計量混合加算の算定要件について処方例を交えながら説明していきます。これさえ読んでおけば計量混合加算でもう困ることはありません。
計量混合加算の算定要件
2種以上の薬剤(液剤、散剤若しくは顆粒剤又は軟・硬膏剤に限る。)を計量し、かつ、混合して、内服薬若しくは屯服薬又は外用薬を調剤した場合は、計量混合調剤加算として、1調剤につきそれぞれ次の点数(予製剤による場合はそれぞれ次に掲げる点数の100分の20に相当する点数)を各区分の所定点数に加算する。
- 液剤の場合:35点
- 散剤又は顆粒剤の場合:45点
- 軟・硬膏剤の場合:80点
2種類の薬剤を混合した場合は「外用剤」でも「内服剤」でも、どちらも算定することができます。ただ予製として事前に作り置きしている場合は100分の20しかとれないので注意が必要です。
軟膏を事前に混合して予製していた場合には1調剤につき80点のところ、その100分の20なので16点しか算定することができません。また自家製剤加算や一包化加算を算定している部分と重複している時は算定することができない点も注意しておきたい。
細かい部分は処方例をまじえて見ていきましょう。
計量混合加算の処方例
粉薬を混合した場合
処方例
アスベリン散 0.1g
ムコダインDS 0.3g
ムコソルバンDS 0.3g
毎食後 10日分
日数に関係なく調剤した個数に応じて算定します。この場合は散剤の計量混合加算:45点が算定できます。
混合した薬剤が複数ある場合(用法・日数が同一)
処方例
アスベリン散
ムコダインDS
ムコソルバンDS
毎食後 4日分
メイアクト細粒
ビオフェルミンR散
毎食後 4日分
用法が同じで日数も同じ場合は便宜上は分けていますが1調剤にあたるので残念ながら計量混合加算は1つしか算定できません。
混合した薬剤が複数ある場合(日数違い)
処方例
アスベリン散
ムコダインDS
ムコソルバンDS
毎食後 4日分
メイアクト細粒
ビオフェルミンR散
毎食後 3日分
用法が同じでも日数が違う場合は、それぞれを1調剤とすることができるので計量混合加算を2つ算定することができます。
シロップ剤の混合
処方例
ペリアクチンシロップ 6ml
ムコダインシロップ 6ml
毎食後 5日分
液剤の計量混合加算35点を算定できます。配合不可によって混合できない場合は別々につくることでそれぞれで調剤料を算定することができます。たとえばムコダインとポンタールの混合がきてたとしても混合調剤できないので別々に作成します。そうすると計量混合加算がとれないかわりにそれぞれで調剤料をとることができます。
ドライシロップをシロップに溶かして混合した場合
処方例
ムコダインシロップ 6ml
ホスミシンドライシロップ 3g
毎食後 5日分
ドライシロップをシロップに溶かした時は液剤の計量混合加算を算定できるので35点を算定できます。
複数の粉薬と錠剤を一包化した時
処方例
ムコダインDS 3g
ムコソルバンDS 3g
メチコバール錠 3錠
毎食後(一包化)
一包化の算定要件を満たすので一包化加算を算定します。この場合は計量混合加算は算定不可です。ただし一包化と関係ない部分で混合が発生している場合は算定することができます。
軟膏をミックスした場合
処方例
アンテベート 10g
アズノール 10g
混合
軟膏のミックスは作りがいがあるので80点算定できます。軟膏にかかわらずクリームも同じですね。
1調剤ごとに算定できるので複数軟膏ミックスがあればミックスした数だけ算定できます。調剤料に関しては3剤を超える部分は算定できませんが、計量混合加算については数の上限はありません。
複数個の軟膏ミックス
処方例
アンテベート 10g
アズノール 10g
混合
ヒルドイドソフト 50g
プロペト 50g
混合
この場合は2調剤ぶん加算を算定できます。調剤料と違って計量混合加算に上限はないのでミックスした個数分算定できる。
外用の調剤料は3剤までしかとれないけど、加算は別物なので調剤料がとれない部分であっても計量混合加算は算定することができます。
微量のため乳糖を賦形して調剤した場合
処方例
アスベリン散 0.1g
毎食後
