市販薬にぎょう虫を駆除するパモキサン錠というのがありますが、ぎょう虫検査がなくなってしまった今ではほとんど売れることのないお薬です。
一体誰が買うのか不思議です。ここ数か月まったく売れていません。
以前は、コンバントリンという商品もありましたが、こちらの市販薬は販売中止になってしまったので、いまあるのはぎょう虫駆除薬のパモキサン錠だけです。
コンバントリン錠だと、ぎょう虫だけじゃなくって回虫、鉤虫、蟯虫、東洋毛様線虫なんかにも効果が期待できたんだけど、パモキサン錠はパッケージにデカデカとぎょう虫駆除薬と記載されている通りで、ぎょう虫以外には効果がありません。
個人的には発売中止にするのはコンバントリン錠ではなくパモキサン錠だったらよかったと思っている。だって、1種類に効くよりも複数に効果のある薬の方が絶対にいいですよね。
ちなみに、名前は似ているけどコンバットとは全く違う商品です。コンバットはゴキブリ駆除の防除用医薬部外品ですね。
防除用医薬部外
コンバントリン錠のような広域駆虫剤は現在では処方箋専用薬になってしまったので、ドラッグストアにはありませんが回虫や蟯虫の駆除で内科を受診した際に処方されるかもしれません。
病院で処方される駆虫薬だとコンバントリン錠もしくはストロメクトール錠が有名です。
これらはどちらもできれば2回服用した方がいいと言われています。説明書に2回服用しろとは書いていないのですが、パモキサン錠しかりで駆虫薬は2回服用が原則です。
というのも駆虫薬は効き目の優れた薬で1回の服用でほぼ駆虫はできるのですが卵まで効果がありません。せっかく駆虫しても卵から新たな蟯虫・回虫が誕生してしまっては、また一から治療が必要になってしまいます。
そうならないためにも、あらたに誕生した幼虫がまた卵を生む前の限られた期間にもう一度服用することで、成功率が格段にアップします。
目安としては1回目服用後14日後くらいにもう1度服用します。蟯虫が見つかったら家族も一緒に感染している可能性が高いので家族全員で駆虫した方がいいです。
参考リンク:
>>寄生虫コンサルテーションFAQ 日本寄生虫学会
>>蟯虫について
2回服用しても駆虫しきれない場合は、室内に残っている虫卵で再感染を起こしている可能性があります。とにかく成功率を高めるためには室内の清掃の徹底が必要です。掃除機はもちろんのこと日光照射も有効です。清掃後は、手に虫卵が付着して入りおそれがあるので手洗いを徹底しましょう。
ぎょう虫検査が廃止された背景
ぎょう虫検査は2015年限りで廃止されてしまいました。
昔(昭和20年くらい)は国民病と呼ばれるくらい寄生虫の感染率が高かったのですが、昭和50年代になると、化学肥料の使用や下水道整備等により日本の衛生環境が格段に向上したことに加え、集団検便や集団駆虫が実施されるようになり、寄生虫の感染率は1%以下に激減したそうです。
東京都内での蟯虫卵保有者は、保育園・幼稚園児や小学校学童を中心に常に1%台の割合で発見されています。
また潜在的にその家族も保卵者であると推定できます。
昔とは状況がかわって1%しかないので、義務化はやめてやりたい人だけやってくださいってことになりました。
このぎょう虫の保有率は地域によってだいぶことなるようで、高いところでは数%あるそうです。だから、義務化じゃなくなっただけで、やっているところは未だに検査を行っています。
では、検査をしなくなってしまった人が検査したくなったらどこで検査してもらえばいいのでしょうか?
インターネットで簡単に検査キットが手に入るので、自宅で自分で行うことができます。
検査キットは例のセロファンです。御存知の通りでおしりにぺったんするシートですね。
ネットで注文して、検査キットが届くので、ぺったんした後に返送すると、数日後に検査結果が届くという流れになります。
もしぎょう虫が発見されたどうする?
内科を受診してもいいし、自分で市販薬のぎょう虫駆除薬を服用することもできます。
市販薬のぎょう虫駆除薬と言ったらこちらのパモキサン錠です。
成人なら1回に5錠です。配合成分のパモ酸ピルビニウムは腸管からはほとんど吸収されず、ぎょう虫に直接作用してすぐれた駆虫効果を発揮します。
寄生虫には蟯虫(ぎょうちゅう)だけでなくいろんな種類のものがあります回虫、条虫とか。このパモキサン錠はぎょう虫にしか効果がありません。
一昔前にドラッグストアで売っていたコンバントリン錠ってうっていて、いまは医療用だけになってしまいました。
医療用の「コンバントリン錠100㎎」
ね?いろいろ効くでしょ。
では、回虫に効く市販薬はないのでしょうか?
回虫に効く市販薬
コンバントリン錠があれば簡単なんですが販売中止ですね。
かつてサントニンとカイニン酸の両方含む「マクニンS」という製品が販売されていましたが、これも既に販売休止となっています。
現存する市販薬に「虫下しセメン錠S」がありますが、これは配置薬なので一般の方は購入できません。
配置薬は、薬屋さんから家に薬箱をあずかっておいて薬箱の中身を使ったら後払いでお金を払うシステムです。薬箱を家においておくだけではお金がかからないという便利なシステムなんだけど、都心ではドラッグストアがそこら中にあるのであまり一般的ではありません。
田舎で使われるようなシステムです。
虫下しセメン錠Sの有効成分は「サントニン」です。サントニンは回虫の自発運動を抑える作用を示し、虫体を排便とともに排出させることを目的として用いられます。
回虫は内視鏡検査で発見されることがおおいみたいです。もしくは口や肛門から直接虫が飛び出てくるなんてこともあるみたいです。想像したくないですよね。怪しい場合は検便で便を検査することもあるようですが、ぎょう虫みたいにおしりぺったんシールでは見つかりません。
サントニンの市販薬が売ってないから内科を受診してコンバントリン錠あたりを使うのが一般的な治療になるでしょう。