処方箋がなくても「病院の薬」が購入できる薬局があるのご存知でしょうか?リンデロン、ヒルドイド、ヒアレインなどなど色々かえちゃいます。
今回は、都内にある「オオギ薬局」で処方箋なしで医療用医薬品を購入してきたのでレポートします。
「病院の薬」がその場でかえるって超スゴくないですか?
病院にいくと、ちょっとしたお薬でも、診察が必要なのでやたらと待たされます。花粉症シーズの耳鼻科は2時間まちなんてあたりまえ、へたしたら半日病院で終わります。しかも、散々待たされたあげくにもらうのはお薬ではなく処方箋。それをもって薬局へにいくと、薬局でもさらに待たされてウンザリなんてことないですか?
時間だけではありません。病院では診察料をはらって、薬局では調剤料はらってと、諸々の費用を合算すると塗り薬を1本もらうだけでも最低で2000円はくだらない。
この2000円の内訳は「医師に診察してもらった」ことに対する対価が大部分をしめるので、塗り薬1本だけの薬剤料はほんの一部にしか過ぎません。
もし、診察なしで「薬だけ」を購入できれば、わずらわしい「病院の待ち時間」や「医師の診察料など」まとめて節約することができます。
それを可能にしたのが「病院の薬が処方箋なしで買える薬局」なんです。健康保険が利用できないから全額自費になるけど、それでも診察料や手間を考えたら利用するメリットは大きい。
「病院で処方した薬が欲しいけど、診察に行く時間がない」って忙しいビズネスマンやキャリーウーマンには最適のサービスです。タイム・イズ・マネー!!
ポイント
- 忙しくて病院へ行く時間がない人にオススメ
- いつも使ってるくすりだから診察は必要ないと思ってる人にオススメ
- 市販薬よりは安いけど、薬価よりは高い
- サービスを提供する薬局がほとんどない
- 生活習慣病などの効き目の強いものは購入できない
これ最近はじまったサービスだとおもったら、新潟にある「薬局アットマーク」は2002年から同モデルで営業スタートしているので、10年以上前からあったビジネスモデルなんです。
ただ、都心にはあまり浸透してこなかったみたいで最近になって都市部にもチラホラと「病院の薬が処方箋なしで買える薬局」が登場し始めたようです。
今回は、そのなかの一つ東京都(神田)にある「オオギ薬局」に医薬品を買いに行ってきました。
オオギ薬局で「病院のくすり」を購入してきました
「病院のくすり」が購入できるといってもすべての種類が購入できるわけではありません。それでも医療用として承認されているものの約半数が取扱できるということで様々なものがあります。
「抗生物質」ほしがる人おおいけど取扱できません。花粉症、胃薬、ビタミン剤、痛み止め、塗り薬は販売できるものが多いようです。
取扱品目はホームページ見てみるといいです。
「オオギ薬局」は神田駅から徒歩3分のとこにあります。以前は東京の「三鷹」にありましたが、2017年7月に「神田」に引越しされたようです。神田なら「渋谷から21分、池袋から25分、新宿から18分、東京から2分」なので、アクセスはバツグン。
HPに記載してあった道順通りにすすんだらすんなりとたどり着けました。
西口を出てすぐの、青いゲートの西口商店街を通り、 パチンコ屋さんのある4つ目の角で左折して約30m、 左手にあるお花屋さんの隣、黄緑色のビルの1階です。
オオギ薬局HPより引用
外観はとってもシンプルです。もっと「処方箋なしで購入できる薬局」を主張しているものだと思ったら、ずっと控えめな印象です。私のように目的をもって探している人であれば、見つかりますが、知らない人は通りすぎてしまうでしょう。
内装がこれまたシンプルで、ほとんどなにもないといっても過言ではない。サプリメントや一般用医薬品は取扱っていないので、目的のもの以外に「怪しいもの」を売りつけれる心配はまずなさそうです。
夕方16時くらいにいくと、お客さんは一人もいなかったので入店すると薬剤師さんがすぐに対応してくれました。時間帯がよかったのか、おかげでゆっくりと商品説明をしていただきました。
