「かかりつけ薬局の基本的な機能に係る業務」を実施していない薬局は来年からものすごく強烈なペナルティーがあるのはご存知でしょうか?
H28年の調剤報酬改定では話題になりましたが、最近はちょっと忘れがちなので復習です。
もうすでに改定から4ヶ月たってしまったので進捗状況を一度チェックしてみてはどうでしょうか?
4ヶ月もあればノルマを達成している薬局がほとんどだと思います。普通にやっていけば大丈夫なはずなのですが、もしマンガイチにもノルマ達成できなかったら来年は廃業せざる負えないほどに追い込まれるので早い段階で達成しといたほうが堅実です。
では、ペナルティーについて見ておきます。
ペナルティーの対象になるのは「かかりつけ薬局の基本的な機能に係る業務」を年間に10回未満しかやってない薬局のことです。
10回未満しかやってない薬局は来年から算定できる調剤基本料が1/2になってしまいます。
ということはですよ、多くの場合で調剤基本料は41点なので、これがペナルティーで21点になってしまいます。
処方箋1枚につき200円の減収です。月に1000枚応需している薬局なら月20万円の減収ですね。
家賃分くらい吹っ飛んでしまいます。月1000枚の薬局で20万円吹っ飛んだらやってけないですよ(たぶん)。
調剤基本料
区分 | 要件 | 旧点数 | 新点数 |
---|---|---|---|
調剤基本料1 | 妥結率50%超、基本料2~5に該当しない場合 | 41 | 41 |
調剤基本料2 | 妥結率50%超、受付回数と集中率 | 25 | 25 |
調剤基本料3 | 妥結率50%超、グループの受付回数、または集中率 | 新設 | 20 |
調剤基本料4 | 基本料1の妥結率50%以下の場合 | 31 | 31 |
調剤基本料5 | 基本料2の妥結率50%以下の場合 | 19 | 19 |
特別調剤基本料 | 調剤基本料1~5の届出をしない場合 | 新設 | 15 |
基本料の減算 | かかりつけ業務をしていない場合 | 新設 | 50%減算 |
かかりつけ薬局の基本的な機能に係る業務を1年実施していない保険薬局は所定点数の100分の50に相当する点数により算定する。ただし、処方せんの受付回数が1月に600回以下の保険薬局を除く。 ([経過措置]平成 29 年4 月 1日から適用とする。)
かかりつけ薬局の基本的な機能に係る業務とは
このペナルティーを回避するための要件がこちらです。
画像はクリックすると鮮明になります。要件を書き出してみるとこんな感じです。
要件
かかりつけ薬局の基本的な機能に係る業務を行っていない保険薬局は調剤基本料を100分の50とする。
*下記項目の算定回数の合計が1年間に10回未満の保険薬局が対象
・かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料
・外来服薬支援料、服薬情報等提供料
・麻薬管理指導加算、重複投薬・相互作用等防止加算
・在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、退院時共同指導料、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料
・介護予防居宅療養管理指導費、居宅療養管理指導費
このペナルティーは平成28年3月1日~平成29年3月31日までを起算期間としているので、この期間に10回達成すればOK。達成できなかったら平成29年の4月1日から恐怖のペナルティースタートです。
では、業務についてみていくと、
一番期待されている業務は"かかりつけ薬剤師指導料"だとおもいますが、これは要件を満たした薬剤師が届出をださないといけません。
この届出さえ受理されていれば10回なんてお茶の子さいさいです。10人ではなく10回でOKなので毎月来る人を1名確保して毎月1回とればクリアです。もしくは、スタッフの家族にとってけばクリアは簡単です。
でも、この"かかりつけ薬剤師指導料"の要件が厳しくって届出が受理されない薬局もたくさんあります。届出の要件に「医療に係る地域活動の取組に参画していること」ってあるので、これで挫折している薬局が多い。
医療に係る地域活動とは、地域の行政機関や医療関係団体等が主催する住民への説明会、相談会、研修会
等への参加や講演等の実績に加え、学校薬剤師として委嘱を受け、実際に児童・生徒に対する医薬品の適正使用等の講演等の業務などなど。
想像して下さい。そんなのやってないでしょ?
