法律

薬歴未記入の調剤報酬不正請求にペナルティーはないのか?

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先日、大規模な薬歴の未記入が話題になって調剤薬局業界を震撼させましたね。

ひとまず、 診療報酬を約1億7000万円を患者らに返還することになったそうですが、これで決着はついたのでしょうか?

この1億7000万ってスゴいペナルティーのように思えるんだけど、実はそうでもない。

ちょっと計算してみようと思う。

その前に、不正の内容について確認しよう。

内容は大手薬局チェーンが約41万件の薬歴を十分に記載してないのに薬剤服用歴管理指導料を算定してたとのこと。

薬歴書かないと薬剤服用歴管理指導料は算定できないから、当然これは不正請求ですね。

ちなみに、薬剤服用歴管理指導料はお薬手帳を活用したかどうかによって点数がかわる。 
薬剤服用歴管理指導料(手帳あり):41点
薬剤服用歴管理指導料(手帳なし):34点

こんな感じですね。

では、計算してみる。

1億7000万円 ÷ 41万件 = 415円/件

1件につき415円の返還ということになりますね。これって、薬剤服用歴管理指導料:41点(410円)と概ね合致する金額ですよね。

つまり、不正請求したぶんをそのまま返還しただけに過ぎません。

薬歴を書いてないということは、薬局は、薬剤服用歴管理指導料に対して何ら対価を支払ってないのでこれは当然、返還すべきものですね。

これって、そもそも仕事してないぶんを返納しただけだから不正に取得した利益を返還しただけにすぎない。利子もペナルティーも何もない計算になる。

自主返還しただけにすぎないからまだまだ決着ではないですね。

では指導や監査が入ったときのペナルティーはどういったものがあるのでしょうか?

指導や監査が入ったときのペナルティーはどういったものがあるのか?

健康保険法に基づく指導・監査

1.指導(健康保険法第73条)
保険調剤の質的向上及び適正化を図ることを目的とし、社会保険の医療担当者である保険薬 局及び保険薬剤師が対象となる。指導には、集団指導、集団的個別指導及び個別指導があり、さ らに個別指導のうち、厚生労働並びに厚生(支)局及び都道府県が実施する共同指導、同一開設 者に係る複数の都道府県に所在する保険薬局を対象とする特定共同指導がある。

2.監査(健康保険法第78条)
調剤内容及び調剤報酬請求に不正又は著しい不当があったことを疑うに足りる理由があるときに保険薬局に対して、出頭命令、立入検査等を通じて確認するものである。監査後の措置として、保険薬局、保険薬剤師の「取消」「戒告」「注意」がある。
また、本来、「取消」を行うべき事例であるが、すでに保険薬局が廃止、又は保険薬剤師が登録抹消している場合には、「取消相当」という取扱いとし、「取消」と同等に取扱われる。
なお、不正請求の代表例としては、次のようなものがある。
①無資格者調剤:非薬剤師による調剤(非保険薬剤師による調剤を含む)
②架空請求:調剤の事実がないものを調剤したとして請求
③付増請求:実際に行った調剤内容に実際に行っていない調剤内容を付増して請求
④振替請求:実際に行った調剤内容を点数の高い別の調剤内容に振替えて請求
⑤二重請求:同一の調剤に対する請求を複数回にわたり請求

こうした法令に対する不正な行為は、医療保険の世界に限らず社会のどの分野においてもあってはならないことであるが、特に現物給付出来高払いを基本とする医療保険制度を維持するためには致命的なものである。故意に不正請求をするのは論外であり、通常の調剤報酬請求を行っているのであれば起こり得ないものである。

仮に監査の場で、不正・不当な請求を行っていたことが明らかになれば、保険薬局、保険薬剤師の取消等の厳しい行政処分が下されることとなる。また行政処分のみならず、不正・不当な請求により支払われた調剤報酬については、保険者に対する返還金も発生することとなる。返還金は原則5年間分とし、又、40%の加算金が追加されることもある。

医療の多くが保険診療として行われている現在において、保険薬局の指定や保険薬剤師の登録を取り消されることとなれば、保険薬局の経営は成り立たなくなり、保険薬剤師が保険調剤を行うことが実質的に不可能となる。取消処分となった場合は原則5年間は再指定・再登録は行わないこととなっている。これは、保険薬局、保険薬剤師のみの問題ではなく、医療を受ける側である住民に対し多大な悪影響を与えてしまうものである。

3.平成24年度の指導・監査の実施状況
(1)指導・監査による返還金額
平成24年度に保険医療機関等から返還を求めた額は、約130億4千万円
(内訳)
指導による返還分:約40億6千万円
監査による返還分:約17億6千万円
適時調査による返還分:約72億2千万円
(2)取消の状況
保険医療機関等の指定取消:31件
保険医療機関等の指定取消相当:41件
保険医等の登録取消:35名
保険医等の登録取消相当:7名

ここまでが引用文(厚生労働省が交付するH26年:集団指導資料(配付版):保険調剤の理解のために)

関連記事:薬局の個別指導と監査はこのように行われる!!

書いてある通りなんだけど、不正請求分に40%の加算金が追加されることがあるし最大で過去5年分まで遡る。

悪質な場合は、保険調剤の指定を取り消されて、原則5年間は再指定がとれない。

保険請求できなければ調剤薬局としてやっていくことはできないから廃業ですね。ただ、保険請求できないけど「処方せん医薬品以外の医薬品」の販売だけならできます。これを業として販売している薬局はおそらく保険薬局の指定は受けてないので、こちらに転身するのはいいかもしれない。

>>薬歴未記入による調剤報酬不正請求とは?

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