平成28年度診療報酬改定

基礎的医薬品は変更調剤が可能なの?薬剤一覧表【2018年】

こんにちは。ベテラン調剤薬局事務のジム子です。今回は「基礎的医薬品」の後発品への変更調剤について解説していきます。

基礎的医薬品についてはご存知でしょうか?いきなりいわれても薬剤師でも知らない人は多いでしょう。知らなくても普段の業務でこまることはほとんどないのですが「後発品への変更調剤」や「後発医薬品調剤体制加算の計算」に関与するので管理者クラスは知っておいたほうがいいです。

具体的な品目はあとで一覧にするけど「リンデロンVG」や「ケフラール」が基礎的医薬品に該当します。

基礎的医薬品は「先発品」でも「後発品」でもない第3のカテゴリーです。変更調剤をする上でどのように取扱っていいのかはっきりしないので、これについて疑義解釈が出ています。

平成28年度疑義解釈資料(その7)

【後発医薬品への変更調剤】
(問1)処方せんにおいて変更不可とされていない処方薬については、後発医薬品への変更調剤は認められているが、基礎的医薬品への変更調剤は行うことができるか。

(答)基礎的医薬品であって、平成28年3月31日まで変更調剤が認められていたもの(「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」等)については、従来と同様に変更調剤を行うことができる。なお、その際にも「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」(平成24年3月5日付け保医発0305第12号)に引き続き留意すること。

平成28年3月31日以前からジェネリックだったものについては今後も薬局の判断で変更することができます。たとえば「リンデロンVG」を「デキサンVG」に変更することはできますが、その逆である「デキサンVG」を「リンデロンVG」に変更することはできません。

カテゴリーが「基礎的医薬品」にかわったけど先発と後発の主従関係はかわらないのです。

基礎的医薬品に似たものとして亜鉛華軟膏「シオエ」や亜鉛華軟膏「ホエイ」のようなものがありますが、これらの相互の変更は可能なのでしょうか?これダメなんですよね。亜鉛華軟膏は「局方品」ってカテゴリーに分類されます。「先発品」でも「後発品」でもない。

「亜鉛華軟膏」のように一般名で処方されたときはなにつかってもいいけど、亜鉛華軟膏「ホエイ」みたいに商品名で記載されてしまった場合は、変更調剤するためには疑義照会が必要にあります。

よほどこだわりのある医師でない限り「ホエイ」だろうが「ヨシダ」だろうが「丸石」だろうがなんでもいいと言ってくれます。パソコンで入力できるのが「ホエイ」しかないから商品名で処方したってパターンが多い。一般名での処方がわからないから商品名になってるってだけの迷惑なパターンです。

基礎的医薬品の変更どうこうするよりもまず「局方品」のへの変更について変更の許可をだしてほしいものです。

基礎的医薬品とは?

基礎的医薬品とは、不採算品再算定、最低薬価になる前の薬価を下支えする制度です。要件を満たす医薬品については、最も販売額が大きい銘柄に価格を集約してその薬価が維持されます。

薬価って一定のルールに従って経時的に引き下げられていくのですが、引き下げすぎると不採算品ということでメーカーが販売を中止してしまう恐れがあります。医療の現場でよく使用されるものが不採算を理由で市場からなくなってしむと患者が不利益を被ってしまうので本意ではありません。

そうならないように、大事な品目だけは、これ以上は薬価が下げられることがないラインを定めて薬価を下支えする必要があります。

たとえば「リンデロンVG」とそのジェネリックがH30年改定で「基礎的医薬品」に分類されました。そうなると「先発品」「後発品」の区分が撤廃されて1つの価格対に収束されました。一番高い価格に収束するルールがあるので、ジェネリックであるベトノバールGやデキサンVGはリンデロンVGと同じ薬価になりました。

そして該当する医薬品については後発医薬品調剤体制加算の計算式から除外されます。基礎的医薬品なら同一価格帯しかないので無理に変更する必要はありません。

基礎的医薬品の要件

①~④の全てのを満たすこと

  1. 医療上の位置づけが確立して広く臨床現場で使用されていることが明らかであること。
  2. 該当既収載品ならびに組成及び財形区分が同一であるすべての類似薬のうち、薬価収載の日から25年を経過しているものであること。
  3. 当該既収載品と組成および剤形区分が同一である類似薬がある場合には、当該既収載品を含む類似品の平均乖離率が、全ての収載品の平均乖離率を超えないこと。
  4. 当該既収載品の市場実勢価格の価格に対しる乖離率が、全ての既収載品の平均乖離率を超えないこと。

