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平成30年度診療報酬改定

「在宅患者訪問薬剤管理指導料」の算定要件変更点【2018年診療報酬改定】

今回は在宅をする上でもっとも基礎となる「在宅患者訪問薬剤管理指導料」のH30年調剤報酬改定のポイントを解説していきます。

  • 同一建物居住者の数え方の変更
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料の乳幼児加算の新設

さっそく変更後の点数から見ていきます。

改定前(H28) 改定後(H30)
在宅患者訪問薬剤管理指導料

  • 同一建物居住者以外の場合:650点
  • 同一建物居住者の場合:300点
在宅患者訪問薬剤管理指導料

  • 単一建物診療患者が1人:650点
  • 単一建物診療患者が2~9人:320点
  • 単一建物診療患者が10人以上:290点

乳幼児加算(6歳未満の乳児):100点

居宅療養管理指導費

  • 同一建物居住者以外のものに対して行う場合:553単位
  • 同一建物居住者に対して行う場合:387単位
居宅療養管理指導費

  • 単一建物居住者1人に対して行う場合:507単位
  • 単一建物居住者2~9人に対して行う場合:376単位
  • 単一建物居住者10人以上に対して行う場合:344単位

パッと見てわかるように建物にたいしての「人数」という概念が追加になりました。

従来は「個人宅」もしくは「施設」って感じの2パターンでしたが、施設には「規模」があるのでより実情に沿った形になるように細分化されました。

在宅医療が店舗と比べて手間になることといえば「移動」です。それが一つの施設で10件お届けできたら、個人宅をあちこち10件回るのと比べて圧倒的に効率がいいのは言うまでもありません。

1つの施設の患者数が多くなればなるほど効率よく訪問でるので、その手間が省けてしまうぶんを点数に反映して、建物に患者「1人」「2~9人」「10人以上」の3区分に変更して、施設の人数が多くなるにつれて減額されていきます。しかも、改定前の「同一建物居住者」という単語が「単一建物診療患者」って単語にかわってます。

これによって「数え方」がかわってくるので、この定義理解が今改定の最重要ポイントです。それぞれの定義を確認します。

ここ超・重要です。

同一建物居住者とは

患者と同一の建物に居住する他の患者に対して当該保険医療機関が同一日に訪問薬剤管理指導を行う場合

単一建物診療患者の人数とは

患者が居住する建築物に居住する者のうち、当該保険医療機関が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の人数

ただし、

建築物において当該保険医療機関が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が、当該建築物の戸数の 10%以下の場合又は当該建築物の戸数が 20戸未満であって、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が2人以下の場合には、それぞれ単一建物診療患者が1人であるものとみなす。

ハイ、こんな感じです。

一番のポイントになるのが「同一日」の記載があるかないかだと思います。いままでの数え方では「同一建物居住者」になるかならないかは「日」単位で考えるため、同じ建物に複数の患者がいたとしても訪問日が違えば、それぞれで高い点数を算定することができました。

同じ建物であっても、訪問日が違えば訪問する手間はそれぞれで発生するので、それを評価しているためです。

しかし、H30年度の改定では「同一日」の記載がなくなっています。具体的に期間の記載はないけど「レセプト単位」で判定するのが妥当でしょう。つまり「月」単位でみていくことになります。

よって、

同じ建物に3人患者がいて、それぞれで月1回だけ別々の日に訪問した場合を考えてみます。従来であれば「1人の点数×3回」でしたが、今回改定からは「2~9人の点数×3回」となります。1回毎の点数がすくなくることは間違いないでしょう。

しかも、1人の場合であっても従来よりも減額(介護)っていう。なかなかシビアな点数配分です。

「単一建物診療患者の数え方」にささやかな救済措置もあるので、それが「ただし書」に記載されています。これがまた複雑なのですが、大事なのでしっかり読み込んでおきましょう。「ただし書」に記載されているのは「施設に複数名の患者がいても1人とみなせる場合」です。

もし「ただし書」に該当する場合は「1人」とみなして数えられるので、一番高い点数を算定することができます。気づかずに、そのままの人数で算定してしまった場合は「損」してしまうので、ここはよく読み込んでおきましょう。

単一建物診療患者が1人とみなせる場合

さきほどの「ただし書」をピックアップします。

ただし、建築物において当該保険医療機関が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が、当該建築物の戸数の 10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が2人以下の場合には、それぞれ単一建物診療患者が1人であるものとみなす。

戸数の10%以下の人数は「1人」とみなすことができます。よって、30戸あれば3人まで1人とみなせます。35戸の場合は3.5人まで「1人」だから、3人までってことでいいですよね。たぶん。

ちなみに、15戸とかは10%以下の計算でやると1人までになってしまうけど、例外で20戸未満は2人までは「1人」とみなせます。なんか自分でいっててわけわかんなくなってきたので表にしました。

戸数 1人とみなせる最大人数
~29戸 2人
30~39戸 3人
40~49戸 4人
50~59戸 5人
60~69戸 6人

なんだかんだで2人までは「1人」とみなせるパターンがおおい。この「ただし書」がないと、100戸の大型マンションがあって、そこから関連性のない患者を2人訪問したとして、それぞれで別々の日に訪問したとしても「単一建物診療患者が2~9人」の低い点数に該当してしまうのはあまりにも可哀想。

この100戸の大型マンションであれば10人までは「単一建物診療患者が1人」の高い点数いわゆる個人宅とみなせるということです。

ってことで大丈夫ですかね?間違ってたらゴメンナサイ。

チェーン薬局で分散すれば1人とみなせるという策略への対応

さきほどの定義で読みやすくするために、あえて原文から省略した部分があります。その点の補足です。

単一建物診療患者の人数とは

患者が居住する建築物に居住する者のうち、当該保険医療機関が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者(当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において算定するものを含む。以下同じ。)の人数

さっきはカッコ書きを省略しました。あると読みづらいので。「特別の関係にある保険医療機関」というのはまだ定義されていないので正確にはわかりませんが、これは系列店舗であると考えるのが妥当でしょう。近隣にある系列店舗に在宅処方箋を分散させることで「単一建物診療患者の数を分散させる手法」への対策です。

ただ、ここまではチェックできないとおもうけど。

在宅患者訪問薬剤管理指導料の乳幼児加算

在宅で療養を行っている6歳未満の乳幼児であって、通院が困難なものに対して、患家を訪問して、直接患者又はその家族等に対して薬学的管理及び指導を行った場合は、乳幼児加算として、1回につき100点を所定点数に加算する。

乳幼児の在宅を評価する点数が新設されました。乳幼児の訪問の方が、高齢者の訪問よりも大変なんですかね?乳幼児の訪問への具体的な対応というのが想像できないので、よくわかんないです。

介護の方も同じような加算が新設されるんでしょうかね?これって「在宅患者訪問薬剤管理指導料」にかかる点数だから、介護用のがないと取れないですよね。よくわかんないです。

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