ほとんどの人は、過去に使っていた薬の商品名を指定買いするそうですが、私の場合はとくにこれと決めて来たわけではないので、症状をつたえてそれにあったものを紹介してもらいました。
商品を購入するパターンは大きく2つ
- 商品名で指名買いする
- 症状を伝えてオススメのものを選んでもらう
「商品一覧」はホームページで確認できるので指名買いの人は事前に確認していくとスムーズだとおもいます。今回は、せっかく潜入したんだから商品紹介してもらわないと面白くありません。
ちょうど、この日は二日酔いがひどくてフラフラ状態。二日酔いで病院へいくわけには行きませんよね。こういうときこそ「薬局」の本領発揮です。
さて、お手並み拝見といきましょう。
(ナウゼリンやプリンペランが登場するものとばかり思ってたら、まさかの漢方薬。)
たしかに確かに、吐き気どめでとりあえず楽になるよりは、このあとも飲みに行くから予防効果がある方が絶対にいいに決まってる。
そこまで考えてススメてくれたならもう文句はありません。
さて、ここから購入へと進んでいきます。
やっぱり病院のくすりってこともあって、そのままレジってわけにはいきません。初回問診票に答えて、会員登録します。
問診票には「服用薬」「アレルギー歴」「既往歴」など記入するところがあるので、それをみて薬剤師さんが飲み合わせなどをチェックしてくれます。
そのデータをもとに会員登録して年会費として500円支払えば、会員証GETです。
次回からは会員カード提示すれば問診票に記入することなく医薬品が購入できます。裏面には「会員番号・氏名」が入ってるのでヒミツです。
購入した医薬品と利用規約がこちらです。
購入するときに一緒に箱を確認しながら期限とロットを転記してくれます。その紙を貼付したユニパックが薬袋のかわりになるようですね。保管しやすくて助かります。
ツムラ五苓散は21包で1800円でした。購入にかかった時間は相談をのぞけば5分程度でしょう。病院へ行ったら最低でも1時間はかかります。これを高いと思う人もいるかもしれませんが、それで病院にいく時間を節約できたなら全然安い!!
しかも、市販薬とくらべても安いという良心設定。こういう薬局はまだまだすくないので、どんどん広がってほしいと思う。とりあえず横浜にできてほしい。
公式オオギ薬局HP
こういう人にオススメ
- 病院へいく時間がもったいないという人に
- いつも使ってるくすりだから診察は必要ないって人に
- 市販薬よりも医療用のくすりを使いたいって人に
- 受診を減らしてムダな医療費を削減したい人に
余談だけど、「零売」に反対してるのって医者や調剤薬局なんです。「キケンだ―、キケンだ―、けしからん」って騒いでますね。
それは建前のパフォーマで本音は「受診する人が減ったら儲からなくなっちゃうよー」です。本当にキケンなのかどうかは後述します。
医療費が国の予算を圧迫する現状を考えると、こういう薬局がどんどん増えるように法整備してもいいとおもう。セルフメディケーション税制でOTCを優遇するよりも、ずーっと医療費の削減効果は高い。
美容目的のヒルドイドが問題になってるけど、なぜ、みんなヒルドイドをもらいに病院へいくかというと、病院へ行かないともらえないと思ってるからなんです。「買えるなら、買うよ。」みたいなひとは多いので、売ってあげればいいんです。
これからの医療費削減の切り札になるような薬局だから、ぜひとも頑張って欲しい。「零売」に対してはいままで”向かい風”でしたが、今後は”追い風”が吹き始めると思います。なにせ医療費かからないですからね。国が推進に舵を切ることは十分に考えられます。
いまの医療制度だと、会計が安すぎるという弊害があるけど、この負担割合は維持できるものではないので、負担割合が増えれば増えるほど「零売薬局」の需要は増えていくでしょう。
ネットで調べてわかった範囲での零売やってる薬局一覧です。がんばってください。
零売をやってる薬局
- 神田「オオギ薬局」
- 新潟「薬局アットマーク」
- 札幌「くすりやカホン」
- 大阪「レディーファーマシー」
- 大阪「アリス薬局」
- 函館「かすみ園薬局」
病院の薬が処方箋なしで販売できる理由は?