▼すくなすぎるので薬局の判断で乳糖を賦形▼
アスベリン散 0.1g
乳糖 0.2g
毎食後
勝手に薬局の判断で乳糖を賦形して混ぜた場合でも算定できます。
平成24年度の疑義解釈
自家製剤加算および計量混合調剤加算のうち、「特別の乳幼児用製剤を行った場合」の点数は廃止されたが、乳幼児の調剤のために、矯味剤等を加えて製剤した場合や微量のために賦形剤・矯味矯臭剤等を混合した場合には、自家製剤加算又は計量混合調剤加算を算定できるという理解で良いか。
(答) 貴見のとおり。
外用の液剤同士もしくは散剤同士を混合した場合
処方例
リドメックスローション 10g
ニゾラールローション 10g
混合
外用剤だろうと内用薬シロップだとると、おかまいなく液剤の計量混合加算:35点を算定することができます。同様に外用散剤を混合した場合は散剤45点を算定することができます。
大量の軟膏ミックス
処方例
ヒルドイドソフト 200g
プロペト 200g
混合(100gずつ小分けにして)
医師の指示で100gずつの小分けにしてと書いてあるので4個に分けて作るけど加算は1つしか取れません。仕方がないので容器代だけ4つ分しっかりと請求するだけです。
容器代をとらない薬局だと赤字処方ですね。
散剤しかないけど一包化加算の要件を満たす時
処方例
ポララミンDS 1g
ムコダインDS 3g
ムコサールDS 3g
毎食後
一包化の用にすべて混ざって分包されるけど、この場合は計量混合加算を算定します。もし一包化の指示があり「朝」「昼」「夕」で作成した場合は一包化調剤加算を算定してもかまいません。どちらか一方だけ算定することができます。
頓服薬を混合して作成した場合
処方例
ナウゼリンDS 0.5g
ビオフェルミン 0.5g
吐気時
内服だろうが頓服だろうが粉薬の計量混合加算を算定すればいいので45点ですね。
分包品を使用した場合は計量混合加算が算定できない?
処方例
アンテベート軟膏 5g
ゲンタシン軟膏 10g
混合
どちらもチューブから絞り出して混合
算定できません。あまり知られていませんが既製品の分包品を使用して作成した場合は算定できないんです。「計量混合加算」は「計量かつ混合」した場合に算定できるので、既製品をつかうと「計量」したことにならないからです。この判断は「分包品」が販売されているかどうかではなく実際に「分包品を使用して調剤したかどうか」で判断するため、もしアンテベート軟膏を100gのツボから量りとって調剤したのであれば「計量」の要件を満たして算定することができるようになります。参考:保険調剤Q&A平成28年P.87
吸入剤に「生理食塩水」を混ぜて調剤した場合の「計量混合加算」
処方例
ビソルボン吸入液
ベネトリン吸入液
生理食塩水
混合
算定できます。ビソルボン吸入液、ベネトリン吸入液、生理食塩水を混合する処方箋ですが「生理食塩水」は薬価基準区分では「注射剤」に区分されるので悩むところなのですが、添付文書の使い方には「噴霧吸入」の適用もあります。もしとるなら液剤:35点を算定します。
ステロイドに白色ワセリンを混ぜたときの「計量混合加算」
処方例
アンテベート軟膏
白色ワセリン
混合
算定できます。白色ワセリンでうすめるのはどこも大好きですよね。薄めているのか、保護材として利用しているのかの処方医の意図によるようですね。白色ワセリンは効能効果を期待して混ぜているのか、基剤としての賦形剤として混ぜているかの目的を問わずに「算定できます。」
サリチル酸原末と白色ワセリンで「サリチル酸ワセリン」を作成した場合
サリチル酸0.9gを少量のエタノールにとかせいて微粉末化して白色ワセリン30gと混和して3%サリチル酸ワセリンを調剤した場合は
自家製剤加算を算定します。計量混合加算は同一剤形のもの同士を混合した場合に算定するので、粉末と軟膏を混ぜた場合は剤形がかわってしまうので「自家製剤加算」の要件に該当します。
関連記事自家製剤加算の算定要件まとめ。とれるの?とれないの?
追記予定
- 一包化の中に含まれる計量混合
- 散剤と液剤の混合は自家製剤加算
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