今回は「基本調剤料」の算定ルールについて解説していきます。基本調剤料は薬局の受付料のことなので、処方箋の内容にかかわらず受け付けたらほぼ無条件に算定します。
患者はこれを拒否することはできません。基本料を拒否するなら薬はおわたしできません。基本調剤料は「受付ごとに1回算定」するので「受付回数=基本調剤料の算定回数」でほぼ一致します。
この受付回数という概念にちょっとしたルールがあるのでそこを重点的に解説してきます。
メインテーマは「同一人物」の処方箋を複数受付たときの受付回数はどうなるのかです。
まず、基本ルールがこちらです。
厚生労働省保険局医療課長通知
『同一患者から同一日に複数の処方せんを受け付けた場合、同一保険医療機関の同一医師によって交付された処方せん又は同一の保険医療機関で一連の診療行為に基づいて交付された処方せんについては一括して受付1回と数える。ただし、同一の保険医療機関から交付された場合であっても、歯科の処方せんについては歯科以外の処方せんと歯科の処方せんを別受付として算定できる。』
これ大事なのでよく読んでくださいね。ここからさきは、これを踏まえて解説していきます。
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違う病院の処方箋が2枚の場合
これは簡単ですね。
単純に2回受け付けになります。続けて2枚入力するだけでレセコンくんはなにも言って来ません。基本料も調剤料も薬学管理料もそれぞれで算定可能です。
同じ病院の処方箋が2枚の場合
大学病院のように様々な診療科があるところだと1日に複数の診療科を受診してくるので、例えば、皮膚科の処方箋と眼科の処方箋をセットでもってきたりします。
この場合は、別々の処方箋であっても同じ病院からの処方箋は診療科が違くても、処方医師が違くても受付回数を一括して1回と数えます。
つまり、調剤基本料や管理指導料は1回だけしかとれず、調剤料も2枚分をまとめた分しかとれません。ここでちょっとした疑問です。
違う診療科をかかることが一連の医療行為に該当するのか?
上記の基本ルールより抜粋
同一の保険医療機関で一連の診療行為に基づいて交付された処方せんについては一括して受付1回と数える。
このように書かれていましたね。定義によると一連の医療行為に該当しなければ複数回で受付けられることになります。
でも残念ながら、ここもしっかり厚生労働省が言及しています。
『例えば2つの傷病で通院中の患者が、同一保険医療機関の異なるそれぞれの診療科で診察を受けた処方箋が交付された場合、受付1回となります。』
だそうです。
一連の医療行為は、いくつもの疾病があっても一つの医療機関で完結できるのであれば、それは一連の医療行為で完結したことになるのです。
例外は、これから説明する一度家に帰ってしまった時です。③に続く。
同じ病院で、午前に受診して処方箋をもらい、一度家に帰ってから、午後にもまた受診して処方箋をもらった場合
ちょっと複雑なんだけど、午前午後で同じ病院を2回受診することはよくある。よくよく考えると、これは②と同じように思えます。
違うのは、一度、家に帰っていることです。
これによって一連の医療行為が途切れるかどうかです。
ちょっとむずかしいんだけど、これも普通は受付まとめて1回しか取れません。午前中の最初の1回だけとります。
たとえば、午前中の処方で保湿剤を出してもらうの忘れたから、同じ病院でまた処方箋もらって来た場合とかは処方箋が分かれていても午前の分に保湿剤を追加してあげて1回受付とします。
だしてもらうの忘れたからもう1回行ってきたパターンはこれはどれも1回受付になります
さて、こちらにも例外があって、
『じほう 保険調剤Q&A 平成22年版』でこのような説明がある。
Q.
調剤基本料の算定に関して、「同一患者から同一日に複数の処方箋を受け付けた場合、同一の保険医療機関で一連の診療行為に基づいて公布された処方箋は一括して受付1回と数える。」とされているが、同一日の受付で理由の如何を問わず受付1回として算定することとなるのか。
A.
午前の処方箋受付後に患者の病態が急変し、夜に再度医療機関を受診して処方箋を持参したような場合は、別受付として取扱って差し支えない。
いちど家に戻ってから体調が急変して再度受診したときは受付を別にしてもいいと言われています。
体調の急変がどの程度を示すかはわからないけど、
・午前風邪で、午後に発熱
・午前風邪で、午後に嘔吐
こんなかんじで、症状悪化したときには複数回受付にしています。ただ『急変』の部分がが定義されていないので、ここはさじ加減で薬局が各々に判断する部分だと思います。
返戻になってしまったら次から注意するほかない。
ちなみに、複数回受付けた場合は、レセプトに受付時間と理由(症状急変のため)を記載する。あと、それぞれの受付時刻とかもコメントに残したほうがいい。
同じ病院で、歯科と内科の処方箋を持ってきた場合
例外として、歯科の処方箋は別受付にしていいとされてい。
そもそも、歯科は医療機関コードも違うので別の病院みたいな扱いになります。
調剤基本料を算定しない特殊なパターン
検査薬のみの処方箋は原則基本料など一切算定できません。詳しくは検査薬の紹介記事にて説明します。
関連記事検査薬の処方箋は調剤料だけでなく基本料さえも算定できない
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