平成28年の診療報酬改定で分割調剤の要件があらたに追加になりました。
追加になったのが医師の指示による分割調剤です。
医師が処方箋の備考欄に2回にわけてとか、3回にわけてとか指示をします。
そうしたら、薬局は指示にしたがって、90日分の処方箋を30日×3回とかにしてお渡しします。当然、処方箋は調剤が完了していないので返却します。
これのやばいところが、
90日の処方箋を1回でもらったときと、30日を3回に分割したときの会計の合計金額が同じことです。
あきらかに、
3分割したときの方が手間がかかります。
例①
朝食後
つまり、アムロジンを90錠わたして説明して完了です。
次に、3分割の医師指示で調剤した場合。
例②
朝食後
アムロジン 1錠 30日分
朝食後
アムロジン 1錠 30日分
朝食後
これだと処方箋を3回もパソコンに入力して、3回も薬袋印刷して、3回もピッキングして、3回も監査して、3回も投薬して、3回もお会計して、3回も薬歴記入して、
それでようやく例①のアムロジンを90錠を1回渡すのと同じ金額を請求できるのです。
どう考えてもやばいでしょ。
できたら拒否するレベルです。
どういう計算になるかというと、分割指示があったときは、薬剤料以外の技術料すべて分割回数で除した額になります。
薬剤料はあたりまえですが渡した分だけを請求します。
つまり、
例①の会計は、
技術料 + 90錠の薬剤料
例②の会計は、
(例①の技術料÷3 + 30錠の薬剤料)×3回
=例①の技術料 + 90錠の薬剤料
よって、例①=例②は同じ金額の処方箋ということになります。
この計算のひどところが技術料にいろんなものが包括されるので、たとえば時間外加算も技術料です。
3回のうち1回だけが時間外で対応したとします。でも請求できるのは1回あたり通常の1/3です。
同様に、重複投薬・相互作用等防止加算、一包化加算、服薬情報等提供料、時間外加算、かかりつけ薬剤師指導料、計量混合加算、ハイリスク加算、乳幼児指導加算など。
すべての加算が1/3になっていまします。
散剤の計量混合加算45点だって、分割指示がなされたら毎回混合してから分包するはずですが、
1回1/3なので1回たったの15点しかとれません。ハイリスクや乳幼児指導加算だって一生懸命指導しても3点しか取れない。
一包化加算なんてもっとひどい。
今回の改定では一包化加算の点数は42日以上で頭打ちです。90日処方であったとしても42日分の作成と同じ点数しかとれない。
それがですよ、30日を3回も作るのにもかかわらず、とれる点数は42日分の1/3ですからたまったものではない。
いかにお上が現場への理解が足りないかがこの分割調剤でよくわかる。
長期投薬を制限するような通知をだしているのだから、お国は分割をすすめたいということは読み取れる。
まだ、医師指示の分割きてないからなんともわからないが、これで一気に分割処方箋が増えたら薬局は死活問題です。
今回の改定では、基準調剤加算や後発医薬品調剤体制加算がとれなくなって死活問題と大騒ぎしていましたが、そんなことよりも一番やばいマイナス改定はこの分割調剤です。数がすくないからいいものを大量にきたら薬局つぶれますよね。
この分割は将来のリフィル処方箋導入への布石とされていますが、リフィル処方箋もこの形態での計算方法になるのであれば薬局としては導入されないことを願うばかりです。
追記2016/04/14
やっぱりちょっとだけメリットあったわ。
分割調剤は服薬情報等提供料がとれる
さすがに、3回にわけてわたして、1回分の料金しか取れないとなると薬局にメリットがなさすぎます。
だから、分割したら追加でとれる点数が存在します。それが服薬情報等提供料です。
服薬情報等提供料について説明すると長くなるので後日別で記事にします。
調剤報酬点数表より
患者、その家族等若しくは保険医療機関の求めがあった場合又は薬剤師がその必要性を認めた場合において、患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も患者の服用薬の情報等について把握し、患者、その家族等又は保険医療機関へ必要な情報提供、指導等を行った場合に、所定点数を算定する。なお、保険医療機関への情報提供については、服薬状況等を示す情報を文書により提供した場合に月1回に限り算定する。これらの内容等については薬剤服用歴に記録すること。
調剤報酬点数表に関する事項より
~(略)~
イ「区分番号00」の調剤基本料の「注8」に掲げる分割調剤において、2回目以降の調剤時に患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化等について確認し、処方医に対して情報提供を行った場合
~(略)~
月に1回だけ1回20点とれます。服薬情報等提供料は処方箋受付と関係ないとこで算定できる点数なので、服薬情報等提供料単独でレセプトつくるのかな。よくわかりません。