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医薬品情報

尿酸値が高すぎてヤバイ。痛風になるのは嫌だけど、そのためだけに毎日薬のむの?

健康診断受けてきたら尿酸値だけ妙にたかくって、しばらく通院するように言われてしまいました。

ちなみに、尿酸値は9.1です。

別に贅沢してるわけではないし、お酒をたくさんのむということもないので体質なんです。両親も不摂生しているわけではないのに尿酸値が高いとかいってたから受け継いだんだと思う。だから、いまさら食生活とか見直して努力をする気はサラサラないですし、まして医者にかかる気もサラサラない。

忙しいので毎月通院とかとんでもない。そもそも薬を飲むのはめんどくさい。というか、飲みたくない。

体質的に高いのだから、きっと一度のんだら一生辞めさせてくれないとおもう。

では、そもそも尿酸値高くてなんか問題あるのしょうか?

まず尿酸値が高い病気のことを「高尿酸血症」と呼びます。医者にかかると、この「高尿酸血症」を治療してくれます。この高尿酸血症の弊害をしらべてみると真っ先にでるのが「痛風」になるリスクUPですが、この痛風が怖くて薬をのむのでしょうか?

同僚の薬剤師にききました。尿酸値が高いと、痛風以外になにか悪いことあるんですか?

・・・

おいっ!なんか言えし。どうやら「高尿酸血症=痛風」という理解しかないようです。これでは私とたいしてレベル変わらないではないですか。私の考えでは、もし痛風になるリスクを軽減するためだけに何年にもわたり毎日薬をのむということは"ありえません。"

だったら、痛風になってから薬をはじめます。痛風はスゴく痛いとききますが、それでも何年にもわたる通院生活の対価が痛風予防と考えるととてもじゃないけど、薬なんてのめません。

アホ薬剤師が!!仕方ないのでgoogle先生にでも聞いてみることにします。

高尿酸血症で何がいけないの?

高尿酸血症とはつまり血液中の尿酸の値が高いことです。これによって引き起こされる代表的な疾病が痛風ですが、それだけではなく尿路結石や腎障害も関係が深く、さらには動脈硬化や虚血性心疾患といった生命にかかわるような疾患とも関係しているようです。

「痛風」は高尿酸血症により引き起こされる疾患の氷山の一角にしか過ぎなかったのです。

なに?命にかかわると?それは聞き捨てならないですね。詳しく調べてみましょう。

まず、高尿酸血症とはなんでしょう?

高尿酸血症とは

私たちの体の中にある尿酸量は、産生量と排泄量のバランスにより一定に保たれています。バランスが崩れると尿酸量は増加していき、ある一定量を超えると、血液中で「もうこれ以上、溶けきれない」という状態になり、溶けきれなかった尿酸が結晶となって関節をはじめとする体のあちこちに沈着し始めます。つまり、高尿酸血症の基準である尿酸値「7.0mg/dL」は、「これより濃くなると尿酸が溶けきれなくなる」という限界の数値なのです。

すぐさまに、痛風になるということはありませんが、じわりじわりと関節などに血中に溶けきれなくなった尿酸が結晶になり関節などに沈着をはじめます。そして、ストレスや運動や尿酸値の急激な変動などの刺激により沈着した尿酸結晶が関節の中で剥がれ落ちると、白血球がそれを排除しようとして、関節の炎症(痛風発作)がおこります。

剥がれ落ちるまでは症状がないのですが、剥がれ落ちたら症状が急激に悪化して名前の由来でもある"風があたるだけで痛い"という痛風発作がおきます。

7mg/dLでこの状態なのだから、私の9mg/dLと言うのは完全にアウトですよね。

そもそも尿酸とは?

体内の尿酸値がある原因としてよくプリン体があげます。高尿酸血症の治療ではこのプリン体の制限が指導されますが、実は、体内で合成される尿酸というのはプリン体だけが全てではありません。

食品のプリン体から作られる尿酸は、体内で合成されるもののうちの20%と言われていて、残りの80%は体内で作られたエネルギーの燃えカスや遺伝子が分解されtできる老廃物なのです。

体内で作られる尿酸

エネルギーの老廃物+遺伝子の老廃物:約500㎎
食べ物のプリン体から合成:約100㎎

ってことで、いくら頑張って食事でプリン体を制限したところで全体の80%の部分で食品とは無関係なのです。いろんな研究で、食事によるプリン体の影響は少ないことがわかってきたそうです。

だから、近年ではプリン体の摂取制限するよりもエネルギー制限やアルコール制限のほうが効果的とも言われています。

アルコールは分離される過程で細胞内のATPを減少させることにより、プリン体を増加させる方向に働いてしまいます。ビールはプリン体が多いから痛風に大敵とよく言われますが、ビールのプリン体がダメではなくアルコール自体があまりよくないので焼酎や日本酒もダメです。