「病院のくすりを直接販売するのって違法じゃないの?」という疑問におこたえします。
そもそも病院で処方してもらう薬の約半数は処方箋なしでも薬局であれば販売できる薬なんです。
病院で処方してもらう薬のことを「医療用医薬品」といいますが、この医療用医薬品をさらに詳しくわけると「処方箋医薬品以外の医薬品」と「処方箋医薬品 」に分けることができます。
医療用医薬品
- 処方箋医薬品以外の医薬品
- 処方箋医薬品
「処方箋医薬品」は、文字通りで処方箋がないと出すことができない薬のことです。糖尿病、高血圧、高脂血症などの薬がこのカテゴリーに該当します。処方箋がなければ絶対にお渡しすることができません。
「処方箋医薬品以外の医薬品」は、処方箋を必要としない医薬品のことです。市販の風邪薬や胃薬に使われているような成分はほとんどこのカテゴリーに該当します。
「処方箋医薬品以外の医薬品」は、薬局であれば販売することができ、それを制限する法律はありません。そういう名前だし、カテゴリーなんだから当たり前の話ですよね。
つまり、日本全国にある調剤薬局は「ロキソニン錠」や「ヒルドイドソフト軟膏」や「PL顆粒」を販売することができるんです。ただ、それを販売するかどうかは調剤薬局の自由であり患者の求めがあったからと販売しなければ行けないという義務はありません。ほとんどの場合は拒否されるでしょう。うちの薬局にロキソニン錠を売って下さいといっても100%拒否して、病院へ行って下さいといいます。
調剤薬局が医療用医薬品を販売しない理由
調剤薬局が医療用医薬品を販売することを「零売」といいます。薬局が零売しない一番大きな理由は医師への配慮です。ちかくにある病院と二人三脚でやってるような薬局では、薬を売ってしまうと医者から営業妨害だとクレームがきてしまいます。ほんとは病院と薬局は独立した医療機関なのでとやかくいわれる筋合いはないんだけど、実際は「大人の事情」でそういうわけには行きません。
医者への配慮から「市販薬」を一切おかない薬局もおおいです。
調剤薬局からしても、零売するよりは処方箋を持ってきてもらったほうが儲かります。お互いの利益を考えると「零売」しない方がいいという結論にいたります。
病院の薬を処方箋なしで販売して危険じゃないのか?
処方箋でだされるような薬を販売することについて調べていくと「危険ではないか?」とする医師の反対意見をチラホラと目にします。
まぁ、医者が反対するのは当たり前なんですよ。いままで医者の専売特許だと思ってたところが侵害されるわけですから、ぶっちゃけ全国の薬局が大々的に零売スタートしたら医者の受診は激減するでしょう。
頭ごなしに否定するのではなくって、ホントに「危険」なのかどうか考えてみましょう。
病院の薬は作用が「強い」ってイメージが先行してるけど、あたりまえだけど「おだやかな薬」もあります。零売薬局で販売するような商品は「おだやかな薬」に該当するものです。
どんな医薬品だって100%副作用がないといい切れるものはありません。医薬品を使用するにあたっては、そりゃ大なり小なり「危険」はともないますが、それをもってして危険といい切るのは 早計です。
ドラッグストアには沢山の医薬品があふれて客が自分の判断で自由に購入していきますが、それとくらべてみて危険かどうかを判断するのが筋ではないでしょうか?
まず「処方箋なしで売れる薬局」の売れ筋になってきそうな商品をピックアップしてみます。
「PL顆粒」「ヒルドイド」「ロキソニン錠」「ガスター」「リンデロンV」「モーラステープ」についてですが、どれも同じ成分の市販薬がドラッグストで購入することができます。
まず、モーラステープは「光線過敏症」って副作用に注意が必要なので薬剤師が販売するのであれば、かならず注意喚起すると思います。でもドラッグストでは普通に陳列されているので自由に購入できます。対面販売が原則の零売薬局の方が安全性は担保されています。
総合感冒薬のPL顆粒についても同じようなことがいえます。PL顆粒と全くおなじ成分が使われている市販薬がドラッグストアでは風邪薬コーナーに陳列されていて客は自由に購入することができます。
PL顆粒の販売にあたっては緑内障・前立腺肥大症のある人には注意なので、薬剤師が販売するのであればそういった聞き取りは必ずするでしょう。
ドラッグストアで自由に購入できる状況と比べると100%対面販売である薬局なら安全性は十分に担保されています。
水虫かどうか診断できないのに水虫薬うるのはどうなんだって?それも回答はおなじで、ドラッグストアでも水虫薬売ってますね。診断してるのでしょうか?だとしたら誰が・・・。
