばればなんとかなるんです。

諦めなければなんとかなる。がんばれチェーン薬剤師!!具体的にどれくらい大変かというのは別の記事でまとめています。

関連記事基準調剤加算を廃止し「地域支援体制加算」が新設その算定要件

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