高尿酸血症の治療薬の紹介

治療薬については大きく2種類に分類できます。

高尿酸血症治療薬

・尿酸排泄促進薬
・尿酸生成阻害薬

あと尿酸を直接分解する薬もありますが、こちらは「がん化学療法に伴う高尿酸血症」が対象なので、除外しておきます。

生成阻害薬というのは体のなかで尿酸ができないようにするための薬で、排泄促進薬は体内の尿酸をおしっこにだしやすくする薬です。

この2パターンのうち現在の主流は尿酸生成阻害薬になります。では、それぞれの具体的な薬について調べてみることにしました。

尿酸生成阻害薬について

内服薬で現在の主流となっているのは、アロプリノールフェブキソスタットトピロキソスタットの3成分です。

どれも作用機序はキサンチンオキシダーゼを阻害することによって、尿酸が体内で合成されることを阻害します。ただ、完全にストップさせるわけではなくって、少しだけ邪魔するだけです。

ザイロリック錠とフェブリク錠がよくみかけますが、ウリアデックやトピロリックはあまり見かけません。ウリアデック錠とトピロリック錠は同じ成分だから、同じ薬だとおもって間違いないです。両先発の併売品ですね。

発売日順に並べると、

ザイロリック → フェブリク → ウリアデック/トピロリック

つまり、このウリアデック・トピロリックが尿酸生成阻害薬のなかでは最新の薬になるわけです。薬価収載は2013年8月です。そろそろ発売から4年が立ちますが、全然浸透しませんね。MRが宣伝にきたところを見たことないので、そもそも販売に力を入れていないのでしょう。あとで説明しますが、新しく発売されたわりにはフェブリクと比べてあまりメリットないんですからね。

だったら、フェブリクでいいやってなるんですよ。で、フェブリクが使えなかったり効果がなかったという場合にこのウリアデック・トピロリックが登場するので、登場シーンがすくないわけです。

ザイロリックとフェブリクの比較(違い)

ザイロリックは1日2~3回ですが、フェブリクは1日1回でOKです。しかも、フェブリクの方が効きもいいそうです。フェブリクのほうが後から発売された薬なのでメリットは多いのですが、その反面で価格が高くなってしまいます。

ザイロリック錠に関してはもう古くからある薬なのでジェネリック医薬品もたくさん出ています。ザイロリック錠(23.1円)のジェネリックにはノイファン錠やアロシトール錠などがありますが、安いものだと1錠7.7円しかしません。

それに対してフェブリク錠は10㎎、20㎎、40㎎を順番に32.0円、58.0円、109.6円になります。通常成人の維持量は1日40㎎になるので1日109.6円になります。

まぁ、これがデメリットですよね。

フェブリクとウリアデック/トピロリックの違い

ウリアデックとトピロリックが浸透しない理由は単純にフェブリクに比べてメリットがないからです。ただ、このカテゴリーの薬って種類が少なくってフェキソスタット錠やアロプリノール錠の2択しかなかったので、これが効果不十分だった場合の次なる選択肢ってことで登場です。

もうちょっと詳しくみてみると、
フェブリク錠 → 1日1回
ウリアデック錠/トピロリック錠 → 1日2回

価格は同じくらいですね。おそらく薬価設定するときに同種同効薬のフェブリクを基準にしたものだと思われますね。

フェブリク錠(テイジンファーマ)

10mg:32.0
20mg:58.0
40mg:109.6

トピロリック錠(富士薬品)

20mg:19.7
40mg:36.6
60mg:53.1

ウリアデック錠(三和化学)

20mg:21.2
40mg:39.8
60mg:58.0

トピロリックとウリアデックは同じ薬なんだから価格をそろえてほしいものだとおもう。併売なのになんで違うんだよ。トピロリックとウリアデックは1日2回だからフェブリクと比較するときは2倍にしないとダメですね。

トピロキソスタットの維持量は1回60㎎を1日2回で、フェキソスタットの維持量は1回40㎎を1日1回です。この点を注意して比較してもらいたい。

第3の選択肢ということですが具体的にはどんな感じに使うのでしょうか?たとえば、フェブリクだと1日1回が仇となってしまって、1日内で尿酸値が変動してしまうことがあるそうです、痛風発作が起こりやすくなるときって尿酸値が変動するときだから、日内でも変動してしまう痛風発作が起きやすくなってしまうわけです。

その点、1日2回タイプのトピロキソスタットだと1日内の変動を抑えられるわけです。また腎障害のある方にもザイロリック錠よりは使いやすいそうですが、注意が必要という点は変わりないようです。

