~お知らせ~
謝罪と訂正
では、本文スタート。
今回の調剤報酬改定ではチェーン薬局いじめがハンパないですね。
チェーン薬局は儲け過ぎだろってことで基本料を大幅に減算されてしまいます。
でも、安心して下さいちゃんと救済措置(やさしさ)があります。
無慈悲に減算だと可哀想だから、かかりつけ薬局業務をしっかりやれば通常の点数を算定させてあげるよといういう特例措置が準備されています。
ただ、この特例措置を受けるための要件が滅茶苦茶厳しくて、これはギャグだろってレベルです。
要件は2点です。
調剤基本料の特例対象薬局のうち、かかりつけ薬剤師としての業務を一定以上行っている保険薬局は特例の対象から除外する。
(1) 当該保険薬局に勤務している薬剤師の5割以上がかかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に適合した薬剤師であること。
(2) かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料にかかる業務について相当な実績を有していること。
⇒薬剤師一人当たり月100件以上算定(自己負担のない患者を除く)
まずは薬局で従事する薬剤師の半数以上がかかりつけ薬剤師に適合することとある。もし5人いたら3人はかかりつけ薬剤師になってないとダメです。
ノルマが保険薬剤師1人あたり月100件なので店舗で月500件必要という計算になります。でもかかりつけ薬剤師の登録がある薬剤師しか算定できないので、もし5人のうち3人しかかかりつけ薬剤師がいなければ、一人あたり167回がノルマになってしまいます。こりゃ大変だー。
だから、本気でとりにいくのであれば5割がかかりつけ薬剤師に該当することは当たり前であって実質的には全員が登録されていないときびしい。
薬剤師1人1日30枚投薬を月20日営業とします。月に600枚の投薬ですね。
勤務薬剤師が全員かかりつけ薬剤師の登録をした前提ですすめると、600枚のうち100件かかりつけ薬剤師指導料をとればいいので6枚に1枚とればいいことになります。これが1人あたりのノルマです。
すべての患者さんに懇切丁寧にサービスの概要を説明したとしても6人に1人とれるでしょうか?わたしはまず無理だと思います。
指導料を算定するためには、患者に契約内容を説明の上同意書にサインを貰う必要がある。だから、説明だけでも相当の時間がかかります。6人に1人とりにいくなら全患者への情報提供は必須なので、これするといままでしていた投薬枚数を維持することはむずかしくなります。かといって、薬剤師の人数を増やしてもその分ノルマ100回が追加されるので、増やすのであれば事務員を増やす他ありません。
ただ、事務員を増やしたとしてどれだけ戦力になるのかさだかではない。
ちなみに、該当患者には契約書をかわしたのち自分の勤務シフトをプレゼントします。しかも、24時間テレホンサービスもつけないといけません。
月に100件契約とったら昼夜テレホンサービス対応でたいへんかもしません。
なかなか厳しい要件ですが、実現するためには具体的にどのようにすればよいのでしょうか?
特例除外を実現するための方法
まず、かかりつけ薬剤師は100回ノルマ達成に専念させるべきです。ということで、ルーチン業務を投薬だけにして、かかりつけ薬剤師になれないパートの薬剤師がピッキング&監査を担当します。ただ、かかりつけ薬剤師になれない薬剤師がいるだけできびしいのですが、現実的にはいるでしょう。
投薬をかかりつけ薬剤師に集中させることで1日70枚くらい頑張ってもらいます。
すると月1400枚投薬でその内100枚というノルマになるから14人に1人契約をとればよくなるので割合的(7.1%)には楽になりますよね。
ただ、これをやると正社員薬剤師(かかりつけ薬剤師)はもう地獄です。これから毎日永遠(トワ)に投薬をしつづけます。ひと月のノルマをクリアしても毎月100回だから、また翌月もノルマ達成しないといけないので永久につきまといます。
とうぜん薬歴もあるから1日70枚ぶんを毎日かかないといけません。残業必至ですね。
そうなれば絶対に辞めたくなる人があらわれるので、今度はこの対策をしないといけません。かかりつけ薬剤師がいなくなってしまうと次に新しい薬剤師を雇用しても、入社したての薬剤師は半年店舗に所属しないとかかりつけ薬剤師に登録できません。
これは大変です。
店舗として1度ノルマクリアして届出をしても薬剤師が辞めたらまた一からスタートです。かかりつけ薬剤師指導料はその薬剤師と患者で1対1契約ですからね。担当薬剤師辞めたらリセットになります。他の薬剤師が担当するなら再契約が必要になります。ただ、ころころかわったら信用がないから2度目の契約は難しいかもしれない。
やっぱり、会社は薬剤師が辞めないようにするための措置を講じなければならない。
かかりつけ薬剤師指導料が1回70点だから、これを歩合制にして薬剤師にキャッシュバックしたらどうでしょう?
月に100回かかりつけ薬剤師指導料を算定してノルマ達成時には薬局に7万円の純利益を生み出します。これを丸々すべて薬剤師にあげましょう。
これがもらえるなら契約を取るのにも必死になるはずです。会社は基本料がUPしたことで利益を出せばいいじゃないですか。
調剤基本料2:25点
調剤基本料3:20点
これが41点になります。20→41でプラス21点です。
月に4000枚応需していたら月プラス84万円の増収です。でも、かかりつけ薬剤師の説明をするにあたっての人件費のコストUPや薬歴残業の増加も考えると人件費はUPするとおもう。
それでも84万円プラスなら残業費払ってもプラスになりそうです。
ということで、
かかりつけ薬剤師に月7万円アップで頑張ってもらうという契約で挑んでみたらどうでしょうか?
大手チェーンで特例除外に挑む店舗の薬剤師さんはいまから心の準備が必要です。もし、この策に危機感を覚えるのであればいまのうちに中小へ転職するというのも手だと思います。
中小もかかりつけ薬剤師の要件を満たす薬剤師は喉から手が出るほどほしいはずです。新たな店舗でかかりつけ薬剤師になるためには半年の店舗在籍期間が必要なので今から確保に走るはずです。
いつ必要なの?いまでしょ!
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おまけ
かかりつけ業務をしない場合の減算措置もギャグ
かかりつけ業務を一切行わないと基本料を50%カットという規定があります。
でも、少しだけやればこの基本料カットを免れます。
それが年間10回のかかりつけ業務の実施です。10回以上やればかかりつけ業務をしたとみなしてくれるそうです。
かかりつ業務とは
・かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料
・外来服薬支援料、服薬情報等提供料
・薬剤服用歴管理指導料の麻薬管理指導加算、重複投薬・相互作用等防止加算
・在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、退院時共同指導料、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料
・介護予防居宅療養管理指導費、居宅療養管理指導費
このどれかを合計して年間10回やればいいんです。
さっきの、月100回にくらべてものすごくゆるい規定です。月100回はほぼ不可能という意味で合ってないような規定ですが、この年間10回はあまりにハードルが低すぎてあってないような要件です。
かかりつけ業務のなかに重複投薬・相互作用等防止加算が含まれるのでかかりつけ薬局でなくても残薬確認の疑義照会を行えば算定できます。
残薬確認を年間で10回だからあまりにもひどい規定だとおもう。これもギャクかなんかでしょう。