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平成28年度診療報酬改定

かかりつけ薬剤師指導料と包括管理料の算定要件

H28年調剤報酬改定で「かかりつけ薬剤師指導料」とかいうのが新設されるのでちょっと調べてみることにしました。

かかりつけ薬剤師指導料:70点

患者が選択したかかりつけ薬剤師が、患者に対して服薬指導等の業務を行った場合を評価し新設された点数。

かかりつけ薬剤師は患者が指名するもので、患者から同意書に署名をもらうことで成立します。ご指名をいただけると同意をもらった次の処方箋から薬剤服用歴管理指導料のかわりに1回70点が算定できるようになります。

指名料は70点なのですが、薬剤服用歴管理指導料(50点or38点)がとれないので実質患者の負担金UPは20円から100円UPにしかすぎません。患者負担額が増えてもこの薬剤師に対応してもらいたいという信頼が点数になって評価されるようになりました。

そして、かかりつけ薬剤師に指名された薬剤師はいくつかの使命がかせられます。

かかりつけ薬剤師に指名されたら何するの?

原則、指名を受けた薬剤師が服薬管理を全て行うので薬の説明もこの薬剤師がおこないます。もし、違う薬剤師が対応した場合は70点の加算はとれません。

そして、これが大変なんだけど、その患者さんから24時間相談を受ける体制をととのえる必要があるので、患者さんに24時間対応可能な連絡先を教えて、さらに勤務表もわたします。

患者さんが相談にきてもいないと困りますからね。ちゃんと勤務表までわたさないといけない。

びっくりするけど、ホントに勤務表を渡すって規定されているんです。24時間対応可能な連絡先は会社が用意してくれなければ個人の携帯電話を教えることになりそうです。

客観的にも誰が担当薬剤師になっているかわかるように、お薬手帳にかかりつけ薬剤師の名前や勤務先を記載しないといけません。ここに記載しとけば他の医療機関はなにか困ったことがあればかかりつけ薬剤師に連絡することができます。この対応もかかりつけ薬剤師にかせられた使命です。

患者が他の薬局や病院から調剤を受けた場合はちゃんとそれを聞き出して記録しておかないといけない義務もあります。

なかなか大変な点数です。ご指名をもらうのも大変だけど、もらったらもらったで対応するのがとても大変そうです。

そして、この「かかりつけ薬剤師」は指名されたらだれでもなれるわけではありません。薬剤師側にも要件が求められます。

かかりつけ薬剤師になるための要件

どの薬剤師でもいいというわけではなく、これだけのことをするのだから一定のレベルに達している薬剤師しかなれません。

薬剤師側の要件

①薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があり、同一の保険薬局に週32時間以上勤務しているとともに、当該保険薬局に半年以上在籍していること。
②薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。
③医療に係る地域活動の取組に参画していること

ペーペー薬剤師には荷が重すぎるということで最低でも3年の調剤経験が必要です。また、せっかっく指定しても週のほとんどお休みしていないなんてことにならないように最低でも週に32時間の勤務が必要です。

「かかりつけ」を名乗るためには一定の期間店舗で勤続して患者から一定の信頼を獲得していいないといけません。ということで、その店舗に半年以上在籍していることも要件に加わり配属したばかりの人はなれないです。

また、薬剤師には認定制度があり認定薬剤師というワンランク上の薬剤師しかかかりつけ薬剤師になることはできません。

>>関連記事認定薬剤師になるためには

認定薬剤師になるためには、認定シールがもらえる勉強会などに沢山参加して、たくさんシールを集めて勉強したことを認定してもらうことでなれます。一度なっても毎年一定数の認定シールを集めないと失効してしまうそうです。

うちの薬剤師いわく、昔からある制度だけど、現場であまり評価されることがなく取得には時間とお金がかかるからやる気のある薬剤師しかとってないとのこと。これを新規で取得を試みると1年はかかるらしく簡単にはとれないらしいです。

地域活動の取り組みとは?