尿酸合成阻害薬の使用上の注意

痛風発作って尿酸値の急激な変動によっておきるので、尿酸値を下げるときにも注意が必要で急激に下げてしまうことでそれが刺激になり発作を引き起こしてしまう恐れがあります。

いきなりMAXを投与するのではなくって徐々に量を増やしていきます。そのためフェブリクやウリアデックには10㎎、20㎎、40㎎、60㎎とか様々な規格の錠剤が段階的に用意されています。

また、発作が起きたからと言っていきなり尿酸値を下げようとしてしまうと、発作を悪化させてしまうことがあるそうです。痛風発作が起きてしまった場合は、発作が落ち着いてから「高尿酸血症」の治療に移行します。

注意点を医薬品の説明文書をみていきましょう。

ザイロリック錠添付文書より

投与初期に尿酸の移動により、痛風発作の一時的な増強をみることがある。[血中尿酸値を測定しながら投与し、治療初期1週間は1日100mg投与が望ましい。]

フェブリク添付文書より

尿酸降下薬による治療初期には、血中尿酸値の急激な低下により痛風関節炎(痛風発作)が誘発されることがあるので、本剤の投与は10mg1日1回から開始し、投与開始から2週間以降に20mg1日1回、投与開始から6週間以降に40mg1日1回投与とするなど、徐々に増量すること(「臨床成績」の項参照)。なお、増量後は経過を十分に観察すること。

ウリアデック添付文書より

尿酸降下薬による治療初期には、血中尿酸値の急激な低下により痛風関節炎(痛風発作)が誘発されることがあるので、本剤の投与は1回20mgを1日2回から開始し、投与開始から2週間以降に1回40mgを1日2回、投与開始から6週間以降に1回60mgを1日2回投与とするなど、徐々に増量すること(「臨床成績」の項参照)。なお、増量後は経過を十分に観察すること。

尿酸排泄促進薬について

メジャーどころは3種類ですが、ほとんどベンズブロマロン(ユリノーム)一択ですね。ベネシッドやパラミヂンはレアです。

ベンズブロマロン(ユリノーム)
プロベネシド(ベネシッド)
ブコローム(パラミヂン)

ベンズブロマロン(ユリノーム)について

ベンズブロマロンは、近位尿細管における尿酸の再吸収を抑制して腎臓での尿酸の排泄を促進させることにより尿酸値を下げます。

ということで、尿中の尿酸を増やして体外へだしてしまおうという薬なので、これをつかうと尿中の尿酸値の濃度が上昇しますよね。

尿が酸性に傾くと尿中で尿酸が結晶化しやすくなります。尿路結石の原因となるので、尿をアルカリ化するために、尿アルカリ化薬であるウラリットU(クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合)や重曹(炭酸水素ナトリウム)を併用します。

ウラリットUと重曹を比較すると重曹のほうがナトリウムの量が多いので、血圧が高い方には不向きです。まぁ、ほとんどウラリットUですね。

尿路結石を防ぐためには水分をたくさん取ったほうがいいので1日1~2Lくらいのむといいといわれています。

主な副作用に劇症肝炎があるので、ベンズブロマロン(ユリノーム)を使うときには劇症肝炎のチェックのために投与開始6ヶ月間は定期的に肝機能の検査を行う必要があります。

尿酸分解促進薬

ぶっちゃけこれが一番効きそうですが、こちらは"がん化学療法"を受けている方につかうくすりです。

最初の方でのべましたが、体内で合成される尿酸というのはプリン体由来のものは、体内で合成される尿酸のうち20%しかありません。

だから、プリン体から尿酸ができる過程を阻害しても効果は限定されています。

体内で合成される尿酸の多くは"体内でつくられるエネルギーの燃えカス"と"遺伝子が分解されることによって生じる老廃物"です。

つまり、遺伝子を構成するDNA、エネルギーを担当するATPが分解されると尿酸ができます。

がん細胞が死んだときには血中に核酸、リン酸、カリウムなどが大量に放出されますが、この核酸から尿酸が合成されます。

これまでは尿酸結晶治療薬を前もって服用したり輸液を行って尿量を増やす対策が取られてきましが、近年では尿酸そのものを調節分解してアラントインに変換して尿中から排泄する薬が登場しました。それがラスリテック(ラスビリカーゼ)です。

組織崩壊 → 核酸 → キサンチン → 尿酸
         ラスリテック → ↓
          アラントイン(尿中排泄)

超お高い薬で飲み薬はないので注射だけです。生物由来製品なのでアナフィラキシショックが生じる可能性があります。

尿酸値を下げる市販薬はあるのか?

ないでしょ。あるとしたらサプリメントだとおもいますが、期待しないほうがいいでしょう。

それよりも、水をたくさんのんだ方がいいです。あと、アルコールの制限と体重を落とすのが大切。

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