もちろん「処方箋医薬品以外の医薬品」のなかには作用が強力で一般の人に販売するべきではない医薬品もあります。それをもってして、「零売は危ないぞー」っていう人もいますが、カテゴリー分類上の問題であって、売れるからいって売らなければいけない義務は発生しません。
日経経済教室でも書いたようにPL顆粒は保険でカバーする必要がないと思っています。でもミドリンとかリズミックとか医師の診察なしで処方できるのは危険だと思っています。https://t.co/PBBNW3swZU https://t.co/iRHLTB3gWj
— 津川友介 (@yusuke_tsugawa) 2017年6月28日
ツイッターでミドリンやリズミックが売れるなんて超危険だー、みたいなこといってる医者?いたけど、そんなの売らないし、需要ないし、在庫すらしないでしょう。
売るメリットがありませんし、買いにくる人もいないでしょう。誰が責任取るんだ―って騒いでるけど、たしかにそうですよね。むやみに売ってしまったら責任追求されますが、普通のモラルがあれば受診勧告するでしょう。
リズミックが売れるからといって「零売」を否定する理由としては弱すぎます。
自分が使ってる医薬品が「処方箋医薬品以外の医薬品」か見分ける方法
「零売」できる医薬品かどうかは▼こちらのサイトで簡単に調べるのが簡単だと思います。私もいつも使ってます。
外部リンク医療用医薬品の添付文書情報
実際に「ボルタレン」を検索してみるとこんな感じです▼
赤枠で囲ったところに分類が書いてありますね。
この分類が「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」になっていれば処方箋専用薬ではないので処方箋がなくても薬局の判断で個別に売買できます。
「処方せん医薬品」は処方箋専用の薬なので処方箋以外でお渡しすることは出来ません。これはホント規制が厳しいから販売はホント無理です。
販売価格について
薬価より高いというのは言うまでもありません。こういう小規模の薬局って医薬品卸から薬を仕入れるときに値引きがほとんどないので、おそらく薬価に準ずる金額で仕入れていると思います。
そのまんま薬価で売ったら利益0の慈善事業になってしまうので、利益を上乗せして販売する必要があります。
「どうしてこんなに薬価が安いものがこんな価格なの?」と思う人もいるかもしれませんが、どこに行っても薬価で薬を売ってくれるところなんてないのだから、薬価で比較することに何の意味もない。
比較対象にするべきは「市販薬」です。同じ成分の市販薬があるのであればそれが参考価格になります。市販薬で安く代用できるなら、そっちで買ったほうがスムーズに買えますよね。
市販薬に負けない価格設定をする必要があるので、薬価よりも高くて市販薬よりは安いという絶妙な価格設定になっています。実際、ホームページで価格みてみると「市販品同成分と比較して約50%OFF」のような表記していますよね。
概ね、市販薬よりも安いです。だってそうしないと「売れない」ですからね。
零売薬局で「買い」な医薬品
私の主観でオススメ商品を選びます。
花粉症のくすり全般
毎年同じものつかって対処してるなら同じもの買えばいいです。
「アレグラ」「アレロック」「ジルテック」このあたりの先発品は高いのでジェネリック医薬品がオススメ、1日1回で価格が安いものだと「ジルテック」がいいとおもいます。「アレジオン」は高いです。
ひどい時用で「ポララミン」や「フルナーゼ点鼻」をセットで購入してもいいと思う。
ステロイドの外用薬全般
「リンデロンシリーズ」「アンテベート」「ロコイド」「キンダベート」このあたりは購入できるのはありがたい。ステロイドの外用薬は価格が安いというメリットもあります。長期での自己判断での使用はさけて、原因がはっきりしたかぶれにつかうようにしましょう。
水虫のくすり全般
水虫の治療で大切なのはたっぷりと、そして、根気よく塗ること。市販薬よりも安く購入できるのでおすすめです。
眼軟膏
市販薬には眼軟膏ないので、ありがたい存在です。「サンテゾーン眼軟膏」とかオススメ。点入が必要な症状は受診をシて、目の周りのかゆみやかぶれに一時的に使うのにいいでしょう。
シップ類
「モーラス」「ロキソニン」「セルタッチ」となんでもありますね。ただシップに関しては市販薬も充実してるのでメリットは市販薬よりも安く買えるくらい。
ドライアイの目薬
市販のドライアイの目薬がいまいちぱっとしないので「ティアバランス」「ヒアレイン」「ムコスタ」などいろいろ。
おわりに
次回は「零売薬局を盛り上げるための販売戦略を考えてみた(仮)」まだ構想ですが、予定しています。来年かな。
*今回の記事は、オオギ薬局の店主さんに、許可をいただいて掲載しています。