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市販薬

パイロンPL顆粒はPL顆粒と同じ成分を配合した市販薬

今回は、登録販売者むけに総合感冒薬のPL顆粒とおなじ成分が配合された市販薬を紹介します。あわせて製品の特徴も紹介するのでよかったら最後まで読んでください。

病院でもらう総合感冒薬でまっさきに思いうかぶ商品といえばPL顆粒だと思います。内科を定期的に受診している人が血圧や糖尿病の薬のついでにPL顆粒を持っていきますね。

高齢者がついでにもらっていくと、それはそれは安い値段でPL顆粒が手にはいります。PL顆粒は1包6.4円だから10包で64円です。ここから保険で1割になったら10包で6.4円の計算になりますね。

毎回1週間分ずつ必ずもらっていく人とかいるけど、定期薬もらうタイミングで毎回風邪引いてるのかよってツッコみたくなる。風邪がこじれるまえに飲んで早く治したいからという人も多いけど、PL顆粒をのんだからといって早く治るものではない。きっと、アホみたいにもらっている人のなかには予防薬としてつかっている人も当然いるだろう。

風邪薬はどれも対処療法なので症状がないのに飲んでも意味はないけど、頭痛とかあれば解熱鎮痛剤配合だから楽になりますよね。なら、頭痛薬のめって話なんですけどね。

さて、なにはともあれ、PL顆粒の総合感冒薬の知名度は間違いなくナンバー1です。

こちらの知名度をうまく利用して市販薬に転用したのが「パイロンPL顆粒」です。

PL配合顆粒は塩野義製薬の商品で、パイロンPL顆粒はシオノギヘルスケアからの発売なのでどっちも塩野義なんです。シオノギヘルスケアは一般用医薬品を販売する部門ですね。

パッケージを見てもらえばわかると思いますが「パイロン」の文字ちいさっ!!その変わりにPL顆粒がデカデカと表示されていますね。もはやPL顆粒です。

医療用PL顆粒の「PL」は市販薬の「パイロン(pylon)」の略なので、そもそもOTCのパイロンを医療用成分に転用したものなんだけど、そこからまたOTCに戻ってきたわけです。

パイロン(OTC) → PL顆粒(処方薬) → パイロンPL顆粒(OTC)

謎の経緯をたどっています。余談ですが、パイロンPL顆粒を解釈するとパイロン-パイロン顆粒ということになりますね。チゲ鍋(なべなべ)みたいなものです。

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パイロンPL顆粒とPL顆粒の成分比較

成分 PL配合顆粒 パイロンPL顆粒 幼児用PL配合顆粒
サリチルアミド 270 216 45
アセトアミノフェン 150 120 25
無水カフェイン 60 48 10
プロメタジンメチレンサリチル塩酸 13.5 10.8 2.25
包装 1包1g 1包0.8g 1包1g
用法用量(成人) 1gを1日4回 0.8gを1日3回 年齢による

使用されている成分は同じなのですが市販薬であるパイロンPL顆粒の方が量がすくなくなっています。

でも、これにはマジックがあって実は1g中の成分量で比べたら同じなんです。ただ、パイロンPL顆粒は1包が0.8gなので全量がすくなくなっています。

また医療用は成人は通常1日4回なのに対して、OTCは1日3回です。

せっかくなのでPL配合顆粒の成分も見ていきます。

PL配合顆粒の成分解説

アセトアミノフェン:解熱鎮痛成分
サリチルアミド:解熱鎮痛成分
無水カフェイン:カフェイン
プロメタジン:抗ヒスタミン薬

成分的にみると、鼻汁、鼻閉、咽頭痛、喉頭痛、頭痛、関節痛、筋肉痛、発熱とこの辺の症状を和らげてくれます。

つまり、咳と痰には効果がありません。咳止めと痰切りが入ってないからですね。医者がPL顆粒を処方するときに痰切りや咳止めを追加することがあります。

総合感冒薬といってもちょっと偏った内容になるので、とりあえずだからと安易に選択するべきではありません。

咳や痰がからむからといってPL顆粒をのんでも全く効かないばかりか逆に悪化させてしまうことだって十分に考えられる。というのも、PLに使われている抗ヒスタミン成分は第一世代といって眠気や喉の渇きがでやすいものなのです。痰が絡んだ症状で喉が乾いたらどうなるとおもいますか?おそらく痰は固くなりより排出されにくくなるでしょう。つまり、痰切りと逆の効果になってしまうわけです。