これはQ&Aがでてたので参照してみる。

(問)かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準として、「医療に係る地域活動の取組に参画していること」とあるが、具体的にはどのような取組が該当するか。

(答)地域の行政機関や医療関係団体等が主催する住民への説明会、相談会、研修会
等への参加や講演等の実績に加え、学校薬剤師として委嘱を受け、実際に児童・生徒に対する医薬品の適正使用等の講演等の業務を行っている場合が該当する。
なお、企業が主催する講演会等は、通常、地域活動の取組には含まれないと考えられる。

地域活動の要件が厳しくて(笑)、よくよく読んでみると学校薬剤師しかなれないような記述になっています。さすがにこれはないので間違いだと思う。

これらの要件をみたしたことを地方厚生局長等に届出を行うことで初めてご指名を受けることが出来ます。

70点とれる制度ができたとしても、これに合わせた会社の制度がないと現場での普及は難しいと思います。

いままでにない完全に新しい制度なのでこれに一生懸命取り組むと、確実に薬剤師の負担が従来よりもでかかくなります。それを補填するための会社の制度がないと率先して取り組む人は少ないのではないでしょうか?

たとえば、指名貰った分の歩合で給料UPとか、24時間体制手当とか、電話対応手当とか、夜間調剤手当とかね。

かかりつけ薬剤師の届出を強制するなら認定を取得するための費用も考えなくてはなりませんよね。

かかりつけ薬剤師包括管理料の算定要件

かかりつけ薬剤師包括管理料 270点(1回につき)

薬局でもいよいよ包括診療の導入ですね。これもいままでにない点数ですごいこころみです。

包括診療といっても病院と薬局ではだいぶ意味合いが違うと思います。包括診療にすると、病院は病気にたいして点数が決まるから、その点数内でやりくりして差額分が利益になります。利益をだすために無駄な投薬や検査を減らしたり、ジェネリックを使ったりと努力ができる。

でも、これを薬局に導入したとしても薬局にできる努力ってジェネリックに替えるくらいしかない。薬を減らすにも選択権がないですからね。

包括されるのは、調剤料・管理料・薬剤料などです。

薬剤料が包括されて270点だから、ちょっと高い薬剤がでたら一発で赤字になる。ということはですよ、安い医薬品の時は、かかりつけ薬剤師包括管理料で、高い医薬品のときにはかかりつけ薬剤師指導料を算定すればいいことになる

これって包括診療にした意味無いですよね。

どのように算定すればいいのでしょうか?

算定できる対象が、病院で地域包括診療加算若しくは認知症地域包括診療加算又は地域包括診療料若しくは認知症地域包括診療料が算定された患者限定です。

薬局でどうのように鑑別すればいいかが課題になるけど、これは病院側からの提示があるそうです。

予定としては、

医療機関は当該患者が受診している医療機関のリスト及び当該患者が当該診療料(加算)を算定している旨を、処方せんに添付して患者に渡すことにより、当該薬局に対して情報提供を行う。

ということになっています。

処方箋にて地域包括診療加算の対象患者であることがわかったときに薬局は算定するか選択することができる。かかりつけ薬剤師指導料と同じなので同意書を得てからの算定になりますね。

以下、原文引用

かかりつけ薬剤師包括管理料 270点(1回につき)

地域包括診療料、地域包括診療加算等が算定される患者に対してかかりつけ薬剤師が業務を行う場合は、調剤料、薬学管理料等に係る業務を包括的な点数で評価することも可能とする。

[包括範囲]

下記以外は包括とする。
・時間外等加算、夜間・休日等加算
・在宅患者調剤加算、在宅患者訪問薬剤管理指導料(当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行 われた場合に限る。)、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料
・退院時共同指導料
・薬剤料及び特定保険医療材料料

[算定要件]

① 対象患者は、地域包括診療加算若しくは認知症地域包括診療加算又は地域包括診療料若しくは認知症地域包括診療料を算定している患者とする。
② かかりつけ薬剤師指導料の算定要件を満たしていること。
③ 調剤の都度患者の服薬状況、指導等の内容を処方医に情報提供し、必要に応じて処方提案すること。 (情報提供の方法については、保険医と合意が得られている場合はそれによるものとする。)
※ 薬剤服用歴管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料(当該患者の 薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行われた場合を除く。)と同時に算定できない。

[施設基準]