基礎的医薬品の一覧

厚生労働省でH30年度の診療報酬改定時に公開された「基礎的医薬品」のリストの一部抜粋です。歯科領域と注射剤を除外したものです。

内服薬

フェノバール錠30mg
フェニトイン散10%
フェニトイン錠25mg
フェニトイン錠100mg
「純生」アスピリン
アスピリン「ホエイ」
アスピリン「ヨシダ」
アスピリン原末「マルイシ」
アスピリン「日医工」
スルモンチール散10%
スルモンチール錠10mg
硫酸アトロピン「ホエイ」
スルモンチール錠25mg
チノカプセル125
チラーヂンS散0.01%
レボチロキシンナトリウム錠50μg
レボチロキシンナトリウム錠25μg
レボチロキシンナトリウム錠100μg
レボチロキシンナトリウム錠12.5μg
レボチロキシンナトリウム錠75μg
コートリル錠10mg
プレマリン錠0.625mg
レクチゾール錠25mg
ソリタ-T配合顆粒2号
ソリタ-T配合顆粒3号
エレンタール配合内用剤
ノックビン原末
経口用エンドキサン原末100mg
塩酸プロカルバジンカプセル50mg「中外」
ダラシンカプセル75mg
ダラシンカプセル150mg
カナマイシンカプセル250mg「明治」
硫酸ポリミキシンB錠25万単位「ファイザー」
硫酸ポリミキシンB錠100万単位「ファイザー」
ビクシリンカプセル250mg
ペングッド錠250mg
L-ケフレックス小児用顆粒
L-キサール顆粒500
L-ケフレックス顆粒
セファレキシン顆粒500mg「JG」
セファレキシン複合顆粒500mg「トーワ」
ラリキシン錠250mg
セファレキシン錠250「日医工」
セファレキシンカプセル250mg「トーワ」
ケフレックスカプセル250mg
ケフレックスシロップ用細粒100
ラリキシンドライシロップ小児用10%
ケフレックスシロップ用細粒200
ラリキシンドライシロップ小児用20%
セファレキシンドライシロップ小児用50%「日医
ケフラール細粒小児用100mg
セファクロル細粒小児用10%「JG」
セファクロル細粒小児用10%「サワイ」
L-ケフラール顆粒
ケフラールカプセル250mg
セファクロルカプセル250mg「TCK」
セファクロルカプセル250mg「トーワ」
セファクロルカプセル250mg「JG」
セファクロルカプセル250mg「サワイ」
オラスポア小児用ドライシロップ10%
セフスパンカプセル50mg
セフスパンカプセル100mg
トミロン細粒小児用10%
トミロン細粒小児用20%
トミロン錠50
トミロン錠100
オラセフ錠250mg
セフゾンカプセル50mg
セフジニルカプセル50mg「トーワ」
セフゾンカプセル100mg
セフジニルカプセル100mg「トーワ」
ホスミシン錠250
ホスミシン錠500
ホスミシンドライシロップ200
ホスミシンドライシロップ400
オーグメンチン配合錠125SS
オーグメンチン配合錠250RS
ビブラマイシン錠50mg
ビブラマイシン錠100mg
ミノマイシン顆粒2%
ミノサイクリン塩酸塩顆粒2%「サワイ」
サイクロセリンカプセル250mg「明治」
ハリゾン錠100mg
ファンギゾンシロップ100mg/mL
ハリゾンシロップ100mg/mL
アルミノニッパスカルシウム顆粒99%
パラアミノサリチル酸カルシウム顆粒
イソニアジド錠
イソニアジド
ピラジナミド
エブトール125mg錠
エブトール250mg錠
バクシダール錠100mg
ノルフロキサシン錠100mg「ツルハラ」
ノルフロキサシン錠100mg「サワイ」
バクシダール錠200mg
ノルフロキサシン錠200mg「ツルハラ」
ノルフロキサシン錠200mg「サワイ」
小児用バクシダール錠50mg
タリビッド錠100mg
レトロビルカプセル100mg
フロリードゲル経口用2%
バクタ配合顆粒
バクトラミン配合顆粒
バクタ配合錠
キニーネ塩酸塩水和物
チニダゾール錠200mg「F」
チニダゾール錠500mg「F」
フラジール内服錠250mg
ジエチルカルバマジンクエン酸塩錠
コンバントリン錠100mg
コンバントリンドライシロップ100mg
メベンダゾール錠100(ヤンセンファーマ)

外用薬

リュウアト1%眼軟膏
日点アトロピン点眼液1%
ベノキシール点眼液0.4%
ネオベノール点眼液0.4%
オキシブプロカイン塩酸塩点眼液0.4%「ニッ
クロラムフェニコール点眼液0.5%「ニットー」
ピマリシン眼軟膏1%「センジュ」
ピマリシン点眼液5%「センジュ」
ベストロン点眼用0.5%
PA・ヨード点眼・洗眼液
ゾビラックス眼軟膏3%
タリビッド眼軟膏0.3%
タリビッド点眼液0.3%
オフロキサシン点眼液0.3%「日医工」
ノフロ点眼液0.3%
バクシダール点眼液0.3%
ノルフロキサシン点眼液0.3%「NikP」
エコリシン眼軟膏
眼・耳科用リンデロンA軟膏
点眼・点鼻用リンデロンA液
ベストロン耳鼻科用1%
タリビッド耳科用液0.3%
亜硝酸アミル
新レシカルボン坐剤
クロマイ腟錠100mg
テキサント消毒液6%
産婦人科用イソジンクリーム5%
エタノール
消毒用エタノール
無水エタノール
エチコール(ニワトリ印消毒用アルコール)
ゲーベンクリーム1%
フシジンレオ軟膏2%
ポリミキシンB硫酸塩
デルモゾールG軟膏
リンデロン-VG軟膏0.12%
ルリクールVG軟膏0.12%
デキサンVG軟膏0.12%
ベトノバールG軟膏0.12%
デルモゾールGクリーム
リンデロン-VGクリーム0.12%
ベトノバールGクリーム0.12%
デルモゾールGローション
リンデロン-VGローション
エポセリン坐剤125
エポセリン坐剤250
サラゾピリン坐剤500mg
白色ワセリン「ケンエー」
白色ワセリン(シオエ)
白色ワセリン(東洋製化)
白色ワセリン(日興製薬)
白色ワセリン(山善)
プロペト
白色ワセリン(マイラン)
白色ワセリン「ヨシダ」
白色ワセリン「日医工」
マクロゴール軟膏
マクロゴール400
マクロゴール4000(丸石)
プラスチベース
アンペック坐剤10mg
アンペック坐剤20mg
アンペック坐剤30mg

基礎的医薬品対象品目リスト(H30年)

「リンデロンVG」や「トミロン」「セフゾン」が基礎的医薬品になりました。今後は、リンデロンVGを変更調剤しても「後発医薬品調剤体制加算」の数量シェアにはカウントされません。

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