ちなみに、

咳止めや痰切りも一緒に入っている総合感冒薬もたくさんあるので違う選択肢をさがしてみるといいでしょう。ただ、風邪薬なんてどれも対症療法で、つらい症状を和らげるだけで、治すわけではない。あんまり過度に期待しない方がいいのはもちろんだし、風邪の諸症状は体の防衛手段だから無理に止めないほうが風邪の治りはいい。

仕事が休めなくて、症状をすこしでも緩和したいというなら使うメリットはあるとおもうけど、家で寝ているのであれば、薬の服用よりも水分を補給して安静にしているだけというのが一番だろう。

自覚症状がただの風邪というのであれば病院へいっても対処療法であることはかわりない。まずは2~3日家で安静にして治らないようなら病院へいくといい。風邪に特効薬はないので早くいったからといって早く治るというものでもない。結局は自分の免疫で治すのだから、免疫が最大限がんばれるように安静にすることにまさることはない。

抗ヒスタミン薬(プロメタジンメチレンサリチル塩酸)について

感冒の鼻水をとめるためにはいってるんだけど、感冒の鼻水って止まりにくいのご存知でしょう?抗ヒスタミン薬の主流は第2世代で眠気が出にくいタイプなんだけど、これだと全然とまらない。

だから、第1世代抗ヒスタミン薬をつかうんだけど、ぶっちゃけこれもほとんど止まらないです。風邪の鼻水が薬でとまったことありますか?

抗ヒスタミン薬は花粉症や鼻炎に対しては非常に優秀ですが、感冒に対しては気休め程度ですね。第一世代とかつかうと眠くなるし、鼻や喉がかわくから、どうしても止めたいとき以外はオススメしない。

ちなみに、このプロメタジンメチレンサリチル塩酸を配合している市販薬というのがいままでありませんでした。

だから、いくつもある総合感冒薬の中でプロメタジンメチレンサリチル塩酸を含有することが特徴になるわけです。第一世代の抗ヒスタミン薬なんてどれでも同じだと思うのですが、いちおう特徴があって、抗ヒスタミン作用のほか副交感神経抑制作用を有し、しかも鎮痛効果の増強作用があるといわれています。

実際ほんとかどうかはわかりませんけどね。

プロメタジンメチレンサリチル塩酸の副作用

第一世代の抗ヒスタミン薬の特徴的な副作用と言えば、眠気と口渇です。ということで、PL服用したら車の運転は注意です。風邪のときは寝るのが一番なので、眠くなるというのは逆にメリットになることもある。

ただ、口渇もでるので風邪に口渇はあんまりいただけない。喉が乾くってことは喉の潤いがなくなってバリア機能が低下することになる。喉が潤っている状態と、乾燥している状態で、どっちがウイルスに対して防御力が高いのかって考えたら当然前者だというのは容易に想像できるとおもう。

さらに、たんが絡むような症状であれば、痰の水分量がへり痰が排出されなければ、細菌やウイルスの排出を遅らせることも十分考えられる。

抗ヒスタミン剤使うならメリットとデメリットをよく検討したほうがいいけど、風邪に使うメリットといえば、鼻水をとめるためなんだろうけど、前述したが感冒の鼻水は感冒が治るまではなかなかとまらない。ただ、副作用だけが悪目立ちするということも十分に考えられますよね。

アセトアミノフェンとエテンザミドとカフェイン(ACE処方)