では、かかりつけ薬剤師指導料以外にどの業務を行えばイイのでしょうか?
在宅やってれば、クリアできるけど、やってないとこもたくさんありますよね。
外来服薬支援料や服薬情報等提供料や麻薬管理指導加算はまず取らないでしょ。薬局で働いていても知らない薬剤師の方が多い。
関連記事外来服薬支援料の算定要件
簡単に取れそうなのといえば、
・重複投薬・相互作用等防止加算
この2つですかね?
この2つの点数は要件をとれるシチュエーションはかならずあるはずなんだけど、問題はちゃんと算定するかどうかです。とる機会があってちゃんと仕事したとしても算定しなければ回数としてはカウントされません。
疑義照会で残薬調整がされるごとに重複投薬・相互作用等防止加算をめんどくさがらずに算定してけば10回は楽勝です。
もし、ギリギリになってもノルマが達成できていない場合は、最終手段として夜間・休日等加算があります。これは平日の19時以降、土曜日の13時以降ならとれるから、薬局閉めずにあけて待ってましょう。粘ればだれかきてくれるでしょう。ダメなら休日返上して日曜日にあければ夜間・休日等加算がとれます。
これは最終手段ですね。
そこまで追い込まれる前に普段から備えておくといいでしょう。
ちなみになんだけど、ペナルティーの対象は、対象の加算・指導料を10回未満しかレセプト請求しなかった店なので、ちゃんとやってたかどうかは毎月送ってるレセプトでバレバレで、きっとペナルティー対象の店は自動的に洗い出されてしまいます。
ウソついて10回以上やってますよーって届出だしてもダメです。そんなのバレバレだから無慈悲に「チョンッ」ですよ。
参考資料
[通知]第90 かかりつけ薬局の基本的な機能に係る業務を実施していない保険薬局
- 「かかりつけ薬局の基本的な機能に係る業務」は、
「区分番号01」の「注4」(時間外等加算)及び「注5」(夜間・休日等加算)に規定する加算、「区分番号10」の「注3」(麻薬管理指導加算)、「注
4」(重複投薬・相互作用等防止加算)に規定する加算、「区分番号13の2」のかかりつけ薬剤師指導料、「区分番号13の3」のかかりつけ薬剤師包括管理
料、「区分番号14の2」の外来服薬支援料、「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料、「区分番号15の2」の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、
「区分番号15の3」の在宅患者緊急時等共同指導料、「区分番号15の4」の退院時共同指導料、「区分番号15の5」の服薬情報等提供料、「区分番号15
の6」の在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料、居宅療養管理指導費並びに介護予防居宅療養管理指導費を算定するに際して実施する業務をいう。- 「かかりつけ薬局の基本的な機能に係る業務」を実施していない保険薬局は、前年3月1日から当年2月末日までに1に掲げる業務の算定が合計10回未満の
保険薬局が該当し、当該保険薬局は、当年4月1日より翌年3月末日まで区分番号00の調剤基本料の注3で定める点数で算定する。なお、前年3月2日以降に
新規に保険薬局に指定された薬局は、翌々年3月31日まで「かかりつけ薬局の基本的な機能に係る業務を実施していない保険薬局」とはみなさない。- 本規定の取扱いは、経過措置期間を1年間としており、平成29年4月1日より、平成28年3月1日から平成29年2月末日までの算定回数に基づき判定する。なお、平成28年3月1日から3月末日までにおいては、改定前の区分番号に相当する内容の算定回数で計算する。
- かかりつけ薬局の基本的な機能に係る業務を実施していない薬局に該当した保険薬局は、2で定める当年4月1日から翌年3月末日までの期間中であっても、
1に掲げる業務を10回算定した場合には、算定回数を満たした翌月よりかかりつけ薬局の基本的な機能に係る業務を実施していない保険薬局とはみなさない。