かかりつけ薬剤師指導料と同じ。

原文

 

かかりつけ薬剤師指導料の要件は原文をみてもらった方がわかりやすいと思います。

リンク:http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000110788.pdf

算定要件(原文引用)

(1) 患者の同意の上、かかりつけ薬剤師として服薬指導等の業務を実施した場合に算定する。

(2) 患者の同意については、患者が選択した保険薬剤師をかかりつけ薬剤師とすることの同意を得ることとし、当該患者の署名付きの同意書を作成した上で保管し、当該患者の薬剤服用歴にその旨を記載する。なお、患者の服用薬について、一元的・継続的な管理を推進する観点から患者1人に対して、1 人の保険薬剤師のみがかかりつけ薬剤師として算定できる。

(3) 当該指導料は、患者の同意を得た後の次の来局時以降に算定可能とする。

(4) 当該指導料を算定する保険薬剤師は、以下の要件を満たしている旨を地方厚生局長等に届け出ていること。

① 薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があり、同一の保険薬局に週32時間以上勤務しているとともに、当該保険薬局に半年以上在籍していること。
② 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。
③ 医療に係る地域活動の取組に参画していること。(地域の行政機関や関係団体等が主催する講演会、研修会等への参加、講演等の実績)

(5) 他の保険薬局及び保険医療機関においても、患者が選択したかかりつけ薬剤師の情報を確認できるよう、手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称を記載すること。

(6) 患者に対する服薬指導等の業務はかかりつけ薬剤師が行うことを原則とする。かかりつけ薬剤師以外の保険薬剤師が服薬指導等を行った場合は当該指導料を算定できない。

(7) かかりつけ薬剤師は、担当患者に対して、以下の業務を行っていること。
① 薬剤服用歴管理指導料に係る業務を実施した上で患者の理解に応じた適切な服薬指導等を行うこと。
② 患者が服用中の薬剤等について、患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう、患者の意向を確認した上で手帳を用いて当該指導等の内容を記載すること。
③ 患者が受診している全ての保険医療機関の情報を把握し、服用している処方薬をはじめ、要指導医薬品及び一般用医薬品(以下「要指導医薬品等」という。)並びに健康食品等について全て把握するとともに、その内容を薬剤服用歴に記載すること。また、当該患者に対して、保険医療機関を受診する場合や他の保険薬局で調剤を受ける場合には、かかりつけ薬剤師を有している旨を明示するよう説明すること。
④ 患者から 24 時間相談に応じる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝えるとともに、勤務表を作成して患者に渡すこと。ただし、やむを得ない事由により、かかりつけ薬剤師が開局時間外の問い合わせに応じることができない場合には、あらかじめ患者に対して当該薬局の別の薬剤師が開局時間外の相談等に対応する場合があることを説明するとともに、当該薬剤師の連絡先を患者に伝えることにより、別の薬剤師が対応しても差し支えない。
⑤ 患者が他の薬局で調剤を受けた場合は、その服用薬等の情報を入手し、薬剤服用歴の記録に記載すること。
⑥ 調剤後も患者の服薬状況の把握、指導等を行い、その内容を薬剤を処方した保険医にその内容を情報提供し、必要に応じて処方提案すること。服薬状況の把握の方法は、患者の容態や希望に応じて、定期的に連絡できるようにすること(電話による連絡、患家への訪問、患者の来局時など)。また、服薬期間中に服用中の薬剤に係る重要な情報を知ったときは、患者又はその家族等に対し当該情報を提供し、患者への指導等の内容及び情報提供した内容については薬剤服用歴の記録に記載すること。
⑦ 継続的な薬学的管理のため、患者に対して、服用中の薬剤等を保険薬局に持参する動機付けのために薬剤等を入れる袋(いわゆるブラウンバッグ)を必要に応じて配布し、その取組の意義等を説明すること。また、患者が薬剤等を持参した場合は服用薬の整理等の薬学的管理を行うこととするが、必要に応じて患家を訪問して服用薬の整理等を行うこと。

(8) 薬剤服用歴管理指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料(当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行われた場合を除く。)と同時に算定できないこと。

原文はこんな感じです。一応大事そうなとこに色つけときました。

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