解熱鎮痛成分のダブル処方ですね。アセトアミノフェンだかと心もとないので似たような効果のあるエテンザミドを配合して相乗効果を図ります。

この組み合わせって実はよくある組み合わせで、ここにカフェインを加えるとあの有名なACE処方になります。

A:アセトアミノフェン + C:カフェイン + E:エテンザミド

それぞれの頭文字をとってACE処方です。ACE処方は総合感冒薬というよりは解熱鎮痛剤によく使われる組み合わせです。ノーシンとかが有名です。

カフェインは一緒に配合されている抗ヒスタミン剤の眠気を軽減する役割だけでなく、鎮痛効果を増強するたすけがあるといわれている。とくに頭が重いような感じ(頭重)につかわれます。

パイロンPL顆粒のアセトアミノフェンの量少なっ。1包で120㎎しか入ってない。

アセトアミノフェンといえばカロナール錠ですが、カロナール錠は1錠200㎎、300㎎、500㎎のものがあります。

1日で最大4000㎎まで使えるとされているので120㎎がいかにすくないかがわかる。だからことそのエテンザミド配合なんだろうけど、エテンザミド配合するまえにそもそもカロナールの用量をもっと増やせばいいのにとおもってしまう。

どれも量がすくないからなのか、医者のなかには「PL配合顆粒+ロキソニン錠」とかいう、さらに解熱鎮痛剤を重ねるパターンもよくみる。

これに関しては「ロキソニン錠だけじゃ、ダメなの?」っておもう。わたしなら、解熱鎮痛剤を3種類ものむのいやです。量がすくないとは言え、それぞれに対して過敏症やアレルギーのリスクを背負うとおもうと、ぜったいに嫌ですね。

PL顆粒と同じ成分の錠剤

PL顆粒は苦いし、つぶつぶして喉にひっかかって飲みにくい。そういった、不満を改善したのがピーエイ配合錠です。こちらは、PL顆粒と同じ成分の錠剤タイプですね。注意したいのが、PL顆粒1包がピーエイ錠2錠に相当します。

処方箋で、ピーエイ1日3錠という処方をよくみるが、これだとPL顆粒1日1.5包と同じことになり、かなり少ない量であることがわかる。あえてすくなくしているパターンと知らずにすくなくなっているパターンが想定できるが、おそらく後者のほうが多いのかなとおもう。

ぶっちゃけ、PLやピーエイで治る風邪というのは、薬をのんだから治ったということはなく、飲もうが飲むまいが、治る風邪だといえます。

PL顆粒のジェネリック医薬品

サラザック、セラピナ、トーワチーム、マリキナ配合顆粒は、PL顆粒のジェネリックなので同じ成分が同量配合されています。値段も安くなるのですが、PL自体がかなり安いので変更しても十中八九自己負担金額はかわらないだろう。

風邪薬としてPLやピーエイ錠はおすすめか?

他に選択肢がとれるならすすめないです。頭痛くて、熱があってPLしかないなら飲むけど、ロキソニン錠があればそっち飲みます。だって眠くなるの嫌だし、鼻水がでてたとしてもどうせ止まらないし。

では、おすすめの風邪薬はなに?

まぁ、それは症状によりますよね。個人的には総合感冒薬で手っ取り早く済ませるのではなく、なるべく症状にあったものにしたい。

といっても、咳止めや鼻水止めの使用に関しては消極的なので、積極的に風邪のときに使いたいと思うのは解熱鎮痛剤くらいです。

鼻水がでて日常生活がままならないなら「マレイン酸カルビノキサミン」をつかいます。風邪の感冒では抗ヒスタミン剤で鼻水はあんまりとまらないといったが、こと「マレイン酸カルビノキサミン」に関してはマジでとまります。

ただ、口渇や眠気の副作用が強いので使うときはそれなりに注意して使ってほしい。

ということで、基本的にはロキソニン錠で対処します。鼻水がでるならパブロン錠で対処します。咳がでるならマスクで対処します。あとはのど飴くらいかな。病院にいっても風邪治んないから家で寝てたほうがいい、病院はウイルスの温床だから極力足運ばないほうがいい。

喉が痛い、頭痛い、熱が辛い → この辺は全部ロキソプロフェン錠で対処。鼻がでる、咳がでる、痰がからむ → この辺は薬なしで。水分こまめに補給してほっとけば治る。ちなみに、インフルエンザもほっとけば治る。持病がないかぎり風邪で病院へいくメリットはほぼない。

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