今回は、遠くのクリニックから飛んできた処方箋のお話。
その飛んできた処方内容があまりにも衝撃的だったのでちょっと考察したいと思う。
その内容というのが5種類の漢方薬の混合だ。
薬剤師さんが作るのに1時間かかっていました。1回だけだったので作って終了でしたが、
もしこのような病院の門前に薬局を構えていたとしたら、次から次へと1枚1時間の処方せんがやってくるわけです。これは割に合うのか計算していきたいと思う。
今回は薬の内容はどうでもいいのでネタバレしないようにテキトーに混合します。
処方例
ツムラ苓桂朮甘湯 3g
ツムラ六君子湯 2g
ツムラ防風通聖散 2g
ブシ末 1g
毎食後 28日分
内容は即興なのでありえないような内容なんだけど、そこは突っ込まないで欲しい。
イメージはこんな処方で、これが毎回同じ内容なら事前に準備をしておくことができるんだけど毎回微妙に組み合わせがかわるので予製することはできない。
この処方の1枚あたりの利益はどれくらいかな?
内訳
薬剤服用歴管理指導料34点
調剤料:81点
計量混合加算:45点
薬剤料:??
薬剤料はめちゃくちゃな処方なので計算しても仕方ない。今回の薬剤料は、8%の薬価差益で8%の消費税がかかり利益0ってことで計算して行きたいと思う。
上記の薬剤料以外の点数は全て技術料といって、原価なしなので、これがそのまま粗利になる。
41+34+81+45 = 201点
1枚の技術料は2010円です。
そうだ、わすれてはいけないのが分包コストだ。
作るのに空包をいれると分包紙90包ほど消費する。
関連記事実はスゴく高い分包コスト!分包紙って1包いくら?
上記の記事だと分包コストは70mmで1包約2.6円ですが、こんだけ量が多いと70mmで分包できないから、80mm分包する。
そうすると1包約3円かかる。
よって、90包で270円だ。
1枚あたり2010円しか技術料ないのにさらに利益を圧迫して270円使います。
よって、
1枚あたりの利益は1740円ですね。
1時間事務と薬剤師が時間を使って制作&投薬した結果1740円の利益ではまったく割にあいませんね。
でも、慣れてきたら多分30分で作れると思うから、頑張れば1時間で2枚受けることができます。
1740円を倍にして、3480円。
これでようやく薬剤師の1時間あたりの時給分がとれました。
一人分の人件費分しか出ないようだとどう頑張ったってこの処方だけ受けていても黒字化することはありません。
これはあんまり利益の出ない処方せんですね。
せっかくなので、メチコバール30日の処方せんと比較してみよう。
処方例
1日3回 30日分
この処方の会計は、
薬剤服用歴管理指導料:34点
基本料:41点
調剤料:81点
薬剤料:180点
このうち薬剤料は元手がかかるから利益とはいえない、他の点数は技術料といって元手がかからないので全て利益になる。
よって、
処方箋1枚の粗利益は41+34+81で156点。
1枚1560円の粗利益ですね。
さっきのと比べたら180円安い金額になります。
しかし、さっきの漢方薬は作るのに1時間で、メチコバールは3分くらい?
どうですか?
180円の違いならメチコバールの方にどんどんきて欲しいですよね。
でも、
薬局には処方箋の応需義務があってきたら受けないといけません。
だから、
最初の出店場所がとても大事なんです。
あんまり手間のかかるとこの門前に出店するととても大変。
もし薬局を開局するときは処方内容までしっかり見てくださいね。
こちらの記事でも薬局の収入について言及しているので参考にしてもらいたい。
1人薬剤師であれば家賃によっては40枚で十分採算がとれるが、
1枚30分かかる処方箋は8時間で16枚しか受けれないからやっぱり厳しいですよね。